フルスピード、新株予約権発行で21億件を調達
ウェブ広告のフルスピードは、新株予約権を発行して約21億円を調達すると18日に発表しました。
http://www.fullspeed.co.jp/ir/pdf/794610c63c7449d9d2fffe36eb0a2ecc.pdf
大和証券に対して第三者割り当てにより新株予約権24,000個を割り当てます。
割り当て日は9月4日です。
これによる資金調達額の手取りは概算で2,118,344,000円だそうです。
新株予約権の1個あたり行使価格は当初880円です。
その後、修正する可能性がありますが、下限は528円で上限はありません。
ちなみに、フルスピードの8月19日時点での株価は830円です。
調達資金の使い道は、システム費用、人件費、外注費用、サーバー費、運用トレーディング大成の体制構築費、マーケティング費、M&A費用などが挙げられています。
なお、この新株予約権の行使により発行される株式数は最大で2,400,000株です。
これは、発行決議日における発行済株式数対比で15.72%になります。
ここで基礎知識です。
【新株予約権】
新株予約権者(この権利を所有する者)が、新株予約権の発行会社に対してこの権利を行使した時に、あらかじめ定められた条件にしたがって発行会社より新株を発行または自己株式を移転してもらうことのできる権利です。
新株予約権は、購入者にとって時価より低い行使価格で新株を手にできるチャンスが増えるため、株価が好調な企業にとっては資金調達を安全かつ有利に進めることができます。
なお、新株予約権の会計処理ですが、発行時には次のように「新株予約権」という勘定科目を用いて貸方に記帳します。
(1)新株予約権発行時の仕訳
(借方)現金預金 ×××(貸方)新株予約権 ×××
新株予約権のバランスシートにおける表示区分は「純資産の部」です。
返済不要の調達手段であるため、負債の部には表示されません。
(2)新株予約権の権利が行使された時の仕訳
(借方)新株予約権 ×××(貸方)資本金 ×××
現金預金 ××× 資本準備金 ×××
資本金には、行使された新株予約権と払い込まれた額の1/2以上の額が組み入れられます。
差額は資本準備金となります。
(3)新株予約権が権利行使されずに消滅した時の仕訳
(借方) 新株予約権 ×××(貸方)新株予約権戻入益 ×××
新株予約権は、「将来の新株を行使価格で発行することを請求できる権利」に対して支払われた権利料ですが、行使期間が過ぎれば権利は消滅してしまいます。
そのさい、支払われた権利料は返金されませんので、支払った方は損失、受け取った方は利益となります。
以上より、新株予約権のてん末は、
(1)権利行使されれば資本金や資本準備金となり、
(2)権利行使されずに消滅すれば利益となることから、
いずれにせよ純資産の別の科目に振り返られる運命にあります。
このような意味で、新株予約権は、一時的な仮勘定ということもできますね。
以上、新株予約権に関するお話でした。
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