資本振替仕訳
損益勘定勘定の借方(B+C)と貸方(A)の差額を、
貸借差額といいます。
この貸借差額(Z)は、翌期に帳簿を繰越すに当たって、
収益勘定や費用勘定と同じく、0にリセットします。
(貸方の方が大きい時は、純利益です。)
そこで、損益勘定の残高を0にするべく、借方にZと記入し、
その金額を資本金(店主の取り分)に加算するのです。
この仕訳を、「資本振替仕訳」といいます。
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lesson.068
★ 5分で完結!小学生でもわかる簿記入門 ★
(読者数3681人) 2004.10.29
関連HP https://bokikaikei.net/ (月・水・金 午前中)
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【CONTENTS】
○ 資本振替仕訳
(※図が見にくい方は、等幅フォントまたはMSゴシックでご覧下さい)
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○ 資本振替仕訳
ここは、流れを掴む事が大事なので、前回の復習から入りましょう!
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【前回の復習】決算振替仕訳
(2)「決算振替」仕訳… 収益・費用の残高を0にし、当期の
純利益(純損失)を、資本金に加算または
減算する仕訳
☆決算振替仕訳の種類(2つ)
その1 損益振替仕訳
収益・費用の残高を0にする仕訳
そのさい、「損益」勘定という架空の集計勘定を、仕訳の
相手勘定とする。
その2 資本振替仕訳
損益勘定の貸借差額(左右の差額)は、当期の純利益または
純損失であり、これを資本金勘定に加算または減算する。
まとめ
決算整理前残高試算表(スタート!)
==========
↓
(1)決算整理仕訳
↓
(2)損益振替仕訳→→ 「損益勘定(収益・費用の一覧表)」
↓
資本振替仕訳
↓
・→→→→→→ 「繰越試算表(資産・負債・資本の一覧表)」
※ 上記の「損益勘定」は、損益計算書に相当し、
上記の「繰越試算表」は、貸借対照表に相当する、と考えて
いただいて、結構だと思います。
損益振替仕訳の例
(例)M社の総勘定元帳において、売上勘定残高がA万円、
仕入勘定残高がB万円、営業費勘定がC万円だと
した場合の、損益振替仕訳を書いてみましょう。
+ 仕 入 売 上 +
・――――――――― ―――――――――・
・ B| | A・
・・・・・・ ・・・・・・
+ 営 業 費
・―――――――――
・ C|
・・・・・・
損 益
―――――――――
|
|
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
損益振替仕訳
(1)(借)売 上 A (貸)損 益 A
(2)(借)損 益 B (貸)仕 入 B
(3)(借)損 益 C (貸)営 業 費 C
総勘定元帳
+ 仕 入 売 上 +
・――――――――― ―――――――――・
・ B|(2)B (1)A| A・
・・・・・・ ・・・・・・
+ 営 業 費
・―――――――――
・ C|(3)C
・・・・・・
損 益
・―――――――――・
|(2)B|(1)A|
|(3)C| |
・――――| |
差額 Z→ | |
・――――・
【前回の復習はここまで♪】
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なお、損益勘定勘定の借方(B+C)と貸方(A)の差額を、
貸借差額といいます。
この貸借差額(Z)は、翌期に帳簿を繰越すに当たって、
収益勘定や費用勘定と同じく、0にリセットします。
(貸方の方が大きい時は、純利益です。)
そこで、損益勘定の残高を0にするべく、借方にZと記入し、
その金額を資本金(店主の取り分)に加算するのです。
この仕訳を、「資本振替仕訳」といいます。
<資本振替仕訳>
===========================
(借)損 益 Z (貸)資 本 金 Z
(+)
===========================
資 本 金 損 益
・―――――――――・ ・―――――――――・
| ××| |(2)B|(1)A|
| | |(3)C| |
|――――・ ・――――| |
|(4)Z ←← (4)Z| |
・――――・
ちなみに、もしも損益勘定の借方(費用)の方が、貸方(収益)
よりも大きい時は、当期の純損失(損をした)ということなので、
仕訳は、上記の反対に、資本金をマイナスする仕訳になります。
<純損失の時の資本振替仕訳>
===========================
(借)資 本 金 ××(貸)損 益 ××
( )
===========================
◆ 練習問題
次の取引を、仕訳・転記しましょう。
B社の損益勘定は、借方合計額が600万円、貸方合計額が720万円
であった。貸借差額を資本金に振り替える仕訳(資本振替仕訳)を行う。
【解答用紙】単位:万円
<仕訳帳>
――――――――――――――――――――――――――――――
(借) (貸)
――――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳の一部>
――――――――――――――――――――――――――――――――
資 本 金 +
―――――――――――――――・
| ××|
| |
|―――――――・
|
|
損 益 +
・―――――――――――――――・
|合計 600|合計 720|
・―――――――| |
| |
|―――――――・
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【模範解答】単位:万円
<仕訳帳>
――――――――――――――――――――――――――――――
(借)損 益 120 (貸)資 本 金 120
――――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳の一部>
――――――――――――――――――――――――――――――――
資 本 金 +
―――――――――――――――・
| ××|
| |
|―――――――・
| 120
|
損 益 +
・―――――――――――――――・
|合計 600|合計 720|
・―――――――| |
120| |
|―――――――・
―――――――――――――――――――――――――――――――――
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仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。