人件費とP/L、B/S表示
今回は、久しぶりに人件費ネタです。
去年の上半期は、結構人員削減の企業発表が多かったんです。
それが、今年の決算期に入ってからの利益増に貢献したことは、
多くの場合、間違いないと思います。
ところで、会計上、人件費は決算書のどの部分に関係すると思いますか?
・メーカー(製造業)の場合と
・商業(小売・卸売・サービス)の場合で、分けてみてもいいです。
・メーカー
(1)売上原価⇔棚卸資産(売れ残りに集計される人件費)
(2)販売費
(3)一般管理費
(4)特別損失
・商業
(1)販売費
(2)一般管理費
(3)特別損失
以上です。
まず、メーカーと商業に共通の項目から行きましょう。
販売費とは、企業の販売活動で生じる費用のことです。
したがって、販売活動で発生する人件費は、すべてここに
収容されます。
例としては、営業所の職員の給料、外務員の報酬、社会保険料、
福利厚生費、賞与、退職給付費用、諸手当です。
次に、一般管理費とは、企業を全般的に管理する部署で
生じる費用のことです。
企業を全般的に管理する部署は、全般管理機能ともいいますが、
この機能を負う組織図上の名称は、「役員会」とか「本社」
とか「本店」などです。
つまり、一般管理費となる人件費は、基本として、役員報酬、
本社で勤務する社員の給料、社会保険料、福利厚生費、賞与、
退職給付費用、諸手当です。
人件費 損益計算書 (単位:億円)
――― ―――――――――――――――――――――――――
1売 上 高 960
○ → 2売 上 原 価 660(?)
○ → 3販売費及び一般管理費 180(?)
――――――――――――――
営 業 利 益 120
4営 業 外 収 益 30
5営 業 外 費 用 54(?)
――――――――――――――
経 常 利 益 96
6特 別 利 益 10
○ → 7特 別 損 失 62(?)
――――――――――――――
税引前当期純利益 44
特別損失と人件費、というのはあまりなじみがないですが、
だいたいここで人件費が含まれるときは、
人員整理とか人員削減などの事業構造改革が行われて
います。
早期退職者を募集するときに、割増退職金がかかりますね。
その割増退職金相当とか、特別手当とか、関連事務コスト
などは、特別損失に入る可能性が高いです。
金額が小さければ、営業外費用とか販売費・一般管理費などに
紛れ込むこともありますけどね。
なお、製造業では、工場で製品製造のためにかかった人件費は、
材料費や他の経費とともに、製品原価に集計されます。
したがいまして、たとえば今月の工場での人件費が90万円
かかったとして、それで3台の製品を作り、2台は販売、1台
は在庫の場合、単純に計算すれば、
人件費の3分の2の60万円は「売上原価」としてP/Lに、
人件費の3分の1の30万円は「棚卸資産」としてB/Sに
表示されます。
貸借対照表 損益計算書
――――――――――――――― ――――――――――――
現 金▲90|
棚卸資産 30| 売 上 原 価 ▲60
| :
| ―――
|利 益▲60←← 利 益 ▲60
===
以上ですが、人件費の支出は、財務諸表のさまざまな表示場所に
含まれるんだ、ということを理解していただけるとよろしいでしょう。
■簿記の原理を理解すると、さらにB/S・P/Lの関係もクリアーに
なります。
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立替金(3級・2級商業簿記)
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仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。