貸倒れの見積もり(2年度目以降)
前期から繰越した貸倒引当金の額との差額を補充するようにして、
決算で調整する処理方法を、「差額補充法」といいます
————————————————————————————–
lesson.058
★ 5分で完結!小学生でもわかる簿記入門 ★
(読者数3417人) 2004.10.06
関連HP https://bokikaikei.net/ (月・水・金 午前中)
————————————————————————————–
【CONTENTS】
○ 貸倒れの見積もり(2年度目以降)
(※図が見にくい方は、等幅フォントまたはMSゴシックでご覧下さい)
————————————————————————————–
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○ 貸倒の見積もり(2年度目以降)
☆ 前回の、かんたんな復習 ☆
(例:期末に、売掛金が1000万円あったとして、翌期の貸倒れ率が、
1%と見積もられた場合の、第1期の決算処理)
(借)貸倒引当金繰入額 10 (貸)貸 倒 引 当 金 10
この結果、売掛金勘定と貸倒引当金勘定の関係は、次のようになります。
+ 売 掛 金
―――――――――――――――
|残高 1000|
・←←| |
↓ | |
↓ |
枝 ↓
勘 ↓
定 ↓ /+ 貸倒引当金
↓ | ――――――――――――――― |(売掛金の分身)
・→ | |決算 10 |
| | |
|
/
+ 貸倒引当金繰入額
―――――――――――――――
決算 10|
上記の決算(処理)の結果、売掛金の期末における最終評価額は、
1000 10(売掛金の1%の貸倒予想額)=990万円
と、なったわけです。
☆☆☆ 前回の復習、ここまで!!(笑)☆☆☆
では、前年度(第1期)末の貸倒引当金10万円のまま、次年度(第2期)の
期末を迎えたとしましょう!
【第2年度末の売掛金と、貸倒引当金】
+ 売 掛 金
―――――――――――――――
|残高 1500| ←前年度末から、変動する!
・←←| |
↓ | |
↓ |
枝 ↓
勘 ↓
定 ↓ /+ 貸倒引当金
↓ | ――――――――――――――― |(売掛金の分身)
・→ | |決算 10 |←前期末ベースのまま!
| | |
|
/
ここで、売掛金の残高が、前期末(1000万円)から、当期末は1500万円と
変化していますね!
したがいまして、売掛金1500万円に対して、今年も同じ1%の貸倒引当金を
設定するという決算方針ならば、第2期(当期)の貸倒引当金残高は、次のように
変化しますね!
1500万円×1%=15万円 …(前期末10万円より、5万円多くなった)
このように、前期末の10万円は、古いデータなので、これを新しい見積額
15万円に、決算で直します。
具体的には、差額の5万円を追加で設定すればよいのです。
<仕訳>
(借)貸倒引当金繰入額 10 (貸)貸 倒 引 当 金 10
<転記>
+ 売 掛 金
―――――――――――――――
|残高 1500|
・←←| |
↓ | |
↓ |
枝 ↓
勘 ↓
定 ↓ /+ 貸倒引当金
↓ | ――――――――――――――― |(売掛金の分身)
・→ | |繰越 10 |
| |決算 + 5 |
|
/
+ 貸倒引当金繰入額
―――――――――――――――
決算 +5|
このように、前期から繰越した貸倒引当金の額との差額を補充するようにして、
決算で調整する処理方法を、「差額補充法」といいます。
日商3級では、この差額補充法が出題されます。
しっかりと、処理パターンを、マスターしましょう!
======================================
◆ 練習問題
次の取引を、仕訳・転記しましょう。
B社は、受取手形を300万円、売掛金を600万円、期末時点で保有していた。
期末の決算に際して、受取手形と売掛金の合計額に対し、2%の貸倒引当金を
設定することとした。なお、決算手続直前の、貸倒引当金の残高は、14万円で
あった。
【解答用紙】単位:万円
<仕訳帳>
――――――――――――――――――――――――――――――
(借) (貸)
――――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳の一部>
――――――――――――――――――――――――――――――――
+ 受取手形
―――――――――――――――
300|
|
+ 売 掛 金
―――――――――――――――
600|
|
+ 貸倒引当金
―――――――――――――――・
|繰越 14・
|・・・・・・・・
|
+ 貸倒引当金繰入額
―――――――――――――――
|
|
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【模範解答】単位:万円
<仕訳帳>
――――――――――――――――――――――――――――――
(借)貸倒引当金繰入額 4(貸)貸 倒 引 当 金 4
――――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳の一部>
――――――――――――――――――――――――――――――――
+ 受取手形
―――――――――――――――
300|
|
+ 売 掛 金
―――――――――――――――
600|
|
+ 貸倒引当金
―――――――――――――――・
|繰越 14・
|・・・・・・・・
|決算 4 ←差額を補充して、計18万円に!
