ROEが8.6%に上昇
東証1部上場企業の2013年ROEは8.6%と、前年度に比べ3ポイント上昇したそうです。
これは6年ぶりの高水準になります。
会社の自己資本に対して稼いだ利益の比率が高まっていることを表し、資本効率が改善されているとの解釈が可能です。
【基礎知識】
ROE(Retuen On Equity)
いわゆる「自己資本」に対する当期純利益の比率を意味します。
会社の総資産のうち、株主に帰属する部分=自己資本は、いわば株主が会社に預けている財産であり投資額ということができます。
それに対し、当期純利益は配当の財源となる最終利益です。
以上より、ROEの持つ意味は、「株主が会社に委託した財産に対して、どれくらいの最終利益を改正でいるかを判断する指標」ということができます。
ROEは高いほど望ましいですが、いっぽうで、分母の自己資本が低すぎる=総資産に対する負債の占める割合が高すぎる場合にもROEは上昇するので、借金まみれであるがゆえにROEが高い場合などは、注意が必要です。
上記のROEに関して補足です。
いわゆる自己資本の意味として、ROE算定上はつぎの3つが考えられます。
(1)株主資本
会社の資本金+資本剰余金+利益剰余金?自己株式
いうなれば、元本プラス果実なので、もっとも純粋な意味での自己資本といえるでしょう。
(2)株主資本+評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)
株主資本にその他有価証券評価差額や繰延ヘッジ損益などを加算・減算した額です。
金融商品の時価評価差額などによる変動額も、自己資本=株主の持ち分 として財務分析上は含めよう、という立場です。
従来からの会計ルールの流れからすると、もっとも採用しやすい自己資本概念ということはできます。
(3)純資産
(2)に、さらに少数株主持分や新株予約権などを加えたもの
現行のルールにおける貸借対照表・純資産の部に表示されるすべての項目の合算です。
株主資本に比べていろいろな会計制度上の異物が入りますが、結果として株主資本とそれほど違いがなければ、比較的わかりやすく、採用しやすい指標であるともいえます。
(参考)
連結貸借対照表・純資産の部の表示例
連結貸借対照表
(負債)
(純資産)
1.株主資本
(1)資本金
(2)資本剰余金
(3)利益剰余金
(4)自己株式(△)
2.その他の包括利益累計額
3.新株予約権
4.少数株主持分
なお、ROEを算定するときの細かい注意点として、「当期純利益は年間を通じて発生」するため、「分母の自己資本は、期中平均残高であるのが理論的」という点です。
つまり、最新(期末)の自己資本残高を式の分母にしてしまうと、それはどちらかというとそれ以降、すなわち翌期の利益の獲得のベースとなる自己資本と考えられるので、厳密には正確な利益と自己資本の対応関係にはなっていない、ということですね。
したがって、実務的には、ROEを求める際、
当期純利益÷(期首自己資本+期末自己資本)/2=ROE
という計算の仕方をすることが多いです。
スタート時点とゴール時点における自己資本を足して、2で割れば、おおむね平均残高が求められるよね、というお話ですね。
さて、このようにして求められたROEが、最近では高水準を記録するようになっているというのが、日経新聞でのニュースとして取り上げられています。
経済記事としては、明るいニュースですね。
また、同じ紙面では、ROEが高い主な企業として、富士通(30.4%)、ソフトバンク(29.5%)など、皆さんおなじみの会社がたくさん並んでいます。
もしも見ることができましたら、2014年5月31日の日経朝刊の15面をご覧になってみてください。
ROEのランキングが見られます。
以上、投資家の観点での収益性や資本効率を判断するとても重要な指標ROEをご紹介いたしました。
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