財務省が要請、国債取引の増加で金利安定化?
日銀の大規模な金融緩和の影響で、国債を取引するマーケットでの国債流通量が減少しているようです。
昨年4月以降のアベノミクス第一弾で、「異次元の金融緩和!」とブチ上げていたことは記憶に新しいですね。
これは何を意味するかというと、日銀による国債の大幅買い入れと、その支払いで貨幣の供給量がバンバン増えましたよ?!という状況なのですね。
新しく発行した国債の4割?5割を買ったというのですから、そりゃあ市場で流通する国債の量が減るのは自明ですわな。
国債は、国債のマーケットで売り買いされるひとつの商品と考えればイメージできることですが、商品の流通量が減ると、ちょっとした需要と供給のバランスの変化で価格が著しく変動するリスクを抱え込みやすくなります。
むかし、たまごっちというおもちゃがありました。
あれ、なぜかすごく人気があったんですよ。
1996年に発売された時の値段は1,980円だったそうですが、爆発的に売れて、超品薄状態に。
一時、数万円の値段がついたということですから、おそらく10倍以上のバブル価格になったのでは?と思います。
つまり、希少価値が高まると、価格がとんでもなく変動しやすくなるんですよ、というお話です。
たまごっちと国債を並べて語るのは、ちょっと気が引けなくもないですが、いま、国債も品薄状態なんですね?。
というわけで、銀行や証券会社に応札を義務付けるというかたちで、財務省が動き出すのではないかとみられているわけです。
ちなみに、
1.国債が品薄
↓
2.価格変動しやすい
↓
3.だから金利が乱交下しやすい
この流れ、イメージできるでしょうか。
おそらく、1.国債が品薄だから、2.価格が変動しやすい、というところまではわかりやすいと思います。
問題は、「価格が変動すると、なんで金利まで動くの?」という部分ではないでしょうか。
具体的には、国債の流通量がすくない市場で、投資家が手持ちの国債を売ろうとすると、取引規模が小さくなっているわけですから、あっというまに売り圧力が買い圧力よりも優ってしまい、価格がドバッと下がりかねません。
価格が下がると、国債の利回りが高くなることを意味するので、それはすなわち金利上昇を引き起こしますよね?、なんていうストーリーです。
金利が上がると、今のご時世、いろんな意味で困ります。
まず、今の経済の好調さ?を代表している指標の株価が下がります。
また、利払い負担が増えるので、国債の利払いや庶民の住宅ローンなどの利払い負担も増えます。
借金をしている企業の利払いにも影響を与えます。
景気が後退する大きな原因になりえます。
こんな感じで、今、金利が上がるのはちょっと勘弁!という雰囲気なんですね。
そこで疑問。
「なんで、国債の価格が下がると金利が上がることになるの?」
この問題に応えるために、かんたんな事例をご用意しました。
(例1)
1年後に1,000万円で償還される債券を、その時の価格990万円で購入した。途中の利払いはないとする。
<仕訳>
(借方)投資有価証券990万円 /(貸方)現金預金990万円
(例2)
一年後、債権が償還されて額面1,000万円が払い込まれた。
<仕訳>
(借方)現金預金1,000万円 /(貸方)投資有価証券 990万円
有価証券利息 10万円
このように、購入時の価格と償還額との差額10万円は、利息として認識されます。
この場合の金利(利回り)は、10万円÷990万円=1.01%です。
もしもここで、一年後に満期を控えている債券の価格が980万円に下落してしまったら、どうなるでしょうか。
(例3)
1年後に1,000万円で償還される債券を、下落した価格980万円で購入した。途中の利払いはないとする。
<仕訳>
(借方)投資有価証券980万円 /(貸方)現金預金980万円
(例4)
一年後、債権が償還されて額面1,000万円が払い込まれた。
(借方)現金預金1,000万円 /(貸方)投資有価証券 980万円
有価証券利息 20万円
このように、購入時の価格と償還額との差額20万円は、利息として認識されるので、金利(利回り)は、20万円÷980万円=2.04%と急上昇しますね!
このように、債券の売買価格が下がるということは、償還額との差が開くことを意味するため、必然的に金利が高くなることにつながるのです。
だから、債券価格が下がると金利が上がる!とか、債券価格が上がると金利が下がる!というふうにいわれるわけなのですね!
