ミネベアのフリー・キャッシュ・フロー16%増加
ミネベアの2015年3月期におけるフリー・キャッシュ・フローが281億円と予想され、2014年3月期の242億円よりも16%増加する見込みのようです。
フリー・キャッシュ・フローの基本的な意味は、営業活動による現金収支から、設備投資の現金支出を引いた金額のである、ということです。
その残額は、一般に借入資金の返済、株主への配当、将来の競争力アップのための投資など、さまざまな用途に使用できます。
企業の意思で自由に使えるお金、ということでフリー・キャッシュ・フローと呼ばれるのですね。
日経新聞ではしばしば「純現金収支」と呼んでいます。
ちなみに、経営管理用、あるいは企業価値を算定するなどの目的で、詳細かつ正確なフリー・キャッシュ・フローを計算しようとしたら、一般に公表されているキャッシュ・フロー計算書のデータでは不十分です。
営業活動に伴うキャッシュ・フローはもとより、投資活動のキャッシュ・フローの中身はさらに詳細に調整が必要になるでしょう。
しかし、外部の人間の立場で便宜的に財務分析するならば、簿記検定1級や会計士・税理士試験で学ぶ簿記のルールに従い、一般に公表されている財務諸表としてのキャッシュ・フロー計算書から簡便的にフリー・キャッシュ・フローを出しても、それなりに利用価値はあります。
じっさい、企業の設備投資計画などを詳細に把握して、真にフリー・キャッシュ・フローを求めるのに必要な「現状にあわせた投資活動の資金支出」をはじきだすのは容易ではなく、労多くして効果少なし、ということにもなりかねません。
というわけで、公表されている3つの区分のキャッシュ・フロー情報の
うち、
(1)営業活動によるキャッシュ・フロー および
(2)投資活動によるキャッシュ・フロー
の合計をもって、フリー・キャッシュ・フローと考える分析の方法が一般的となっています。
<キャッシュ・フロー計算書の構成内容>
1.営業活動によるキャッシュ・フロー
⇒営業活動による収入、仕入支出、人件費支出、その他の営業費用支出などの差し引きで求める。主たる営業目的の活動から獲得される現金のこと。
2.投資活動によるキャッシュ・フロー
⇒固定資産(建物、土地、機械設備など)への投資額やそれらの処分による売却収入、あるいは貸付金や有価証券や定期預金への資金支出なども投資活動として考えられている。
3.財務活動によるキャッシュ・フロー
⇒資金調達活動に関連する収支を表す。借り入れや借り入れの返済、社債の発行や償還、株式の発行にともなう増資、配当金の支払い、自己株式の取得などから成る。
これら3つの活動区分による現金収支を合計すると、原理的には、期首の資金残高と期末の資金残高の差額(当期の現金増減額)に一致します。
いいかえると、一年間の現金預金などの資金の増減は、営業活動による収支プラス投資活動による収支プラス財務活動による収支で説明できるのですね。
ミネベアの話に戻しますと、2014年3月期におけるキャッシュ・フローのうち、営業活動が491億円、投資活動が249億円なので、491?249=242億円がフリー・キャッシュ・フローと計算されます。
そして、2015年3月期の予想だと、営業活動が478億円、投資活動が197億円の見込みだそうですので、478?197=281億円になります。
242億円の前期との比較では、281?242=39億円ほどフリー・キャッシュ・フローが増加する予定となっています。
そこで、39億円÷242億円≒16.1%の増加率がはじき出されるわけですね。
フリー・キャッシュ・フローが増えることのメリットは、企業が将来の競争力を強めるための積極的な投資がしやすくなるのと、返済などの財務体質の強化に対しても資金的な余裕が出てくるなど、さまざまな点で企業の選択の余地が広がります。
選択の幅が広がる、というのは非常に経営戦略上有利になる状況ですので、企業としては大歓迎ですね。
今後のミネベアの事業展開が楽しみです。
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