法人税等の仮払いと確定の財務諸表表示
法人の所得(利益)に対して課税される「法人税」、「住民税」、
「事業税」などに関しては、会計上、表示のルールが定められて
います。
ルール1.確定申告の前に、予定・中間などの形で納付したような場合
…「仮払法人税等」(B/S(バランスシート))
ルール2.当事業年度の決算で確定した場合
…「法人税、住民税及び事業税」(P/L(損益計算書))
ルール3.確定申告の結果、還付が「確実」となった場合
…「未収還付法人税等」
(説例1)2006.11.30に、300万円を
予定納付(前年の法人税等の1/2を前金として支払う)した。
バランスシート
―――――――――――――――――――――
現金預金 ▲300|
|
仮払法人税等 300|
|利益剰余金 ± 0←←・
――――| ―――― ↑
± 0| ± 0 ↑
====| ==== ↑
↑
↑
損益計算書 ↑
―――――――――――――――― ↑
売 上 高 ××× ↑
: : ↑
―――― ↑
税金等調整前当期純利益 ××× ↑
法人税、住民税及び事業税 0→→→→→・
――――
当期純利益 ×××
====
(説例2)2007.3.31に、法人税等の額が700万円に確定した。
700万円を損益計算の費用として表示すると共に、
仮払い額300万円と相殺のうえ、
予定納付額との差額400万円を、未払法人税等として
表示する。
バランスシート
―――――――――――――――――――――
現金預金 ▲300|未払法人税等 400
|
仮払法人税等 0|
|利益剰余金 ▲700←←・
――――| ―――― ↑
▲300| ▲300 ↑
====| ==== ↑
↑
↑
損益計算書 ↑
―――――――――――――――― ↑
売 上 高 ××× ↑
: : ↑
―――― ↑
税金等調整前当期純利益 ××× ↑
法人税、住民税及び事業税▲700→→→→→・
――――
当期純利益 ×××
====
この結果、期中に支払った300万円の現金の分だけ、
2007年3月末現在では資産が減少し、
その一方で、2007年5月末に支払義務がある
未納付分の税額400万円が負債として新規に計上されます。
その結果、「期中支払分300+期末負債計上分400」
=700万円
だけ、納税コストが発生する、
という形になるわけですね。
このように、仮払法人税という科目は、
近い将来の相殺とか精算などを予定する一時的な
性質のものである、ということを覚えておいてください。
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手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」 - 仮払金(3級・2級商業簿記)
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