第150回日商簿記検定試験1級・2級・3級解答速報
平成30年(2018年) 11月18日(日)実施の第150回 日商簿記検定の解答速報をご案内します。
日商簿記検定1級解答と講評
商業簿記
【目標20点】
多岐にわた論点から網羅的に出題されているが、難解なものは見当たらず、レベルとしては標準的と言える。
会計学との時間配分をうまく調整し、55~60分を商業簿記にかけることができれば良いと思う。
会計学
【目標17点】
問題1の関連性の高い語句の選択は、最低4つは取っておきたい。
問題2は、小問形式で分野をまたがって5題。得意不得意があるとは思うが、最低3問は正解したい。
問題3は、記述式の問題。キーワードが思い浮かぶかどうかが問われるところ。
工業簿記
【目標17点】
仕損品の廃棄にかかる費用の扱いに指示がなかったので、速報では別解とした。
1級としては、計算量は標準レベルだが、条件設定が細かいので、注意力が必要。
問題数が少ないため、少々時間をかけてでも、取れるところは確実にとる必要がある。
原価計算
【目標20点】
第1問は勘定連絡図を書いて逆算で求めることになる。
ある程度の失点は見越すものの5点以内に留めたい。
第2問は比較的易しい直接原価計算なので、確実に取りたい。
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日商簿記検定2級解答と講評
工業簿記で点数を取りやすく、2問とも解くのに時間もかからないので、工簿から手をつけてある程度気持ちを落ち着かせてから、商簿に取り組むのが戦略として良かったと思われます。
商簿の第1問、第2問から順に取り組むと、かなり焦ってしまい、その後の取れる問題までミスしてしまった方もおられるのではないでしょうか。
第1問 仕訳5題(20点)
【目標12点】
やや難しい。3.と5.は取って、もう1問(1.,2.,4.のいずれか)を取れれば良いと思われる。
1. 役務収益・役務原価
追加で発生した外注費を買掛金で処理する点は難しい。
2. 固定資産の取得
利息相当額を処理する資産勘定が長期前払費用であることに行きつくかどうか。
3. 企業買収
貸借差額をのれんとするところがポイントであるが、これは取りたい問題。
4. クレジット売掛金・消費税
クレジット手数料に消費税が課税されない点を正しく処理できるかどうか難しい。
5. 株主資本の計数変動
この問題は素直に解けばできるので、確実に取りたい。
第2問 固定資産(20点)
【目標12点】
落ち着いて各日付の仕訳を整理して行けば、レベルとしては標準であるが、資料の並べ方もあって、ある程度時間がかかり、難解に感じてしまうと思われる。
税効果、リース、連結など、新範囲となったテーマが盛り込まれている。
第3問 残高試算表(20点)
【目標14点】
内容は標準的なレベル。
丁寧に仕訳をしながら、貸借対照表の項目だけを抽出していけば良い。
比較的取り組みやすい問題であったと思う。
第4問 費目別計算の仕訳(20点)
【標準的な問題。20点を取りたいが、ミスも考慮して最低14点】
製造経費についての条件など、若干注意事項はあるものの、
2級受験生であれば、問題文をよく読んで対応していただきたいレベルである。
第5問 直接原価計算(20点)
【目標20点】
非常に易しい。合格のためには確実に20点を取っておきたい。
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日商簿記検定3級解答と講評
全体的に標準レベルの問題といえ、基本的な部分の学習をしっかりと準備した受験生にとっては、学習の成果を発揮できたことと思います。
第1問 仕訳5題(20点)
【仕訳問題・16~20点】
1. 土地の購入
購入手数料は付随費用なので取得原価に入れる点に注意する。
2. 損益振替
選択肢に「仕入」「損益」はあるが「売上原価」はないので、迷うこともないでしょう。
3. 現金過不足の処理
収益、費用の勘定両方の記入漏れがあったという問題。
出来なくはないが、うっかりミスする場合もあるかと思う。
4. 資本的支出と収益的支出
定番の問題であり、それぞれの金額も明記されているので確実に取ってほしい。
5. 収入印紙
収入印紙を購入してすぐに使用しているので、その費用は租税公課勘定で処理する。
