配当金を払う側・もらう側の決算書(貸借対照表・損益計算書への影響は?)
5月1日に施行された会社法では、利益の配当は、
「剰余金(じょうよきん)の分配」と呼ばれています。
いずれにせよ、「企業が営業活動で稼いだ利益のストックや自己株式
の売却で得た余剰金などを、株主に還元する(返還する)」という
ことです。
「お金を運用させてくれて、ありがとう!」というお礼ですね。
この剰余金の分配は、これからは、年二回に限定されること無く、
3回でも4回でも実施できます。
とくに上場企業の配当政策が、これからどのように変わっていくか、
興味のあるところです。
ところで、配当金を企業から株主へ支払われた時、その処理は、
決算書のどこに現われるのでしょうか。
「配当を払う側」と、「配当をもらう側」に分けて、見ていきましょう。
1.配当を払う側(単位:万円)
貸借対照表 損益計算書
――――――――――――――――――― ――――――――――
現金預金 △100| 影響なし
|
| ――――――
|利益剰余金△100
| ======
このように、配当を支払う側では、バランスシートの左側(借方)で
現金がマイナスされ、同時に、バランスシートの右側(貸方)で
利益剰余金という項目が、直接、同額だけマイナスされます。
上記は、100万円の配当を支払った、というケースですね。
損益計算書にはまったく記載がされず、業績には影響しないという点に
ご注意ください。
つまり、配当金の支払いは、「損益確定後の利益の事後的な分配」
であり、「業績計算上、売上獲得に貢献する必要経費ではない」という
見解に立っています。
たしかに、損益計算上の費用は、広告費にしても、従業員の給料に
しても、売上を上げるなどの企業の日常活動に貢献するコストです。
この点、配当というのは、株主に払うものであり、利益の計算要素と
いうよりは、利益計算後の事後処理項目としての性質を持っている、
というわけなのです。
2.配当をもらう側の処理(単位:円)
貸借対照表 損益計算書
――――――――――――――――――― ――――――――――
現金預金 +100| :
| 営業外収益 +100
| :
| ――――――
|利益剰余金+100 ←←当期純利益 +100
| ======
このように、配当金をもらう側では、株式投資(財務活動)の成果として
配当をもらったと考え、損益計算書上は、「営業外収益」という区分で
表示されます。
もらう側では、配当の受取額を業績の計算過程に組み込む、
というところが面白いですね。
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