株式分割と個人投資家の定期積立
株式分割とは、
「ある時点から、従来の株式数を増加させること」ですね。
かんたんにいえば、
「追加の払い込みがない株式数の増加」ですから、
◎一株あたりの純資産の額が減る。
◎一株あたりの購入額(株価)が小さくなる。
ということになります。
(例)A社は、株価10万円、発行済み株式10万株であった。
バランスシート
―――――――――――――――――――――
諸資産 ××× | 諸負債 ×××
|
| 純資産 100億円←10万円
|(時 価) ×1万株
―――――――――――――――――――――
上記のA社の例で、純資産(株主の取り分)は変化しない
状態で、発行株数だけを増加させる(株式分割)をしたら、
どうなるでしょうか。
(例2)A社は、1株を10株に分割した。
バランスシート
―――――――――――――――――――――
諸資産 ××× | 諸負債 ×××
|
| 純資産 100億円←1万円
|(時 価) ×100万株
―――――――――――――――――――――
このように、
(1)分割前:100億円÷ 10万株=株価10万円
(2)分割後:100億円÷100万株=株価 1万円
と、単純に、1株あたりの値段(株価)がいっきにやすくなり、
「庶民でも、かなり手が出せるかも?」
という単価になってきますよね。
以上をみるに、株式分割により、出資単位が引き下げられる
ことから、
●個人投資家が参加しやすくなるので、株主の裾野が広がる。
●もともと人気のある株なら、売買しやすくなるので、株価が
さらに上昇する。
というメリットがあります。
ちなみに、ひとつの株式投資のスタンスとして、
「いったん「これは!」という会社を見つけたら、
長期間、定期積立のように投資する」
というやり方があります。
たとえば、年利1.2%(月利0.1%)の
定期預金があるとして、
毎月1万円ずつ積み立てても、
元 本 月の利息
1月 10000 10×12=120
2月 10000 10×11=110
3月 10000 10×10=100
4月 10000 10× 9= 90
5月 10000 10× 8= 80
6月 10000 10× 7= 70
7月 10000 10× 6= 60
8月 10000 10× 5= 50
9月 10000 10× 4= 40
10月 10000 10× 3= 30
11月 10000 10× 2= 20
12月 10000 10× 1= 10
計 120000 780
初年度利回り = (780/120000)×100
=0.65%
と、まあこんな感じです。
ここで、上記のA社のように、1株が1万円の金額
だとしたら、毎月、定期のように積み立てることができます。
さらに、A社の株価が年末に
1.2%上昇したら、次のようになります。
元 本
1月 10000
2月 10000
3月 10000
4月 10000
5月 10000
6月 10000
7月 10000
8月 10000
9月 10000
10月 10000
11月 10000
12月 10000 時価 10120×12
↓
↓
計 120000 時価総額121440
(含み益) 1440
初年度利回り = (1440/120000)×100
=1.2%
A社の業績がよくて、一年後に市場の評価が高まれば、
1%どころか、5%とか10%とかの上昇は十分に
ありえますね。
(もちろん、逆もありうるので、注意が必要です。)
財務分析の知識をしっかりと身につけ、
投資先の会社における製品の競争力、経営者の資質、
組織力などをしっかりと調べれば、かなりの精度で
会社を判定することが可能といえます。
個人投資家に「資産運用の幅を広げる」という意味では、
株式分割の意義は大きいと思いますよ。
※上場企業の生分析は、こちらでやってます。
[2]野村総研、上場以来初の株式分割(2007.1.27*14)
27日の日経によりますと、
野村総合研究所が、2001年12月の上場以来、
はじめての株式分割を行うようです。
ちなみに、上場翌月(2002年1月)および
各年末における野村総研の株価は、
以下の通りでした。(終値)
2002年 1月 14490
2002年12月 11170
2003年12月 10450
2004年12月 9600
2005年12月 14450
2006年12月 17260
2007年 1月 18930 ※参考。1月29日現在
…と、このように、
●2003年から2004年は、非常に厳しい株価
(終値の最低:2003年3月 6430円)
●2005年末には、ほぼ上場翌月のベースに戻した。
この、「V字回復型」の株価推移は、実をいうと、
「定期積み立て型」の投資スタイルには、非常に
うれしい動きとなります。(逆V字は反対に怖い)
そこで、シミュレーションとして、
●2002年1月から、毎月の終値で
1株ずつ、2006年12月まで買い続けた。
と仮定すると、
2002年1月から2006年12月までは、
ちょうど60ヶ月(5年)なので、
累積投資して購入した株数は「60株」と
なります。
■毎月の投資額(一部抜粋)
株価 累積投資
2002.1 1株 14,490円 14,490円
2002.2 1株 14,280円 28,770円
2002.3 1株 16,020円 44,790円
:
2002.12 1株 11,170円 114,960円
:
2006.12 1株 17,260円 727,860円(60株)
☆野村総研の、60ヶ月間における詳細な
