ゴールドウィン、ROAが今期8%になる見通し
スポーツウエア中堅のゴールドウィンが、2014年3月期における総資産経常利益率(ROA)を8%に押し上げる見通しだと報じられていました。
前期比で1ポイント近く上昇するとみられています。
主力ブランドのザ・ノースフェイスなどが販売好調なのが大きな要因となっています。
商品卸先のスポーツ用品店を定期的に巡回して売れ筋商品の把握を徹底し、滞留在庫の発生を未然に防ぐ戦略も功を奏しているように見受けられます。
業績好調に伴う手許資金の増加は、借入の返済・圧縮にも寄与しそうで、当期末の有利子負債(借入れや社債などの合計)を前期比で3割から5割減らす方針とのことです。
一年前のほぼ半減が達成できたら、これから消費増税で景気が冷え込む前に、財務体質の強化ができそうですね。
ROAはReturn On Assetsの略で、企業が所有している総資産が、どれくらいの利益を生み出しているか、という意味で資産の有効活用の度合いを表す重要な財務分析指標と言えます。
理論的には、次のような計算式で求められます。
【ROAの計算方法】
ROA=当期の経常利益/平均総資本
※平均総資本=(期首総資本+期末総資本)÷2
ここで、総資本とは、バランスシートの貸方(右側)にある「負債」と「純資産」の合計です。
会計理論のセオリーとして、会社が所有している総資産と資金調達方法の合計である総資本(負債+純資産)は必ず一致するので、「総資本」は結果として「総資産」と言い換えても、数値的には対して問題はないでしょう。
ちなみに、期首の総資本と期末の総資本を足して2で割ることにより、平均の総資本残高を分母として採用している理由は次のとおりです。
会社が一年間で稼ぐ利益は、期末になって全額がドーンと計上されるわけではないですね。
期首から期末にかけて、一年を通してまんべんなく平均的に発生すると考える方が自然です。
このような期中を通じて徐々に発生していく利益は、期首の総資本からも生み出されていると考えます。
そして、順調に儲かっているならば、期首から積み上げられていく利益は、
その後どんどん期首の総資本に加算されて、期末の総資本に向けて増えていきます。
したがって、当期の利益の影響は、前半部分は期首の総資本から大きく生み出されていると考えられるため、期首と期末の総資本残高の2分の1くらいで計算をするのがより実態に近いと考えられるのですね。
なお、便宜上、期末の総資本で経常利益を割っても、よほど期中に大きな総資本の変動がなければ、常識的にみて、それなりに意味のある数字が得られるだろうということで、「経常利益÷期末総資本」で便宜上ROAを計算し、過去や同じ時期の同業他社などと比較することも、実務上はみられます。
要は、比較するときに同じ数値のコンセプトに基づけば、財務比較に際しての大きな支障はないだろう、というお話です。
理論的には平均総資本ですが、便宜的には期末総資本でROAを計算することも間違いではないんだな、という感じでご理解いただけるとよいでしょう。
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配賦差異の重要性 2級工業簿記で非常に重要な概念。 製造間接費を予定配賦や標準原価計算で計算する際に生じる差異。 試験対策として配賦差異の理解は必須。 配賦差異の定義 配賦差異は、製造間接費の予定配賦額(正常配賦額)と実際発生額との差額。 この差異の把握は、原価管理やコスト管理において重要。 関連用語 「実際配賦」、「予定配賦率」、「製造間接費」、「部門費」など。 配賦差異には「予算差異」と「操業度差異」の2種類がある。 配賦差異の計算方法 予定(正常)配賦額 = 予定(正常)配賦率 × 実際操業度。 実際発生額との差額が配賦差異。 差異の処理方法 実際発生額が予定額を上回る場合、追加コストとして借方差異(不利差異)。 実際発生額が予定額を下回る場合、コスト節約として貸方差異(有利差異)。手形貸付金・借入金(3級・2級商業簿記)
手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」仮払金(3級・2級商業簿記)
仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。