役員報酬の開示情報
上場企業などが決算日から3ヶ月以内に公表する有価証券報告書という財務報告書類には、決算書のデータはもちろん、そのほかにもいろいろと会社の状況を判断するために有益な情報が盛り込まれています。
7月16日の日経15面の記事は、「はじめての有報」シリーズ第2回目ということで、役員報酬の開示情報について解説してありました。
役員は、その会社の経営全般について意思決定を行う、とても重要な機関ですね。
代表取締役を筆頭に、取締役や監査役など、企業の経営の根幹にかかる判断を日常的に行っている船頭役といえます。
もちろん、彼らのマネジメント能力ないし内部チェック能力が、じゅうぶんに機能しないと、その会社は誤った方向性に突き進むことになり、将来の健全な発展が望めなくなります。
そのような重責を担う役員に対しては、やはりその責任と役割の重要性に応じて、相応の報酬を支払うことになります。
ちなみに、会社とのあいだの法的な関係としては、従業員と取締役などの役員とでは、大きな違いがあります。
従業員と会社の関係は、「雇用契約」に基づきます。
労働基準法など、各種の労働者を保護する法令によって従業員の処遇については、企業に対してさまざまな制約があります。
これは、一般に単独では立場が弱くなりがちな労働者を保護する趣旨ですね。
したがって、給料の額などの決定も雇用契約に基づきます。
いっぽう、役員と企業の関係は、委任契約に基づきます。
(参考)会社法330条
「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。」
会社が、役員に対して経営を委任するという関係ですね。
これは、雇用契約とは異なります。
したがって、役員に対する職務の対価は「役員報酬」という勘定科目で処理し、従業員に対する労務の対価は「給料」や「賃金」などといった勘定科目を用いて処理します。
損益計算書上は、役員報酬は一般管理費の扱いになります。
役員は通常、企業の経営全般を管理するのが役割だからです。
これに対し、従業員に対する給料や賃金は、その発生する場所に応じて、製造原価(労務費)となるか、販売費(営業・マーケティングなど)となるか、一般管理費(本社・管理部門など)になるか、それぞれ状況によって処理を分けて考えます。
なお、有価証券報告書では、役員の生年月日だけでなく、その上場企業などにおける役員報酬で1億円以上の役員については明示するなど、本来は個人情報かも、と思えるような領域の情報開示も行われています。
新聞の事例では、たとえば2014年3月期における役員報酬として、三菱電機では1億円以上の役員が18人いるというふうに公表されています。
競合他社と役員報酬の額を比較検討してみるのも、興味深い分析方法の一つですね。
役員報酬の企業業績に与える影響であるとか、他社に比べて多すぎるか少なすぎるかなどの判断ができます。
さらに、監査人としての監査法人の報酬なども開示されており、これも他社比較などによって、その額が適切な範囲にあるかどうかなど、さまざまな観点からチェックできます。
有価証券報告書は、情報の宝庫ですね。
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立替金(3級・2級商業簿記)
立替金の定義 立替金とは、誰かのために一時的に支払った代金で、後日精算されるもの。 よく関連語句として「給料」がセットで出てくる。 立替金の概念 例:従業員の個人的な支出や取引先の負担すべき広告費などを、一時的に立て替えて支払う。 支払った金額は「将来返してもらう予定のお金」として資産に計上される。 立替金は「立替金の請求権」として扱われ、資産勘定に計上。 簿記の問題での立替金 給与支給時に従業員に対する立替金を相殺する処理が出題されることがある。 立替金の処理について理解しておくことが重要。 具体的な取引例 例:従業員の頼みで、個人的な支出65,000円を立て替え、現金で支払う。 仕訳: 借方:立替金 65,000円 貸方:現金前払金(3級・2級商業簿記)
「前払金」の定義 商品などを注文した際に、品物を受け取る前に支払った手付金や内金のこと。 支払いに関連する勘定科目として「前払金」が使用される。 関連する用語:商品の仕入れなど。 「前払金」の概念 契約や注文が成立した際、手付金を支払うことが一般的。 支払った時点では品物の受け取りが確定していないため、「一時的に相手に預けているお金」として扱う。 支払った金額は資産勘定に計上され、将来的に商品を受け取る権利を持つと考えられる。 「前払金」の特性 仕入れや費用として確定しているわけではない。 目的の品物が手に入らなければ、支払った金額を返金してもらうこともある。 「前渡金」という用語も同義で使用されることがある。 取引例配賦差異(2級工業簿記)
配賦差異の重要性 2級工業簿記で非常に重要な概念。 製造間接費を予定配賦や標準原価計算で計算する際に生じる差異。 試験対策として配賦差異の理解は必須。 配賦差異の定義 配賦差異は、製造間接費の予定配賦額(正常配賦額)と実際発生額との差額。 この差異の把握は、原価管理やコスト管理において重要。 関連用語 「実際配賦」、「予定配賦率」、「製造間接費」、「部門費」など。 配賦差異には「予算差異」と「操業度差異」の2種類がある。 配賦差異の計算方法 予定(正常)配賦額 = 予定(正常)配賦率 × 実際操業度。 実際発生額との差額が配賦差異。 差異の処理方法 実際発生額が予定額を上回る場合、追加コストとして借方差異(不利差異)。 実際発生額が予定額を下回る場合、コスト節約として貸方差異(有利差異)。手形貸付金・借入金(3級・2級商業簿記)
手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」仮払金(3級・2級商業簿記)
仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。