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確定拠出型年金の含み損が解消!?

格付投資情報センター(R&I)が、確定拠出年金の運営管理を手がける金融機関 3 社の協力により、加入期間半年以上の人を対象に、加入以来の運用実績を調査したそうです。
調査対象者は 176 万人で、国内加入者 461 万人の 4 割に相当するということなので、相当数のデータが集まったといえそうです。
ご存じのとおり、2008 年のリーマン・ショックや以降の欧州債務問題などで、株式などの運用成績が不振に陥っていたことは誰の目にも明らかでした。
年金運用成績も例外ではなく、2011 年 9 月末時点では投資額の 6 割が元本割れの状態であったと報じられています。
それが、2013 年 9 月末時点で 2%にまで減少したということです。
加入以降の通算の運用利回りは、年率換算で約 3.54%のプラスだということで、一年前がマイナス 0.28%であることを考えると、非常に運用実績が好転していると考えられます。
さて、ここで基礎知識です。
退職給付とは、将来の従業員の退職時における退職金の支払いのことであり、その額を見積もって、現時点における会社負担額をバランスシートの固定負債の部に計上します。
固定負債とは、仕入・販売取引などの主な営業サイクル以外のところで発生する負債で、決算日の翌日から一年を超えて支払期日が来るような負債のことです。
例としては、社債や長期の借入金がありますね。
退職金の支払いも、多くの場合、数年または十数年以上先の従業員の退職を機に支払うものですから、やはり固定負債となります。
なお、退職給付には、「確定給付型」と「確定拠出型」の2種類があります。
確定給付型とは労働協約や雇用契約などに基づいて、一定の計算式により各従業員の退職給付の額が確定しているタイプの退職給付です。
この場合、たとえば外部に積み立てている退職年金資産の運用実績が善かろうと悪かろうと、従業員に支給される退職金などの額は固定されています。
したがって、株価下落などにより年金資産が目減りすると、積み立て不足が企業の負債として重くのしかかってくることになるのですね。
従来、日本企業の多くは確定給付型なので、退職金の支払額は確定しているケースが多かったですね。
確定拠出型とは確定給付型のように、将来の退職金などの額を一定額で保証せず、個人の運用成績に応じて受給額が変わるタイプの退職給付です。
このような場合、運用成績が好調ならば個人が受け取る退職給付が増えますが、反対に運用成績が悪いと、給付額が減るかたちになります。
以上よりわかるのは、確定拠出型の方が、企業としては運用成績が悪い時に過重な負担に苦しまなくて済むという特徴があるという点ですね。
そうなると、個人個人の投資に対する運用力が将来の取り分を左右することになります。
日本に確定拠出型が導入されて 12 年がたちますが、普及が思うように進まず、資産残高が、アメリカの約 100 分の 1 とされる 7 兆円となっています。
今回の運用成績の改善で、日本の各企業に確定拠出型の導入が進むことが、期待されています。
ここでも、「貯蓄から投資」へという資産運用の意識変化を促す動きがあるということだと思います。
NISAの申込が好調であることと併せて、個人がより株式投資などの資産運用に興味を持つようになると、経済の活性化につながるかもしれません。

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