消費税をすべて転嫁できる事業所はたった4割弱!?
日経新聞社が、食品や日用品などの製造・卸 259 団体に 11 月に調査し、約7 割の 178 団体から回答を得た結果の集計だそうです。
回答した団体の 87%は中小企業がメンバーの大半を占めますので、身の回りの会社がどのていど消費税をきちんと上乗せできるとみているかの重要な指標となるでしょう。
それによると、来年 4 月から 8%に消費税率アップが実施された場合、全額が転嫁可能と答えた団体がたった 39%であるというショッキングな(?)結果が出ました。
全額が難しいというところでも、半額以上転嫁できるのが 19%、半額程度というところで 10%だそうです。
いっぽうで、半額も無理だろうというのが 5%ですが、以上の回答内容をすべて足しても 73%です。
残り 27%程度は、わからないとか、全額転嫁できないだろうという見解なのでしょう。
いずれにせよ、消費税の理念が、いきなり「机上の空論??」みたいになっている現実をまのあたりにしますね。
あと、「税負担者と納税者がちがうから、なんちゃらかんちゃら」ということをもっともらしくおっしゃる主張が時々見受けられます。
確かに立法論的には正論かもしれません。
これは、「消費税を負担するのは最終消費者で、事業者はただ「預かった消費税を右から左に収めるだけ」という制度形式的な議論が背景にあります。
しかし、それも現実を説明するには、ちょっと苦しい気がしますよね。
全部とはいかないまでも、かなりの部分、意図しない価格アップなどの報いで、事業主が負担しているんですよ、消費税ってやつは。
でなきゃ、毎年、3000 億円以上も滞納が出るわけねーだろ、ってなもんでね。
だ・か・ら!
中小企業者は立法者の想像もつかないところで、裏で涙をこらえて消費税を身銭から払っているんっすよ。
だいたい、負担者が他人なら、なんで回答者の 100%が全額転嫁できると言わないんでしょう。
私は、消費税を「預り金」などと思ったことはいちどもありません。
これは、国から事業主に対して押し付けられた「価格アップ強制制度」です。
税収確保のため、ご協力を!といわれて逃げ道がないのは、弱者である多くの中小事業主です。
(強者の事業主もいるので、それは議論の外です。)
消費者は、価格転嫁による価格アップに対しては、買い控えという強力な対抗手段で事業主を追い詰めることができるのです。
つまり、105 円×1000 個=105,000 円で買っていたものが、108 円×1000 個=108,000 円になるとしたら、家計はそのままバカ正直に 1000 個を買うことなどしません。
給料が上がらないならば、105,000 円の予算÷108 円=972.2 個の購入に抑えるに決まっています。
そんな、小学生でもわかることが、きちんと世間的には共通認識されているかどうか、かなり怪しいですね。
あるいは、為政者たちは、主婦にはその程度の経済感覚もないだろう、とたかをくくっているのでしょうか。
だとすると、あまりに盲目的と言わざるを得ません。
話を戻しますと、この結果、家計の支出は変わらず、事業者の納税額が105,000 円×(0.08/1.08)=7,777 円となります。
裏を返せば、事業者の純粋な売り上げは105,000 円×1.00/1.08=97,223 円になるのですね。
いかがですか?
税込の売上トータルは 105,000 円と同じです。
(来年後半以降、現状維持ならまだマシ。おそらく反動で 8 割がたの会社が売り上げ減ですよ。それに備えていらっしゃいますか?世の経営管理者の方々…)
でも、5%のときの事業主の売上は 10,000 円だったのが、来年 4 月以降、まともに転嫁したカウンターパンチで、トータル税込売上げは横ばいだけど、8%を国などに抜かれて 97,222 円に売上本体が目減りします。
差し引き 2,778 円の消費増税「自然値引き」です。2.778%の売上が減るんですよ。
現在、国税の新規滞納が年あたり約 6,000 億円ありますが、その半分を超える 3,180 億円が消費税である、という事実をもっと国民はシビアに受け止めるべきです。
2 位は個人事業主の申告所得税の滞納ですが、それでもたったの(?)1133億円ですよ。
2 位を 3 倍近く突き放してのダントツ滞納王者!は、消費税です。
いくらアベノミクスがどうとか言っても、その恩恵は上場企業や大企業ばかりで、庶民や中小には降りてきてないんだから、その段階で「消費税アップを価格転嫁に!」なんていわれても、「わたし、ムリ?」みたいに今風
の若者よろしくかる?い感じで言い放つしかないですよね。
とはいえ、消費税率アップは確定路線なので、半年後の強制 3%値上げ政策に対して、今からビジネスマンができる対抗手段は、「3%の売り上げダウンでも、利益が出る財務体質」を今から作り上げるしかない、ということです。
カギとなるのは、「管理会計の知識」ですよ!
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立替金(3級・2級商業簿記)
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「前払金」の定義 商品などを注文した際に、品物を受け取る前に支払った手付金や内金のこと。 支払いに関連する勘定科目として「前払金」が使用される。 関連する用語:商品の仕入れなど。 「前払金」の概念 契約や注文が成立した際、手付金を支払うことが一般的。 支払った時点では品物の受け取りが確定していないため、「一時的に相手に預けているお金」として扱う。 支払った金額は資産勘定に計上され、将来的に商品を受け取る権利を持つと考えられる。 「前払金」の特性 仕入れや費用として確定しているわけではない。 目的の品物が手に入らなければ、支払った金額を返金してもらうこともある。 「前渡金」という用語も同義で使用されることがある。 取引例配賦差異(2級工業簿記)
配賦差異の重要性 2級工業簿記で非常に重要な概念。 製造間接費を予定配賦や標準原価計算で計算する際に生じる差異。 試験対策として配賦差異の理解は必須。 配賦差異の定義 配賦差異は、製造間接費の予定配賦額(正常配賦額)と実際発生額との差額。 この差異の把握は、原価管理やコスト管理において重要。 関連用語 「実際配賦」、「予定配賦率」、「製造間接費」、「部門費」など。 配賦差異には「予算差異」と「操業度差異」の2種類がある。 配賦差異の計算方法 予定(正常)配賦額 = 予定(正常)配賦率 × 実際操業度。 実際発生額との差額が配賦差異。 差異の処理方法 実際発生額が予定額を上回る場合、追加コストとして借方差異(不利差異)。 実際発生額が予定額を下回る場合、コスト節約として貸方差異(有利差異)。手形貸付金・借入金(3級・2級商業簿記)
手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」仮払金(3級・2級商業簿記)
仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。