北海道電力が来月再値上げの方針
北海道電力は、10月15日に、電気料金値上げの認可を経済産業大臣から受けた旨、プレスリリースしました。
詳しくは、次のサイトをご覧ください。
「電気料金値上げの認可について」
⇒ http://www.hepco.co.jp/info/2014/1189782_1635.html
「値上げの内容」
⇒ http://www.hepco.co.jp/price_revise/commentary_summary.html
上記のサイトを見ると、電気料金設定のしくみがよくわかります。
ちなみに、家庭用の電気料金の決定方法で、ときどき、「総括原価方式」という言葉が出てきます。
これは、ざっくり言うと、電力会社でかかる事業に必要な「原価」を基準に電気料金を算定する方法です。
その計算式は次のとおりです。
電気料金収入=営業費+事業報酬?控除収益
営業費は電気事業に必要な経費と考えていいでしょう。
燃料費や電力の購入料や減価償却費や人件費やその他の経費がふくまれます。
さらに、事業報酬(電気の安定供給に必要とされる各種設備資産×適正な報酬率)を加算し、電気料金以外の収入を控除して、電気料金を求めます。
昨今、問題となっているものの一つに原発の「廃炉費用」の扱いがあります。
以前は、この廃炉費用はいわゆる損益会計における「特別損失」という扱いで、営業費に含まれていませんでした。
それが、昨年に、廃炉に関する費用の一部が営業費に含まれるような会計規則の変更があったのですね。
これによって、総括原価方式の営業費が膨らむことになり、「電気料金が上昇するのでは?」という懸念につながっています。
そもそも、このような廃炉会計の問題が出た根っこには、さきの大地震で原発事故が起こったことの反省として、バックフィット制度が導入されたことが大きいと見られています。
バックフィット制度とは、発電所の電源の多重、多様化や原子炉格納容器の排気システムの改善など、最新の技術的知見を技術基準に取り入れて、すでに運転をしている原子力発電所にも、この最新基準への適合を義務づける、というものです。
最新基準を満たさない場合には、運転停止(廃炉)を命じることができるとしています。
(参考:東京電力「事故と放射線に関する基礎知識」より)
⇒ http://www.jaero.or.jp/data/02topic/fukushima/knowledge/56.html
経済産業省などの廃炉会計見直しに関する議論を見てみると、さかんに「バックフィット制度」によりいたしかたなし、という論調が見て取れます。
それくらい、原子力発電の維持と関連する会計問題を考えるにあたって、重要な影響を与える要素なのだと想像できます。
さて、いろいろな細かい時事テーマの話が出てきましたが、ここでちょっと視点を変えて、支払った電力料金が決算書のどこに反映されるか、についてちょっと考えてみましょう。
具体的には損益計算書の2カ所に関係します。
工場で発生した電力量の支払額は、製造原価(製品の制作費用)のうち、「経費」という第3の原価に含まれます。
※原価は材料費・労務費・経費の3要素からなります。
製造原価は、当期の生産量のうちお客に払い出された分を「売上原価」として損益計算に反映させ、当期末の在庫の分は棚卸資産としてバランスシートに計上され、次期に繰り越されます。
いっぽう、工場以外の場所、具体的には店舗や本社などで発生した電気料金の支払額は、すべて発生した年度の販売費または管理費として費用計上されます。
このように、電力量の発生場所によって、売上原価に含まれるか、販売費および一般管理費に含まれるか、2とおりのてん末があるんだな、ということを知っておくといいですね。
以上、電力量に関する時事テーマと、その費用処理について考えてみました。
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