安倍首相、法人税率引き下げの検討も(Nikkei.com*113)
今秋に最終的な判断が迫られている消費増税と並行して、法人税率引き下げの可能性を模索するようです。
国際的に高いといわれている日本の実効税率は、少し前まで40%程度でしたが、最近の税率見直しで多少は下がってきています。
とはいっても、まだまだ30%台後半とされている現状では、アメリカとともに、高めの水準にあるようです。
世界の流れとして、間接税重視の方向に行っているのでしょうか。
法人税率がどんどん引き下げられて、直接税の税収見込みが少なくなっている現状では、消費税などの税源に頼らざるを得ないといったところでしょうか。
ここで、会計知識としての税金の話を理解しておきましょう。
たとえば日商簿記検定3級ならば、固定資産税や印紙税など経費性のある税金は「租税公課」という費用科目で損益計算書に表示します。
固定資産税は、会社が所有する土地や建物について、毎年1月1日時点における評価額を基準に課税される地方税です。
これは、会社の営業活動に寄与する支出ですので、営業費用として利益計算に際して収益から控除されます。
印紙税は、契約書は一定額以上の領収書などの文書を作成するにあたって切手のように貼付することで納税する税金です。
営業活動に必要な法律上の文書を作るときにかかる支出ですので、営業費用のひとつです。
さらに、日商簿記2級レベルになれば、物品の消費に課税される消費税がでてきます。
最終的な税金の負担者は消費者ですが、それを販売時に預かるのが会社などの事業者です。
販売先のお客さんから預かった消費税相当額を最終消費者の代わりに事業者が払うだけですので、理論上は預かり金の支払いでして、収益でも費用でもないというのが基本的な考え方です。
(参考)
消費税の経理処理の方法として、税込方式というやり方を採用している場合には、便宜上、租税公課という費用科目を使用することがあります。
中小零細企業などで採用されることが時々ある簡便的なやり方です。
日商簿記2級では、もうひとつ、「法人税・住民税・事業税」という勘定科目も学習します。
法人税等ともいいます。
この3つの税目は、基本的に「法人の所得(税法上の利益)」に対して一定率をかけて計算する性質のものです。
したがって、現行の損益計算書の表示面でみれば、本質的には利益を計算する過程で収益から差し引かれる費用とはみなされません。
だから、損益計算書の末尾で、「税引き前の当期純利益」をいったん計算してから、法人税・住民税・事業税を差し引いて、税引き後の最終損益を計算するという表示形態になるのですね。
今回の時事テーマとなっている法人税率の見直しは、この法人税・住民税・事業税の所得に対する負担率の引き下げを目的とした話です。
なお、細かい話ですが、これまでの歴史的な経緯から、事業税はむかし「租税公課」という勘定科目で費用処理されていました。
事業活動に関連してかかる税金であり、費用性があると考えられていたのですね。
いまでも、事業税は、その支出額を「支出時の損金(税務上の費用)」として計上できるので、やや税務上の取り扱いが複雑です。
ちなみに、税効果会計と呼ばれる会計実務は1級の領域です。
もしもここまで理解できたら、あなたも会計の上級者ですよ!
いずれにせよ、時事ニュースなどで法人実効税率の話が出たら、それは法人税・住民税・事業税の所得に対する比率の問題が対象となっている、とご理解いただければいいでしょう。
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