電通が、のれん償却負担で最終損失7億円
電通は、8月12日に2014年4?6月期の第1四半期決算を発表しました。
⇒ http://www.dentsu.co.jp/ir/
それによると、売上高は前年同期比で4.7%増加の538,256百万円であった一方、四半期純利益は735百万円の赤字となっています。
ただし、前年同期の四半期純利益が3,698百万円の赤字であったことを考えると、赤字の額が減少しているとも言えますが…。
最終赤字が7億3500万円計上された大きな原因として、2013年に買収した英広告大手イージスののれん償却負担があるようです。
ちなみに、第1四半期ののれん償却額は7,817百万円なので、もしものれん償却額がなければ、営業損失153百万円は153+7,817=7,664百万円の黒字になっていた、と表面上は逆算することができますね。
電通の会計方針を見ると、のれん(無形固定資産)については、5年から20年間の定額法(毎期一定額を償却費とする計算方法)により、各期の費用として配分しています。
なお、金額が僅少な場合は、発生時に全額費用としているようです。
ここで、日本における現在の会計ルールでは、20年以内の期間で償却しなければならないので、その費用計上負担が、損益計算書の業績を下げることになります。
いっぽう、国際会計ルールでは、のれんは償却せずに、毎期、価値が下がっているかどうかをチェックして減損損失の形状の可否を検討する、というやりかたなので、通常はのれんの費用配分を各期に行いません。
こういった点を考えると、同業種で日本の上場企業と海外の上場企業の業績を比較する際に、その前提となる会計ルールの違いで数十億円以上の業績算定の結論が変わってくる可能性もあり、単純に比較できなくなる、という財務分析上の問題が出てきますね。
国際的な会計ルールの統一の問題にもつながります。
以前に比べ、日本基準と国際基準の差異は小さくなったというイメージがありますが、まだそれも完全ではない、というわけです。
ただし、いっぽうで、必ずしも国際ルールにすべて日本の会計実務が擦り寄っていけばいいのか、というとまたそうは簡単にいかないところもあると思います。
日本には日本固有の商慣習とか会計実務の歴史・価値観などすでに確立されていますから、場合によっては国際会計基準の解釈がそのまま日本の商慣習の表現にあてはまらないかもしれません。
今後も、日本基準と国際基準との比較という観点から、上場企業の決算を見ていくことは、とても有意義だと思います。
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