第2問 補助簿の選択(10点)
【目標10点、最低でも6点】
補助簿の選択が3問、純売上高の計算、箱根商店に対する売掛金残高で計5問。
落ち着いて取り組めば10点取れそうであるが、最低6点を目標点とする。
第3問 残高試算表(30点)
【標準的なレベル・目標20~30点】
月中の取引数も少な目で、重複取引の番号も問題文に記載されておりので、取り組みやすい問題であったと思う。
第4問 伝票(10点)
【目標10点、最低でも6点】
(1)は取引を擬制する方法で、一旦全額を買掛金としてから一部を支払ったと考える。
(1)ができなくても、(2)は3ヶ所とも確実に取りたい。
第5問 精算表(30点)
【標準的な問題。目標30点、最低でも24点】
ここのところ、2回続けて財務諸表の問題であったが、今回は精算表の出題。
小口現金の処理や、保険の中途解約、保険料の返金など、あまり見られない決算整理事項もあったが、基本的な考え方が身についていれば、それほど難しい処理ではない。
しっかりと準備ができた方は高得点が狙えるが、そこまででない方でも、各問題に示した最低ラインの点数を取っていけば、十分に合格が可能。
第1問から順に、16・6・20・6・24でも72点になる。
【関連講座】
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【解答速報に関するお問い合わせ先】
柴山会計ラーニング株式会社
電話:03-6265-9540
担当:水野


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立替金(3級・2級商業簿記)
立替金の定義 立替金とは、誰かのために一時的に支払った代金で、後日精算されるもの。 よく関連語句として「給料」がセットで出てくる。 立替金の概念 例:従業員の個人的な支出や取引先の負担すべき広告費などを、一時的に立て替えて支払う。 支払った金額は「将来返してもらう予定のお金」として資産に計上される。 立替金は「立替金の請求権」として扱われ、資産勘定に計上。 簿記の問題での立替金 給与支給時に従業員に対する立替金を相殺する処理が出題されることがある。 立替金の処理について理解しておくことが重要。 具体的な取引例 例:従業員の頼みで、個人的な支出65,000円を立て替え、現金で支払う。 仕訳: 借方:立替金 65,000円 貸方:現金前払金(3級・2級商業簿記)
「前払金」の定義 商品などを注文した際に、品物を受け取る前に支払った手付金や内金のこと。 支払いに関連する勘定科目として「前払金」が使用される。 関連する用語:商品の仕入れなど。 「前払金」の概念 契約や注文が成立した際、手付金を支払うことが一般的。 支払った時点では品物の受け取りが確定していないため、「一時的に相手に預けているお金」として扱う。 支払った金額は資産勘定に計上され、将来的に商品を受け取る権利を持つと考えられる。 「前払金」の特性 仕入れや費用として確定しているわけではない。 目的の品物が手に入らなければ、支払った金額を返金してもらうこともある。 「前渡金」という用語も同義で使用されることがある。 取引例配賦差異(2級工業簿記)
配賦差異の重要性 2級工業簿記で非常に重要な概念。 製造間接費を予定配賦や標準原価計算で計算する際に生じる差異。 試験対策として配賦差異の理解は必須。 配賦差異の定義 配賦差異は、製造間接費の予定配賦額(正常配賦額)と実際発生額との差額。 この差異の把握は、原価管理やコスト管理において重要。 関連用語 「実際配賦」、「予定配賦率」、「製造間接費」、「部門費」など。 配賦差異には「予算差異」と「操業度差異」の2種類がある。 配賦差異の計算方法 予定(正常)配賦額 = 予定(正常)配賦率 × 実際操業度。 実際発生額との差額が配賦差異。 差異の処理方法 実際発生額が予定額を上回る場合、追加コストとして借方差異(不利差異)。 実際発生額が予定額を下回る場合、コスト節約として貸方差異(有利差異)。手形貸付金・借入金(3級・2級商業簿記)
手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」仮払金(3級・2級商業簿記)
仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。