確定拠出年金、誰でも加入可能に?
厚生労働省が14日に確定拠出年金制度の見直しに着手したそうです。
確定拠出型年金とは、個人の運用成績によって将来受け取る年金額が変わる制度です。
従来の常識であった、「退職金は一定額保障されている」といった観念を覆す制度ですね。
会社にとってはラッキーです。
株価が下がるなどしても、その分年金支給額の積立不足が出ないのですから。
ある意味「従業員の皆様、自己責任で将来の年金受取額を増やすなり減らすなりがんばってくださいね?」みたいな感じの仕組みとなります。
消費増税、少子高齢化、デフレ進行中で、日経平均が、長期的には伸び悩んでいる状況下、みんなの運用成績が、元本以上になるとは、考えにくいのですが、皆様、いかがお感じになりますでしょうか。
ちなみに、公認会計士として20年以上、株式運用も含めた企業財務などに携わってきましたが、株式投資で利益を出している人は全体の20%もいればいいほうです。
もっというと、この20%のうちのさらに半分以上は、おそらくたいした儲けにすらなっていないと想像できます。
投資のやり方や最低限の資産運用のルールを知るなど、何の準備もしなければ、おそらく8割の側=損失に陥ります。
新聞では、確定拠出年金が主婦などにも利用可能、みたいな印象付けをしていますが、ほんとうにそれって主婦にとって幸せなんですか?といいたい。
よくよく見ると、拠出と称して月6万8千円を上限とする掛け金を払う制度になるそうですよ。
その掛け金、ほんとうに素人運用で将来増えると思っているのでしょうか。
だったら、今、NISAに預けてあるお金をすぐ運用してごらんなさいな、…それ、できます???というお話しです。
今、NISAの資金を株式投資して増やせるという自信がないならば、主婦や公務員が確定拠出に参加しても、将来の年金が増えるなんていう甘い期待は必ずしもいだけませんね。
「誰が、何のために、今そのニュースを流しているか?」
政治的な意図が裏に見え隠れするなあ、と深読みしてしまうのは、私だけでしょうか。
年金で増やすことを考えるもいいですが、まずは、楽天証券などで口座を開いて、すぐに株式投資して知識と経験を高める方が近道ではないかな?ということです。
…というわけで、昨今、個人投資家を煽る風潮が目につきますので、ここはひとつ、これから個人で株式運用をする初心者の方のための会計教育を始める必要があるかな、と本気で考えています。
現在、キッズBOKIという企画を進めていますが、これと関連づけて「キッズ投資」という会計教育メソッドを本気で考えようかと思っています。
たしかに、これからは会計の素養をもっと高めた方が資産防衛しやすくなるので、社会的意義はあります。
そんなことを考えさせられる確定拠出年金の加入対象拡大に関するニュースでした。
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