岩塚製菓、中国のせんべいがヒットで配当収入
中国で日本のせんべいが売れ、その製造技術を提供している岩塚製菓が、受取配当というかたちで大きな経営成果を手にしている、という非常に興味深いビジネスが日経朝刊で紹介されていました。
岩塚製菓は、戦後まもなく、新潟県長岡市で創業しました。
米菓など、農産物を加工した食品を手がけ、その技術をベースとして事業を大きくしてきたという歴史があります。
近年、国内米菓市場は低迷しているようで、国内向けの事業はなかなかふるいません。
その一方で、中国・上海に拠点を置く中国旺旺HD(ワンワングループ)との技術提携が、海外展開の重要な経営戦略のひとつとなっています。
新聞によれば、1980年代から中国に製造技術の供与がスタートしたそうです。
そして、中国で日本のせんべいがヒット、円換算の営業利益が800億円弱、時価総額で約2兆円にも達する大企業にワンワングループが成長したという話は、とても私たちの興味を引きますね。
現在、岩塚製菓は中国旺旺HDの株式を約5%所持しているそうです。
B/Sに表示されている評価額は566億円(H25/3)。
ちなみに、平成25年3月期の貸借対照表を見ると、岩塚製菓の連結総資産が1035億円なのに対し、投資有価証券が914億円と、ほぼ総資産の9割近くが取引先の株式保有などによる資産構成になっており、超ユニークです。
なかでも、中国旺旺HDへの投資額は566億円ですから、なんと、総資産の約半分を中国旺旺HDにつぎ込んでいると見ることもできます。
もはや、現時点での戦略的なコアが中国での事業にあると見られても不思議ではないバランスシートの状況ですね。
さらにおもしろいのは、これだけの金額を投下しているけど、持ち株比率が新聞によれば5%だという点です。
いっぱんに、持ち株比率が20%に達しなければ、関連会社にもなりません。
それはすなわち、岩塚製菓のグループ企業のひとつではない、ということを意味します。
独立した第三者としての中国企業との業務提携で、総資産の約半分を投下するという思い切りの良さは注目に値しますね。
さらに、損益計算書を見ると驚きます。
平成25年3月期を例に取りましょう。
売上高 205.8億円
営業利益 1.4億円
経常利益 13.3億円(注:受取配当金108.3億円)
当期純利益 7.6億円
営業利益率は1.4/205.8=0.68%に過ぎません。
しかし、経常利益率は6.4%と急激に上昇します。
最終的には7億円以上もの当期純利益を稼ぎ出している源泉が経常利益であり、その大部分を受取配当金が占めているのです。
ここまで極端に提携先の受取配当金が業績の重要ポイントになっている会社を、私は見た記憶がないです。
中国におけるビジネス展開の成否が、業績に多大な影響を与えることがあるのだな、という大きな学びを得るとともに、これからは岩塚製菓のテーマとして、国内の米菓子上における需要をいかに掘り起こしていくか、といった足元の課題もあるように感じさせられますね。
この記事を見て、私も一度、岩塚製菓のせんべいを食べてみたいなー、と思ってしまいました(笑)
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