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リソー教育、上場契約違約金1,000万円を計上

小さな子供を持つ親としては、「ええ?あそこが??」と思えるような、ちょっとショッキングなニュースでした。
いちどは子供を通わせる候補の一つとして、検討したことのある親御さんも多いのではないでしょうか。
個別指導塾「TOMAS」や幼児教育の「伸芽会」などで有名なリソー教育が、不適切な会計処理を続けていたということで、東京証券取引所から上場契約にともなう違約金1,000万円の支払いを求められたと発表しました。
子供向けの教育事業を営んでいる会社ですから、よりいっそう、社会の模範となるような経営が求められるようにも思うのですが、具体的には、どのようなことがあったのでしょうか。
以下、リソー教育の発表内容の一部を引用してご紹介いたします。
「株式会社リソー教育(以下「同社」という。)は、平成26年2月10日に不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査報告書を開示するとともに、同年2月14日及び同年2月17日に、平成20年2月期から平成26年2月期第2四半期までの有価証券報告書、四半期報告書について訂正報告書等を提出しました。
これらによって、同社及び同社連結子会社では、代表取締役を含む多数の取締役の指示又は黙認の下で、未実施の授業の実施が仮装されるなど様々な手口で不適切な売上計上が行われ、売上高が総額で8,308百万円、当期純利益が総額で5,846百万円過大に計上されていたこと、訂正の結果、当期純損失を計上する決算期が生じるなど各期の利益水準が大幅に低下するとともに、平成24年2月期は債務超過に陥ることが判明しました。
本件の原因行為は、同社の売上を過度に重視する経営方針及び短期間の営業成績に基づく人事評価制度のもとで、売上目標の達成が役員及び従業員の至上命題となる中、不適切な売上計上もやむを得ないという社内風土を背景として、様々な手口を駆使して行われたものであり、当該行為に関与した関係者には、コンプライアンス意識の著しい欠如が認められます。
また、同社の管理部門は、管掌する取締役が存在しないなど、社内での立場は弱く、チェック機能が脆弱でありました。
更に、同社では、システムの仕様自体が不適切な売上計上を誘因しかねないものであったうえに、一部の連結子会社においては、システム上の欠陥が意図的に放置されておりました。
更に、監査役についても、十分な監査を行っておらず、監査法人や内部監査部門との緊密な連携も図られていなかったほか、内部監査部門も、十分な体制は整備されておりませんでした。
以上を総合的に勘案すると、同社の内部管理体制等については、改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特設注意市場銘柄に指定することといたします。」
※「特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求についてのお知らせ」より、本文の一部を引用の上、ご紹介いたしました。
http://www.riso-kyoikugroup.com/ir/pdf/2014/20140310.pdf
おそるべきことに、売上の過大(架空?)計上を訂正した結果、平成24年2月期は債務超過状態になってしまっていたとのことです。
当時の黒字決算を信じて株式取引をした人は、虚偽表示による損失を被ったと考えるかもしれません。
へたをすると、責任問題になりかねないのではないかと、第三者の立場ながら、ちょっと心配になってしまいますよね。
ちなみに、訂正前と訂正語が比較できる最新の決算書として、平成25年度第2四半期(平成25年8月31日)の売上高、経常利益、四半期当期純利益、純資産および総資産の額を比較してみました。
1.訂正前の平成25年8月31日(第2四半期。6カ月累計)
売上高 105.2億円
経常利益  46.8億円
純利益  18.4億円
純資産 112.9億円
総資産 169.7億円(自己資本比率66.5%!)
2.訂正後の平成25年8月31日(第2四半期。6ヶ月累計)
売上高  91.8億円
経常損失 △8.6億円
純損失 △7.8億円
純資産  54.4億円
総資産 198.7億円(自己資本比率27.4%!!)…39.1%ダウン?
つまり、昨年の8月末時点で、じつは純資産が54.4億円しかなかったところ、最初は112.9億円あったかのように表示されていたのです。
そして、平成25年8月末から3ヶ月後の平成25年11月末、第3四半期の業績です。
3.平成25年11月30日(第3四半期。9ヶ月累計)
売上高 141.3億円
経常損失 △9.7億円
純損失 △15.0億円
純資産  38.7億円
なお、同時期の総資産は202.9億円です。
自己資本比率は19.1%ですね。
訂正後の第2四半期27.4%より悪化しています。
もしも自己資本比率が10%以下まで下がってしまったら、存続の危険性すら出てきます。
記事や発表内容を拝見すると、過酷な売上ノルマ、売上至上主義、企業風土や内部管理体制の脆弱性などが厳しく指摘されています。
こうなると、監査法人はここまでどのような監査をしていたのかと、非常に厳しく問われる可能性も否定できません。
リソー教育を担当しているのは九段監査法人というところですね。
これから、法的な問題などがたくさんでてくるでしょうから、大変だと思います。
最後に、本来ならば率先して社会の規範となるべき教育産業にあって、このようなコンプライアンスの根幹に関わる時事ニュースが出たことは、とても残念ですね。
TOMASは高田馬場にもあり、有名であることから世間的には一定の信頼度があったことでしょう。
この機会にしっかりと立て直して、子供たちに誇れるような会社に生まれ変わっていただけることを願うばかりです。

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