企業の倒産件数が23年ぶりの低水準
東京商工リサーチが2月10日発表した1月の全国企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、864件と」前年同月比で7.5%減少したそうです。
※東京商工リサーチ
→ http://www.tsr-net.co.jp/news/status/monthly/201401.html
15カ月連続の前年同月比の倒産減少ということで、アベノミクス効果は、ここでも出ているようですね。
ちなみに、年間の倒産件数(負債額1000万円以上)についてのデータをご紹介しますと、2013年は10,332件だったそうです(帝国データバンク)。
これに対し、2012年2月時点の企業者数を調べると、386万社(法人、個人あわせて)とのことですので、2012年前後では、全企業者数に対する倒産件数の比率は、
1万÷386万=0.26%という数字になります。
386の事業者のうち、1社ずつが毎年倒産する、というイメージでしょうか。
さて、このような倒産などを原因として、その会社に対する受取手形や売掛金などの債権が回収不能になることを、簿記の世界では「貸し倒れ」といいます。
この貸し倒れが生じたら、次のように仕訳するのが基本です。
(設例)
A社が倒産し、同社に対する売掛金が100万円貸し倒れた。
(借方) 貸倒損失 100万円 (貸方) 売掛金 100万円
なお、決算日時点で数百社もの得意先に対し、合計で5000万円の売掛金があったとしましょう。
そして、過去の実績を見ると、毎年、得意先のおおむね0.5%が経営破たんして、貸し倒れが生じていることがわかりました。
とすれば、当期末の5000万円についても、0.5%はおそらく来期中に貸し倒れて、債権が目減りするだろうなあ、という予測ができますね。
その場合、決算で、5000万円×0.005(0.5%)=25万円を、将来の貸し倒れ予想額として設定します。
※仕訳例
(借方) 貸倒引当金繰入額 25万円 (貸方) 貸倒引当金 25万円
このような、合理性のある予測に基づいて将来の費用・損失を見積もり計上することを、「引当金を設定する」といいます。
ここでは、将来の貸し倒れを予測して設定する引当金なので、「貸倒引当金」といいます。
貸倒引当金は、「将来の売掛金などの減少予想額」という意味ですので、
バランスシート上は、売掛金などから控除して、たとえば
売掛金?貸倒引当金=残額を売掛金の期末評価額
として表示するのですね。
(設例)
期末時点で、5000万円の売掛金があり、その0.5%相当が将来の貸倒見積額と考えられた場合の、バランスシートにおける売掛金の期末評価額はいくらか?
⇒5000万円×0.005=25万円…貸倒引当金
⇒5000万円?25万円=4975万円…バランスシート上の売掛金評価額
バランスシート(単位:万円)
(資産)
:
売掛金 5000
貸倒引当金 △25 4975
:
以上、今回は倒産などにより、将来経営破たんする可能性のある金銭債権などの期末評価方法に関するお話でした。
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手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」仮払金(3級・2級商業簿記)
仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。