支払利息の損益計算書表示と借入金の貸借対照表表示
借入金は、金融機関や取引先などの第三者から金銭消費貸借契約
などにより資金を借り入れた額で、貸借対照表の負債として表示されます。
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貸借対照表
―――――――――――――――――――――
(資産) |(負債)
|流動負債
| :
| 短期借入金 ××(要返済額)
|
|
|固定負債
| :
| 長期借入金 ××(要返済額)
|
|
|(資本)
| 資 本 金
| :
上記のように、貸借対照表の右側に、流動負債ないし固定負債
として債務額(要返済額)で表示します。
流動負債とは、近いうちに支払期限が来る負債のことです。
固定負債とは、支払期限が長期期間こないような負債のことです。
借入金の場合は、決算日の翌日から一年以内に返済期限が来るものを
流動負債、一年を超えて返済期限が来るものを固定負債とします。
借入金の額が大きいと、業績が悪化した時に、
返済負担と利払いの負担がダブルで会社を悩ませます。
借入金は、業績がよければアクセルに、
業績が悪ければブレーキになるので、
その残高管理には注意が必要ですね。
なお、意外に経営者の方、特に中小企業の社長さんなどは
うっかり勘違いしてしまうのですが、
借入金の支払は、経費になりません。
下記のように、貸借対照表の左右で同額が減少する
だけで、損益計算書の費用には、まったく計上できないので、
注意しましょう。
貸借対照表
―――――――――――――――――――――
(資産) |(負債)
現金預金 △100 |流動負債
| :
| 短期借入金△100
|
損益計算書
――――――――――――――
:
当期純利益 (影響なし)
「…ウソ!?そんなのみんなわかってるはずだよ!」
と思っている方も多いでしょうが、
上記のような認識違いの持つ意味の背景を、あなどることは
できません。
「金を払ってなんで経費にならんのだ?」
その素朴な疑問に、
「中学生でも理解できるように」
答えられるでしょうか?
「中学生にわかりやすく説明できるか?」
けっこうむずかしいですよね。
さあ!頭のトレーニングです(笑)。
ヒントは、支出には3パターンある、ということです。
1 経費としての支出
2 他の資産の購入としての支出
3 借金の返済としての支出
なお、借り入れを起こすと、毎年、何パーセントかの
金利を支払います。
その金利の支払は、下記のように、損益計算書の
「営業外費用」という区分に表示されます。
貸借対照表
―――――――――――――――――――――
(資産) |(負債)
現金預金 △30|固定負債
| :
| 長期借入金1000
|
損益計算書
――――――――――――――
:
営業外費用
支払利息 30(-)
: :
―――
当期純利益 △30
===
※営業外費用を控除したあとの利益を、経常利益といいます。
上記の例で行けば、1000万円の長期借り入れを従来から
おこなっており、1年間で30万円の利息を支払った、
ということがわかります。
ということは、損益計算書上の支払利息30万円を
長期借入金1000万円で割って、年利3%が推定できますね。
このように、バランスシートの借入金と損益計算書の支払利息は
密接な関係があるんだ、ということを知っておきましょう。
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立替金(3級・2級商業簿記)
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手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」仮払金(3級・2級商業簿記)
仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。