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川崎重工、事業単位でROICの目標を設定

川崎重工業の松岡京平副社長が、8月1日の日経新聞の取材に対して、この秋に新たな経営管理制度を導入する予定であると、話されたそうです。
どういうことかというと、売り上げ規模ではなく収益性を重視した財務指標で事業ごとに管理を行う方針のようです。
より具体的には、約50の事業単位を「ビジネスユニット」として、各ビジネスユニットのROIC(投下資本利益率)の目標値を設定します。
成果に応じた経営資源の振り分けを行うとともに、ROICを用いたユニットごとの採算性管理を強化するという方法です。
ここで基礎知識ですが、ROICとは、Return On Invested Capitalの略
でして、企業が各事業単位に投下した資本に対して、その事業単位がどれくらいの利益を生み出したかを比率で表す財務分析指標です。
計算式は、次の通りになります。
(基本式) ROIC=NOPAT÷投下資本
ここで、NOPATと投下資本の定義について、説明いたしましょう。
※NOPAT=営業利益×(1?実効税率)
NOPATは「Net Operating Profit After Tax」の略で、税引き後の
営業利益とお考えいただければよいでしょう。
※投下資本=純資産+有利子負債
純資産は、資産から負債を引いた差額で、おおむね株主の持分から構成されます。
有利子負債は、利払いを伴う債務で、具体的には主に借入金・社債・コマーシャルペーパーの合計です。
簡単にいえば、
「営業利益から税金負担額を引いたリターン(税引き後の営業利益)」が、「純資産および借入金・社債などの資金調達額の合計」に対して、
何パーセントの割合で獲得できているかを表します。
(計算例)
X事業部のバランスシートにおける借入金が120億円、社債が150億円、純資産が250億円であり、その年度の営業利益が200億円だったとする。
実効税率(実質的な税負担率)が35%だとして、X事業部のROICを求めなさい。
(計算プロセス)
NOPAT=200億円×(1-0.35)=130億円
投下資本=250億円+(120+150)億円=520億円
⇒ROIC=130億円/520億円=25% …答え
以上より、X事業部のROICは25%と算定されました。
なお、2005年度の当時、日産自動車はリーダーであるカルロス・ゴーン氏の指導の下、経営計画として自動車事業のROIC目標を3年平均で20%と設定しました。
今回の新聞記事にもありますように、川崎重工は、2013年3月期に6.1%だった会社のROICを3年で11%に高めるという目標を設定するそうです。
このような目標管理が、川崎重工の企業価値を高めるうえで有効である、と判断されたわけですね。
このように、上場企業でもROICを事業ごとの経営目標として設定するケースがあります。
中小企業であっても、投資リターンの効率という視点はとても大事ですから、会社内部の店舗やセグメント(事業等の区分)別にROIC目標を20%などに設定して、予算実績管理を行うといった経営手法は非常に有効であるといえましょう。
この機会に、実践的な経営分析ツールであるROICの理解を深めてみてはいかがでしょうか。?

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