累積投資仮想シミュレーションデータは、
会員制CDセミナーを受講されている方に、
提供いたします。
会員制CD
→ https://bokikaikei.net/01cd/
ちなみに、2006.12時点の株価17,260円に60株を
かけると、
17,260円×60株=1,035,600円が資産総額となります。
資産総額(時価) 1,035,600円
累積投資額 ▲ 727,860円
―――――――
投資利益 307,740円
=======
上記を見るに、
●72万円の投資に対し、「5年で30万円」は、
なかなかの成果だと思うのですが、いかがでしょうか。
しかし、野村総研の売買単位は100株なので、
「投資1口(1単位)=100株×14000円=140万円程度」
の資金を出せる人でないと、上記の累積投資の
果実を手にすることはできないのでした。
(庶民ではちょっと難しいですよね。)
それが、今度の1対5の株式分割により、直近価格で
1株170万円していたものが、
すくなくとも1株30?40万円くらいの値段には
なったのだから、まあ、個人にとっては、
手が届く範囲に来たかな、とういかんじではありますね。
このように、大口投資家にしか開けていなかった
投資先の選択肢を、できるだけ小口の投資家にも
広げる、という意味では、株式分割という方法、
それなりに注目しておきたいところです。
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 公式法変動予算(2級工業簿記)
公式法変動予算の定義 製造間接費を管理する方法 操業度(生産量や稼働時間)の増減に応じて予算額が変動 関連用語 固定予算、製造間接費の管理、予定配賦、配賦差異など 予算の概念 将来の一定期間における事業計画の財務面を示す経営計画 製造間接費は「変動費」と「固定費」に分けて管理 変動費 操業度の増減に応じて変動する原価(例:水道光熱費、間接材料費) 固定費 操業度に関わらず一定額が発生する原価(例:家賃、リース料) 変動予算の特徴 固定費は操業度に関係なく予算額は変わらない 変動費は操業度に応じて予算額が調整される 具体例 フル操業(500時間)、変動費率700円、固定費600,000円の場合 500時間の予算額: 700円 × 500時間 - 受取手形(3級・2級商業簿記)
受取手形 手形は売上代金の回収方法の一つで、現在は手形レス化が進んでいる それでも簿記学習には重要なテーマ 受取手形の定義 将来の一定期日に、手形に記載された代金を受け取る権利を表す資産勘定 関連用語 売掛金: 商品を販売して代金を後で受け取る権利 売上債権: 売掛金と受取手形を合わせたもの 貸倒引当金: 売上債権に関連し設定される 売上代金の回収方法 現金売上: 代金をその場で受け取る 掛売上: 後払い、未回収の代金は「売掛金」 受取手形: 取引先が発行した約束手形を受け取った場合 取引例 商品40万円を売上げ、20万円を現金で受け取り、残り20万円を約束手形で受け取る 仕訳例 売上 400,000円 現金 200,000円 受取手形 200,000円 - 報酬、連結決算、有価証券報告書
報酬 職務の遂行に対する対価として支払われる現金やその他の資産。 従業員の報酬 給与手当(指示命令系の仕事)。 役員の報酬 役員報酬(専門家としての経営成果に対する報酬)。 経営プロフェッショナルとして経営を委託されるため、給与とは区別される。 専門家報酬 会計士や税理士に支払う報酬(業務委託の形)。 連結決算 親会社と子会社などの企業群の決算を合算して、グループ全体の損益を算出する手法。 上場企業においては、単体決算だけでなく、連結決算が重視される。 連結決算に基づく財務諸表は「連結財務諸表」と呼ばれる。 英語表記は「Consolidated Financial Statements」。 有価証券報告書 上場企業や一定規模以上の企業が作成し、外部に開示する義務がある報告書。 - 製造間接費(2級工業簿記)
製造間接費の定義 製造間接費は、間接材料費、間接労務費、間接経費の合計額。 これらの費用は直接製品に関連付けられないため、基準を用いて製品に配分する。 製造間接費の配分基準 直接作業時間や機械運転時間、直接労務費などが配分基準として使用される。 作業時間が多い製品には、より多くの製造間接費が配分される。 関連する用語 間接材料費、間接労務費、間接経費、配賦率、配賦、仕掛品 など。 配賦率は、1時間あたりの製造間接費を示し、基準に基づいて製品ごとに製造間接費を配分するために使用される。 製造間接費の配分方法 製造間接費は直接製品に関連付けられないため、合計額を配分基準に基づいて配分する。 直接作業時間や機械運転時間などの基準を使用して、配賦率を算出し、製品ごとに配分。 - 退職金、総務、経理
退職金 簿記2級から登場、簿記1級では頻繁に出題 企業で長年働いた役員や従業員に支払われる金銭 長期間の勤務に対する対価として、支払額は大きくなることが多い 退職金を毎年積み立てることが望ましい 退職給付引当金として負債計上 役員への退職金は「退職慰労金」と呼ばれることもある 簿記では従業員に対する退職金の引当金を覚えることが重要 総務 企業内で重要な役割を担う管理部門 人事、経理、広報などの専門部署がない場合、業務をまとめて担当 企業によって役割や業務内容が異なる 大企業では株主総会の準備や社長秘書業務なども含まれる 中小企業では管理業務のほとんどを担当することがある 営業部門や製造部門などの専門部署以外の事務を担当 経理