+ 貸倒引当金繰入額
―――――――――――――――
決算 4|
|
―――――――――――――――――――――――――――――――――
※当期末の貸倒引当金残高:(300+600)×2%=18万円
繰入額(差額) :18万円 繰越額14万円=4万円
…時事問題で、たのしく会計知識をマスターしたい方は
「会員制CDセミナー」 → https://bokikaikei.net/01cd/5.html
… 上場企業の実践分析講座
「柴山塾」→ https://bokikaikei.net/04jirei/66.html
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 【連結入門・未実現利益の考え方】土地と建物の未実現利益に関する処理の比較でマスター
連結会計を学ぶ上で、未実現利益の正しい理解は必須ですね。 この点、最初の理解の仕方を間違えてしまうと、けっこう連結が苦手になったり、遠回りしてしまったりしてしまいます。 そこで、今回の動画では、まず一番簡単な土地の親子間売買(ダウンストリーム)を取り上げ、それとの比較で建物の売却による未実現利益の消去と、それに伴う減価償却費の連結修正について簡単な事例を使って解説いたしました。 この10分程度の動画をさっと視聴することで、連結会計の未実現利益に対する苦手意識を取り除くきっかけになればうれしいです! - 会計士志願者が2倍も、監査法人離れ
2023年9月21日の日経1面です。 2015年を底に2023年までの8年間で公認会計士試験の受験者数が倍増し12年ぶりの2万人台を記録したそうです。 ※2013年~2023年の願書提出者数 2023年 20,318人 2022年 18,789人 2021年 14,192人 2020年 13,231人 2019年 12,532人 2018年 11,742人 2017年 11,032人 2016年 10,256人 2015年 10,180人 2014年 10,870人 2013年 13,224人 (資料:マイナビ会計士)※2013年~2022年 ※2023年は金融庁ホームページ たしかに、過去10年程度で2015年の10,180人がそこになっており、そこから20,318人ですから、この期間において2倍程度増えていますね。 - 社外役員の兼任者数が4割アップ!?~会計士・税理士に新たなフィールドのチャンスが到来?
昨日の日経朝刊は、コーポレートガバナンスに関する非常に興味深い記事でした。 日経1面に出るということは、その日のニュースの中でも日本経済全体に影響を及ぼすと判断されたトピックと考えられるのですね。 いま、日本企業の多くは閉塞感にとらわれているかもしれません。 先行き不透明な中、社内の限られた知見だけで経営を続けていくのがますます難しくなってきています。 社内の常識が世間の非常識、なんてこともあったりしますね。 私は監査法人の勤務時代から強く感じていたことがあります。 会計士はその会社に年中いるわけではないので、その会社の業界知識の深さについてはかなわないのですが、彼らになくて私たちにあったのは「他の多くの会社の実務を見て実態を知っている」という点です。 - 【時事ニュースで学ぶ会計知識】オリンパスの売上高当期純利益率が100%超!?
2023年8月30日の日経18面で報じられていました。 オリンパスの売上高当期純利益率がなんと100%を超えたという珍しいケースです。 普通は、売上高を100とするならば、営業利益は5~8%程度、当期純利益は税引き後なので3~5%くらいがよくあるケースです。 営業利益率が10%以上になってくると、本業で結構儲けが出ている印象を受けます。 個人的には非常に良いイメージですね。 この点、オリンパスさんの営業利益率は13%を超えていますので、一般的な視点で行けば本業での好調さが想像されます。 そして、そこから一定の調整を経て、さらに法人税等が差し引かれるので、営業利益よりも当期純利益は少なくなるのが通常です。 しかし! - 【読んでみたい一冊】週3バイトが東大合格した時間術の本
今回は時間術に関する興味深い視点の本をご紹介します。 限られた時間で効率よく勉強しながら東大に合格した実体験から自身で身に着けた時間管理ノウハウを本にまとめたものです。 ユニークな視点でなるほど~、と思わせるところが多いのと、読みやすく短時間で一気に通読できることから、手軽に時間生産性を上げるためのヒントとして、動画で取り上げてみました。 全部で3章構成からなっているのですが、その全体フローがそのまま企業コンサルの手順にも応用できます。 すなわち、 ステップ1 ムダを削減する ステップ2 今の仕事の効率を上げる ステップ3 それを継続する です。 こうやって書いてみると非常にシンプルですが、そのシンプルさの中にこそ、マネジメントの本質が隠されていることもあります。