いまさら聞けない?「円安効果」
富士重工業が、2014年3月期の連結純利益について、従来予想の2,070億円(2013/11/13発表時)から、140億円アップの2,210億円に上方修正しました(2014/2/4)。
ご参考までに、富士重工のリリース記事の一部を引用させていただきますね。
<2014年3月期 通期連結業績見通し>
通期販売台数見通しは、前回予想に対し22千台増の829千台に上方修正します。
通期連結業績見通しは、為替レートを見直すと共に、台数の増加等を見込み、連結売上高2兆3,800億円、営業利益3,100億円、経常利益2,940億円、当期純利益2,210億円に上方修正します。
全世界販売台数、連結売上高、各利益段階のいずれも過去最高となる見通しです。
なお、通期連結業績見通しの前提となる為替レートは?99/US$、?133/EUROです。
※2013年11月13日 業績予想の修正公表時の通期連結業績見通し
売上高2兆3,000億円、営業利益2,780億円、経常利益2,720億円、
当期純利益2,070億円、
想定為替レート?97/US$、?127/EURO
(引用元資料⇒ http://www.fhi.co.jp/contents/pdf_97613.pdf )
富士重工業のホームページ
「富士重工業 2014年3月期 第3四半期連結業績の概要」より
上記を見ると、予想売上高も2兆3000億円から2兆3800億円へ800億円上がっていますね。
販売台数の上昇と為替レートの見直しがその主な原因ということです。
為替レートの見直しの内容をチェックすると、
☆¥ 97/US$ ⇒¥ 99/US$ (2.02%の円安)
☆¥127/EURO ⇒¥133/EURO (4.72%の円安)
このように、ドルベースで2%、ユーロベースだと5%近くもの円安です。
当期純利益予想の上昇率が
(2,210?2,070)/ 2,070=6.76%
であることから、為替相場の変動(2?5%)による影響が大きく関係しているだろう、ということが想像できます。
これも一種の「円安効果」ということになるのでしょう。
そこで、2014年4月3日の日経朝刊15面では、特集記事の一つとして、「円安効果の意味」について詳しく取り上げられています。
たとえば、100万ドルの商品を売り上る予定だとして、当初想定していた為替レートが1ドル97円だったと仮定します。
その場合、予想される売上高は97円×100万ドル=9700万円です。
しかし、その後、1ドル99円に円安が進むと、予想される売上高が99円×100万ドル=9900万円と上昇し、実際の販売数量にはまったく変化がないにもかかわらず、為替相場の変動だけで売上の予想額が200万円もアップするということが起こりえます。
もちろん、富士重工くらいの超大手企業になると、海外売り上げの規模も100万ドルとかそんなものではないでしょうから、当初の想定レート97円が99円に変化する影響はもっと大きいでしょう。
それが、今回の予想修正による純利益140億円のアップの大きな原因のひとつと考えられるわけです。
ちなみに、材料などを輸入し、製品を作って国内で販売している会社は
その逆で、材料の仕入代金が円安で高騰するために利益を逆に少なく計上することになりますね。
このあたり、輸出がメインか輸入がメイン化によって、利益に与える影響が正反対になるところが興味深いところです。
以上、4月3日の日経朝刊でとりあげられていた「円安効果」について、考えるお話でした。
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仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。