ソフトウェアの税務
前回は、中古資産についてご説明しました。
新品の資産と違い、中古資産は耐用年数が短くなることをおさえておきましょう。
さて、今回は、ソフトウェアの取扱いについてみていきましょう。
昨今、ソフトウェアを購入したり、自社製作したりすることが増えてきました。
ソフトウェアとは、機械や建物等のような形がある資産(有形固定資産)と違い、
形が見えない資産であるため、「無形固定資産」の一種に該当します。
無形固定資産とは、ソフトウェア以外に特許権,実用新案権,商標権などの
法律上の権利や鉱業権,電話加入権,借地権などの契約上の権利、営業権があります。
無形固定資産は、税務上、減価償却資産として、耐用年数に応じて減価償却を
していくことになります。
減価償却方法としては定額法を使用し、残存価額はゼロとして
計算することになります。
減価償却資産として取り扱う場合のポイントは、取得価額と耐用年数です。
<取得価額>
(1)購入した場合
購入の代価+購入に要した費用+事業の用に供するために直接要した費用
この場合、そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業及び
自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、
取得価額に算入します。
ソフトウェアによっては、購入してインストールしただけですぐ使える
ものばかりではありません。購入した後に、自社で使えるように、
設定を変更したり、仕様の変更をしたりする必要があるソフトウェアもあります。
そういった設定作業の費用もソフトウェアの取得価額に含める必要があります。
(2)自社で製作した場合
製作等に要した原材料費、労務費及び経費の額+事業の用に供するために
直接要した費用
自社で製作した場合には、そのかかった労力を時間換算するなどして、
取得価額に含めなくてはなりません。
<取得価額に算入しないことができる費用>
次のような費用は、取得価額に算入しないことができます。
(1)製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが
明らかであるものに係る費用
(2)研究開発費(自社利用のソフトウエアについては、その利用により将来の
収益獲得又は費用削減にならないことが明らかであるものに限ります。)
(3)製作等のために要した間接費、付随費用等で、その合計額が
少額(その製作原価のおおむね3%以内の金額)であるもの
<耐用年数>
(1)「複写して販売するための原本」及び「研究開発用のもの」・・・3年
(2)「その他のもの」・・・5年
上記の文章を図にまとめると次のようになります。
→ https://bokikaikei.net/2009/09/post_709.html
会計上の取扱いも合わせて載せておきましたので、会計と税務で異なる
取扱いをする箇所がありますので、注意しておきましょう。
では実際に数字を使ってみていきましょう。
A社は自社で利用するために、会社にERPソフトを導入しました。
このソフトは、取得価額が150万円、会社の仕様変更に伴う作業費として
300万円かかります。このソフトの初年度の減価償却費はいくらでしょうか?
答え:90万円
取得価額は150万円だけでなく、仕様変更に伴う作業費300万円を加算した
450万円になります。
この450万円を5年で定額法で償却します。
そのため、450万円÷5年=90万円となります。
今回は以上です。
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仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。