経営計画における顧客別方針とは?
※こちらの動画でも解説しています。
今回は、経営方針の3つ目のテーマである「顧客別方針」について解説します。
ここまで6つの経営方針のうち、「基本方針」「商品別方針」を解説しましたが、今回の顧客別方針とは、「商品別方針」と似たコンセプトを持ちます。
「商品別方針」では、スクラップアンドビルド方式の考えにより、商品をランク分けする考え方でした。
今回の「顧客別方針」もまた、最重点顧客、重点顧客、現状維持顧客、淘汰顧客と顧客のランク分けを行い、それぞれに経営資源を配分する割合を決めて行動するという指針になります。
たとえば、最重点顧客の売上を、月商100万円から倍の200万円にするために、最重点顧客に対して今までの2倍訪問するといったようなことです。
この他、
・特典を付ける
・場合によっては値引きに応じる
といったことも検討し、最重点顧客は逃さないよう大切に扱います。
それぞれの顧客層の基準ですが、まず最重点顧客と重点顧客とは、売上シェアを伸ばしたい顧客層のことです。
続いて現状維持顧客は、無理せずに今のままの状況を維持したい顧客層を指します。
最後の淘汰顧客とは、最も重点が低い顧客層となり、値引きをしない、訪問件数を減らすなどの区別が必要です。
しかしながら、従業員は淘汰顧客のところは「行きやすい」という理由から訪問回数が多くなる傾向にあります。
「行きやすい」理由としては、相手の事業規模が小さくフレンドリーに接してくれるからとか、ごくたまに従業員自身の同級生や友人が勤めているからといった理由があります。
特に後者の、私情を挟んだ訪問はやめさせなければいけません。
会社には限られた経営資源しかないのですから、その経営資源は最重点に区分されたお得意様に最も多く投入し、売上を増やすことを考えるべきです。
「顧客別方針」も「商品別方針」と同じように、最重点、重点、現状維持、淘汰とランク分けして、スクラップアンドビルドを想定した方針を決めるということを知っておいてください。
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 【連結入門・未実現利益の考え方】土地と建物の未実現利益に関する処理の比較でマスター
連結会計を学ぶ上で、未実現利益の正しい理解は必須ですね。 この点、最初の理解の仕方を間違えてしまうと、けっこう連結が苦手になったり、遠回りしてしまったりしてしまいます。 そこで、今回の動画では、まず一番簡単な土地の親子間売買(ダウンストリーム)を取り上げ、それとの比較で建物の売却による未実現利益の消去と、それに伴う減価償却費の連結修正について簡単な事例を使って解説いたしました。 この10分程度の動画をさっと視聴することで、連結会計の未実現利益に対する苦手意識を取り除くきっかけになればうれしいです! - 会計士志願者が2倍も、監査法人離れ
2023年9月21日の日経1面です。 2015年を底に2023年までの8年間で公認会計士試験の受験者数が倍増し12年ぶりの2万人台を記録したそうです。 ※2013年~2023年の願書提出者数 2023年 20,318人 2022年 18,789人 2021年 14,192人 2020年 13,231人 2019年 12,532人 2018年 11,742人 2017年 11,032人 2016年 10,256人 2015年 10,180人 2014年 10,870人 2013年 13,224人 (資料:マイナビ会計士)※2013年~2022年 ※2023年は金融庁ホームページ たしかに、過去10年程度で2015年の10,180人がそこになっており、そこから20,318人ですから、この期間において2倍程度増えていますね。 - 社外役員の兼任者数が4割アップ!?~会計士・税理士に新たなフィールドのチャンスが到来?
昨日の日経朝刊は、コーポレートガバナンスに関する非常に興味深い記事でした。 日経1面に出るということは、その日のニュースの中でも日本経済全体に影響を及ぼすと判断されたトピックと考えられるのですね。 いま、日本企業の多くは閉塞感にとらわれているかもしれません。 先行き不透明な中、社内の限られた知見だけで経営を続けていくのがますます難しくなってきています。 社内の常識が世間の非常識、なんてこともあったりしますね。 私は監査法人の勤務時代から強く感じていたことがあります。 会計士はその会社に年中いるわけではないので、その会社の業界知識の深さについてはかなわないのですが、彼らになくて私たちにあったのは「他の多くの会社の実務を見て実態を知っている」という点です。 - 【時事ニュースで学ぶ会計知識】オリンパスの売上高当期純利益率が100%超!?
2023年8月30日の日経18面で報じられていました。 オリンパスの売上高当期純利益率がなんと100%を超えたという珍しいケースです。 普通は、売上高を100とするならば、営業利益は5~8%程度、当期純利益は税引き後なので3~5%くらいがよくあるケースです。 営業利益率が10%以上になってくると、本業で結構儲けが出ている印象を受けます。 個人的には非常に良いイメージですね。 この点、オリンパスさんの営業利益率は13%を超えていますので、一般的な視点で行けば本業での好調さが想像されます。 そして、そこから一定の調整を経て、さらに法人税等が差し引かれるので、営業利益よりも当期純利益は少なくなるのが通常です。 しかし! - 【読んでみたい一冊】週3バイトが東大合格した時間術の本
今回は時間術に関する興味深い視点の本をご紹介します。 限られた時間で効率よく勉強しながら東大に合格した実体験から自身で身に着けた時間管理ノウハウを本にまとめたものです。 ユニークな視点でなるほど~、と思わせるところが多いのと、読みやすく短時間で一気に通読できることから、手軽に時間生産性を上げるためのヒントとして、動画で取り上げてみました。 全部で3章構成からなっているのですが、その全体フローがそのまま企業コンサルの手順にも応用できます。 すなわち、 ステップ1 ムダを削減する ステップ2 今の仕事の効率を上げる ステップ3 それを継続する です。 こうやって書いてみると非常にシンプルですが、そのシンプルさの中にこそ、マネジメントの本質が隠されていることもあります。