以上!国債取引の活性化に関するニュースと金利・債券価格の関係に関する話題でした!
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 公式法変動予算(2級工業簿記)
公式法変動予算の定義 製造間接費を管理する方法 操業度(生産量や稼働時間)の増減に応じて予算額が変動 関連用語 固定予算、製造間接費の管理、予定配賦、配賦差異など 予算の概念 将来の一定期間における事業計画の財務面を示す経営計画 製造間接費は「変動費」と「固定費」に分けて管理 変動費 操業度の増減に応じて変動する原価(例:水道光熱費、間接材料費) 固定費 操業度に関わらず一定額が発生する原価(例:家賃、リース料) 変動予算の特徴 固定費は操業度に関係なく予算額は変わらない 変動費は操業度に応じて予算額が調整される 具体例 フル操業(500時間)、変動費率700円、固定費600,000円の場合 500時間の予算額: 700円 × 500時間 - 受取手形(3級・2級商業簿記)
受取手形 手形は売上代金の回収方法の一つで、現在は手形レス化が進んでいる それでも簿記学習には重要なテーマ 受取手形の定義 将来の一定期日に、手形に記載された代金を受け取る権利を表す資産勘定 関連用語 売掛金: 商品を販売して代金を後で受け取る権利 売上債権: 売掛金と受取手形を合わせたもの 貸倒引当金: 売上債権に関連し設定される 売上代金の回収方法 現金売上: 代金をその場で受け取る 掛売上: 後払い、未回収の代金は「売掛金」 受取手形: 取引先が発行した約束手形を受け取った場合 取引例 商品40万円を売上げ、20万円を現金で受け取り、残り20万円を約束手形で受け取る 仕訳例 売上 400,000円 現金 200,000円 受取手形 200,000円 - 報酬、連結決算、有価証券報告書
報酬 職務の遂行に対する対価として支払われる現金やその他の資産。 従業員の報酬 給与手当(指示命令系の仕事)。 役員の報酬 役員報酬(専門家としての経営成果に対する報酬)。 経営プロフェッショナルとして経営を委託されるため、給与とは区別される。 専門家報酬 会計士や税理士に支払う報酬(業務委託の形)。 連結決算 親会社と子会社などの企業群の決算を合算して、グループ全体の損益を算出する手法。 上場企業においては、単体決算だけでなく、連結決算が重視される。 連結決算に基づく財務諸表は「連結財務諸表」と呼ばれる。 英語表記は「Consolidated Financial Statements」。 有価証券報告書 上場企業や一定規模以上の企業が作成し、外部に開示する義務がある報告書。 - 製造間接費(2級工業簿記)
製造間接費の定義 製造間接費は、間接材料費、間接労務費、間接経費の合計額。 これらの費用は直接製品に関連付けられないため、基準を用いて製品に配分する。 製造間接費の配分基準 直接作業時間や機械運転時間、直接労務費などが配分基準として使用される。 作業時間が多い製品には、より多くの製造間接費が配分される。 関連する用語 間接材料費、間接労務費、間接経費、配賦率、配賦、仕掛品 など。 配賦率は、1時間あたりの製造間接費を示し、基準に基づいて製品ごとに製造間接費を配分するために使用される。 製造間接費の配分方法 製造間接費は直接製品に関連付けられないため、合計額を配分基準に基づいて配分する。 直接作業時間や機械運転時間などの基準を使用して、配賦率を算出し、製品ごとに配分。 - 退職金、総務、経理
退職金 簿記2級から登場、簿記1級では頻繁に出題 企業で長年働いた役員や従業員に支払われる金銭 長期間の勤務に対する対価として、支払額は大きくなることが多い 退職金を毎年積み立てることが望ましい 退職給付引当金として負債計上 役員への退職金は「退職慰労金」と呼ばれることもある 簿記では従業員に対する退職金の引当金を覚えることが重要 総務 企業内で重要な役割を担う管理部門 人事、経理、広報などの専門部署がない場合、業務をまとめて担当 企業によって役割や業務内容が異なる 大企業では株主総会の準備や社長秘書業務なども含まれる 中小企業では管理業務のほとんどを担当することがある 営業部門や製造部門などの専門部署以外の事務を担当 経理