円安が進み、110円台定着か?
為替相場が一段と円安・ドル高の動きの傾向を鮮明にしているようです。
10月1日の為替市場では1ドル110円台を記録するなど、6年ぶりの円安水準まで行きました。
円安の要因にはいろいろと考えられるものがありますが、今回は貿易収支との関係でみていきましょう。
たとえば、2013年度の貿易赤字は13兆円もの額に上っています。
今年に入っても貿易赤字の傾向は変わらず、7月でも1兆円近い貿易赤字だそうです。
貿易赤字が続くと、円は安くなりがちです。
その理由は、次の通りです。
(1)海外から物を買う。
(2)代金を外貨で支払う。
(3)手持ちの円を売って外貨を買い、代金を支払う。
(4)円を売って外貨を買う人が増えるため、円の価格が下がる。
(5)円の価格が下がると、外貨を買うのに必要な円の量が増える。
(6)円安になる。
反対に、貿易黒字になると、海外にモノを売るので、海外の人からもらった外貨を売って、円を買うことになるので、円の価格が上がり、円高になります。
以上が、貿易収支の赤字黒字と円相場の動きの一般的な関係です。
ちなみに、いったん円安の傾向になると、そのあとは輸出企業にとって、有利です。
なぜなら、同じ外貨ベースの値段で売っても、それを売って円を買うときに、外貨の価格が高くなっていて、より多くの円を手にすることができるため、同じ外貨で売っても手にできる円が増えるといった現象になるからですね。
円安は、常識的には輸出企業にとって有利になるため、多くの場合、上場企業の決算がよくなり、株価が上がる要因にもなります。
ただし、これはあくまで「貿易収支と為替相場」という限られた関係性に注目した話ですので、すべてがこのような関係で現実的に推移するわけではない、ということは頭の片隅に入れておきましょう。
為替相場は、その国の経済力とかインフレ率とか政治情勢とか金利とかも複雑に関連しながら決まっていきます。
とはいえ、貿易収支と為替相場の関係は、経済を見るうえで、とても大事なので、この機会にしっかりイメージできるようにしておきたいですね。
ちなみに、会計的な話としては、たとえば100ドルの売掛金(売上代金の未回収分)があったとして、販売時よりも1円だけ円安になったら、100ドル×1円=100円だけよけいに円を手にすることにできます。
この差額は、「為替差益(かわせさえき)」といって、損益計算書では営業外収益の区分に表示されます。
ご参考まで。
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