スカイマーク、赤字57億円と事業継続に疑義
スカイマークは、7月31日に発表した2014年度第1四半期決算において、5,795億円の四半期最終赤字を出しました。
決算短信⇒ http://www.skymark.co.jp/ja/company/investor/140731_ir.pdf
2014年4月?6月の3カ月における業績を見ると、
売上高 18,194 百万円 (前期比△1.5%)
営業利益 △5,526 百万円
経常利益 △5,448 百万円
四半期純利益 △5,795 百万円
各利益とも50億円以上の赤字を記録しています。
ちなみに、前年同期(2013/4?6)の業績を見ると、
売上高 18,478 百万円
営業利益 △2,477 百万円
経常利益 △1,203 百万円
四半期純利益 △1,241 百万円
やはり赤字であり、この傾向が今年はさらに顕著になったと言えそうです。
売上高は若干の減少であり、前年同期比で284百万円程の変動ですから、営業損失が30億円以上も下がったのは、費用の増加による理由であると考えられます。
この点、同社の決算発表内容を見ると、次のような興味深い説明がありました。
事業費は、エアバスA330-300型機の導入に伴う航空機材費の増加(前年同期比25.4%増)及び同機の導入に係る運航乗務員訓練費の増加(前年同期比397.0%増)並びに整備部品費の増加(前年同期比13.3%増)、また原油価格水準が引き続き高値水準で推移したことによる航空機燃料費の増加(前年同期比9.7%増)等の影響により、総額22,910百万円(前年同期比14.0%増)となりました。
(スカイマーク 第1四半期決算短信 「1.当四半期決算に関する定性的情報 (1)経営成績に関する説明」より引用)」
以上より、事業費を前年同期比と比較すると、
2013/4-6…20,105百万円
2014/4-6…22,910百万円
よって増加額は2,805百万円、実に28億円も事業費用が増えています。
この事業費の著しい増加が50億円を超える営業損失の主な原因であり、スカイマークのコスト面における苦境の様子がありありと想像できますね。
これに加え、エアバス社から計6機のA380型の購入契約について解除通知を受けているということで、それにより多額の解約違約金が発生する可能性があります。
こういった状況かにあって、スカイマークには、「継続企業の前提に関する重要な疑義」を生じさせる状況が存在している、と発表されました。
この「継続企業の前提」というのは、企業会計が成立するうえでの根本的な前提条件のひとつで、「企業は一旦成立したら、原則として半永久的に事業を継続する」という仮定です。
将来のどこかの時点で解散することを前提に会計実務を行うことはしません。
たとえば、5年後の決算日に会社が解散することを前提としてしまったら、それよりも先まで耐用年数がある固定資産などの減価償却が規則的に計算できなくなりますし、5年後の時点で企業を生産したと仮定した場合の特殊な企業評価の手続きなどが必要となり、他の継続企業との会計数値の比較などもできなくなります。
現在、世間で発表されているすべての会社は、継続企業の前提があるから、簿記検定などで習っている減価償却・引当金の計上・社債や有価証券の手続を継続して行えるのですね。
これが事業の清算や売却などを想定した会計手続きになると、まったくことなるコンセプトの決算書を作ることになり、不都合です。
今回のスカイマークは、将来にわたって企業が存続しえない可能性がある、ということを明らかにしたわけですから、現在の基本的な会計実務の大前提がくずれかねない深刻な状況にあるわけですね。
このような状況も、投資家などによる会社の将来性の判断にとって重要な資料となり得るだろう、というのが継続企業の前提に関する重要な疑義の情報開示の趣旨といえます。
これからの経営の立て直しがどのように努力されていくか、注目していきたいですね。
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仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。