減価償却費の税務上の取り扱い
今回から数回かけて、減価償却に関してみていきます。
まずは、減価償却の基本をしっかりと理解していきましょう。
減価償却というのは、固定資産など長期にわたって使用する資産に
関して、一括で費用にせず、一定のルールに沿って長期にわたって
費用を計上していく、という会計上の計算方法のことです。
例えば、ある製品を製作するために、大型の機械を500万円で
購入しました。この場合、買った期の費用に一括で計上してしまうと、
その期だけが大幅な費用(損失)を計上し、次の期からは費用(損失)
が発生しないことになってしまいます。
仮に、この機械が5年かけて、20,000個の部品を作る機械の場合、
20,000÷5年=4,000個として、年間4,000個の部品を作ることになります。
この部品は毎年4,000個ずつ製作され、これが売れていくと仮定すると、
当然最初の年にすべてが売れるわけではありません。
また、仮にこの予想通りに製作しなかったとしても、この機械は
消耗品のように、すぐに消耗し、なくなってしまうことはなく、
時間の経過とともに、この機械の価値が減少していくと考えられます。
そのため、この機械を購入した初年度で一括で費用にせず、
長期にわたって減価償却という手法で、費用に計上することで、
発生する収益にできるだけ対応するように、会計特有の減価償却という
計算をおこなっているのです。
さて、この減価償却ですが、会計と税法ではほとんど一緒ですが、
やはり、管轄が違う以上、厳密には一致しません。
会計は、企業会計基準という会計の世界においてルールを
定めているのに対し、税務は、所得税法・法人税法・減価償却資産の
耐用年数等に関する省令という法律においてルールを定めています。
当然、法人において、減価償却を行う場合、法人税法、
減価償却資産の耐用年数等に関する省令によって、その償却を
行う必要があります。このルールからはずれた分については、
別表調整として、別表四や五(一)を使用して調整することになります。
まず、固定資産のうち、取得価額が10万円以上で耐用年数が
1年以上ものが、「減価償却資産」に該当します。
この「減価償却資産」ですが、大きく10種類に分類されます。
1.建物・・・事務所や工場などの箱物など
2.建物附属設備・・・建物の電気設備や空地設備など
3.構築物・・・門、塀、井戸、舗装道路など
4.機械及び装置・・・製造用の設備など
5.船舶・・・船など
6.航空機・・・飛行機など
7.車両及び運搬具・・・自動車、フォークリフトなど
8.工具、器具及び備品・・・棚、机・いす、パソコンなど
9.無形固定資産・・・ソフトウェア、特許権、営業権など
10.生物・・・牛、馬など
ちなみに、減価償却をしない非減価償却資産というものが
あります。
具体的には、
・絵画や骨董品など・・・時の経過や使用により価値が減少しないため
・電話加入権・・・時の経過や使用により価値が減少しないため
・建設仮勘定・・・未だ事業に使っていないため(完成したら償却がスタートします)
上記の分類のどれに該当するか検討したら、次に耐用年数が
何年になるかを調べます。税法においては、耐用年数は、
減価償却資産の耐用年数等に関する省令(以下、耐用年数省令)
によって定められています。
減価償却資産の耐用年数等に関する省令
→ http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40F03401000015.html
この耐用年数省令には、別表がついており、資産の種類ごとに、
さらに「構造又は用途」「細目」などにわけられ、その区分ごとに
耐用年数が決まっております。
例えば、
別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表
によると、
種類・・・建物
構造又は用途・・・鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの
細目・・・事務所用又は美術館用のもの及び左記以外のもの
の場合、耐用年数は、50年と決まっております。
このように、税務上、どれに分類するかを会社として検討し、
耐用年数を決めることになります。
今回はここまでとします。
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