有利子負債1割増は、デフレ脱却の兆しか?
3月期決算企業の有利子負債総額が、昨年12月末で175兆円となり、一年間で約19兆円(1割強)増えたと、日経朝刊で報じられました。
その理由として、成長に向けた設備増強などへの資金需要が高まっているためだとしています。
アベノミクスで経営心理が改善し、投資意欲が回復したことがその背景にあるとの見解ですね。
ここで、基礎知識として有利子負債の意味を確認しておきましょう。
有利子負債とは、借入金や社債など、利払いを伴う負債の合計を一般に意味します。
このほか、コマーシャルペーパーという手段で資金調達している会社は、これも含めて計算しますね。
【用語】
コマーシャルペーパー
「ある程度の信用力を有する大企業がオープン市場から短期資金を調達するために発行する無担保の割引約束手形のことである。」
(Wikipediaより引用)
主な内容は借入金や社債ですね。
こういった他人から資金を借り入れる形で調達すれば、利払いとともに、いずれは元本の返済もしなければなりません。
したがって、業績が悪化すれば、資金繰りを苦しくする諸悪の根源に
なってしまうことが多いです。
バランスシート
借入金
社債
リーマンショックで景気低迷が鮮明となっていた2008年以降は、有利子負債が2012年まで140兆円台で推移していたそうです。
しかし、昨年から増加傾向になっているとか。
これがアベノミクスによる投資意欲の増加とも関係が深いだろう、という見方がなされています。
ただし、注意が必要なのは、あくまで売上アップなど、業績が好調である限りにおいて有利子負債増加が正当化されるという点です。
もしも4月以降の消費増税で売上が反対に減少し、業績が悪化トレンドに転じたら、どうなるでしょうか。
有利子負債を増やしたことが、逆に資金繰りの足かせになりかねない、というリスクが高まります。
特に中小企業では消費増税による消費の冷え込みが真っ先に資金繰りに影響しますので、借入増加にはじゅうぶんに注意が必要なのではないか、と
思うのですね。
まだまだ、積極的に借り入れを増やすには、消費増税後の景気動向を見てから判断しても遅くはないという気がいたします。
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 公式法変動予算(2級工業簿記)
公式法変動予算の定義 製造間接費を管理する方法 操業度(生産量や稼働時間)の増減に応じて予算額が変動 関連用語 固定予算、製造間接費の管理、予定配賦、配賦差異など 予算の概念 将来の一定期間における事業計画の財務面を示す経営計画 製造間接費は「変動費」と「固定費」に分けて管理 変動費 操業度の増減に応じて変動する原価(例:水道光熱費、間接材料費) 固定費 操業度に関わらず一定額が発生する原価(例:家賃、リース料) 変動予算の特徴 固定費は操業度に関係なく予算額は変わらない 変動費は操業度に応じて予算額が調整される 具体例 フル操業(500時間)、変動費率700円、固定費600,000円の場合 500時間の予算額: 700円 × 500時間 - 受取手形(3級・2級商業簿記)
受取手形 手形は売上代金の回収方法の一つで、現在は手形レス化が進んでいる それでも簿記学習には重要なテーマ 受取手形の定義 将来の一定期日に、手形に記載された代金を受け取る権利を表す資産勘定 関連用語 売掛金: 商品を販売して代金を後で受け取る権利 売上債権: 売掛金と受取手形を合わせたもの 貸倒引当金: 売上債権に関連し設定される 売上代金の回収方法 現金売上: 代金をその場で受け取る 掛売上: 後払い、未回収の代金は「売掛金」 受取手形: 取引先が発行した約束手形を受け取った場合 取引例 商品40万円を売上げ、20万円を現金で受け取り、残り20万円を約束手形で受け取る 仕訳例 売上 400,000円 現金 200,000円 受取手形 200,000円 - 報酬、連結決算、有価証券報告書
報酬 職務の遂行に対する対価として支払われる現金やその他の資産。 従業員の報酬 給与手当(指示命令系の仕事)。 役員の報酬 役員報酬(専門家としての経営成果に対する報酬)。 経営プロフェッショナルとして経営を委託されるため、給与とは区別される。 専門家報酬 会計士や税理士に支払う報酬(業務委託の形)。 連結決算 親会社と子会社などの企業群の決算を合算して、グループ全体の損益を算出する手法。 上場企業においては、単体決算だけでなく、連結決算が重視される。 連結決算に基づく財務諸表は「連結財務諸表」と呼ばれる。 英語表記は「Consolidated Financial Statements」。 有価証券報告書 上場企業や一定規模以上の企業が作成し、外部に開示する義務がある報告書。 - 製造間接費(2級工業簿記)
製造間接費の定義 製造間接費は、間接材料費、間接労務費、間接経費の合計額。 これらの費用は直接製品に関連付けられないため、基準を用いて製品に配分する。 製造間接費の配分基準 直接作業時間や機械運転時間、直接労務費などが配分基準として使用される。 作業時間が多い製品には、より多くの製造間接費が配分される。 関連する用語 間接材料費、間接労務費、間接経費、配賦率、配賦、仕掛品 など。 配賦率は、1時間あたりの製造間接費を示し、基準に基づいて製品ごとに製造間接費を配分するために使用される。 製造間接費の配分方法 製造間接費は直接製品に関連付けられないため、合計額を配分基準に基づいて配分する。 直接作業時間や機械運転時間などの基準を使用して、配賦率を算出し、製品ごとに配分。 - 退職金、総務、経理
退職金 簿記2級から登場、簿記1級では頻繁に出題 企業で長年働いた役員や従業員に支払われる金銭 長期間の勤務に対する対価として、支払額は大きくなることが多い 退職金を毎年積み立てることが望ましい 退職給付引当金として負債計上 役員への退職金は「退職慰労金」と呼ばれることもある 簿記では従業員に対する退職金の引当金を覚えることが重要 総務 企業内で重要な役割を担う管理部門 人事、経理、広報などの専門部署がない場合、業務をまとめて担当 企業によって役割や業務内容が異なる 大企業では株主総会の準備や社長秘書業務なども含まれる 中小企業では管理業務のほとんどを担当することがある 営業部門や製造部門などの専門部署以外の事務を担当 経理