経営計画における長期事業構想書とは?
※こちらの動画でも解説しています。
今回は、経営計画を長期のスパンで見る「長期事業構想」について解説します。
通常、会社の予算などは、短期利益計画といって長くても1年以内の計画で考えます。
しかし会社にとって大事なのは、将来にわたって会社が継続的に存在することです。
これをサステナビリティともいいます。
どの会社も、できれば長期的に事業を継続し、成長したいと願うでしょう。
そこで重要になるものが「長期事業構想」です。
「長期事業構想」では、5年以上の期間を設定し、その期間で会社がどのように成長すべきか経営計画を立てます。
もちろん5年も経つと、外部の経済環境も変わりますから、必ずしも計画どおりに運ぶとは限りません。
しかし「会社は5年後こういうふうにしますよ」という社長の意気込みを示すことにより、従業員は安心します。
「長期事業構想」によって従業員の安心を得ることは、会社にとってもメリットがあることです。
たとえば
・5年後は今より売上を1.5倍にする
・従業員の給料を1人あたり10パーセント上げる
などを具体的に示すと、従業員は、5年後も会社は健在であることにまず安心を感じるとともに、「社長が頑張ってくれるならば、今後も頑張ろう」という士気の向上に繋がります。
また長期の経営計画を示すことにより、従業員の離職率が下がって定着率が上がる効果も期待できます。
そのうえ、離職率が下がれば、会社のアピールポイントとなります。
さらに長期事業構想を示すことで、採用した社員が他社に行かずに自分の会社に入社してくれるという、人材確保の面で役立つこともあります。
したがって「長期事業構想」とは、株主に示すだけでなく、会社の内部全体で共有すべき内容なのです。
「長期事業構想」を考えるポイントは2つあります。
1つは今行っている事業が5年後にどうなっているかということ、もう1つは将来の事業をどうするかということです。
5年後の会社は、今の商品と未来の商品を組み合わせて成長しています。
したがって「長期事業構想」では、新事業・新商品に関するイノベーションの方針が必要になります。
良い構想の例は、「5年後には新しい商品で3割ぐらい売上があがっています」というような、革新的なアイデアが盛り込まれているものです。
まとめると「長期事業構想」とは、株主や銀行のためだけに作るものではなく、従業員をはじめ、社内に向けた社長からのメッセージでもあります。
従業員の安心や離職率の低下にも繋がるものですから、できる限り従業員にも長期事業構想について知らせておきましょう社内が一体となるために、ぜひご検討ください。
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
【連結入門・未実現利益の考え方】土地と建物の未実現利益に関する処理の比較でマスター
連結会計を学ぶ上で、未実現利益の正しい理解は必須ですね。 この点、最初の理解の仕方を間違えてしまうと、けっこう連結が苦手になったり、遠回りしてしまったりしてしまいます。 そこで、今回の動画では、まず一番簡単な土地の親子間売買(ダウンストリーム)を取り上げ、それとの比較で建物の売却による未実現利益の消去と、それに伴う減価償却費の連結修正について簡単な事例を使って解説いたしました。 この10分程度の動画をさっと視聴することで、連結会計の未実現利益に対する苦手意識を取り除くきっかけになればうれしいです!会計士志願者が2倍も、監査法人離れ
2023年9月21日の日経1面です。 2015年を底に2023年までの8年間で公認会計士試験の受験者数が倍増し12年ぶりの2万人台を記録したそうです。 ※2013年~2023年の願書提出者数 2023年 20,318人 2022年 18,789人 2021年 14,192人 2020年 13,231人 2019年 12,532人 2018年 11,742人 2017年 11,032人 2016年 10,256人 2015年 10,180人 2014年 10,870人 2013年 13,224人 (資料:マイナビ会計士)※2013年~2022年 ※2023年は金融庁ホームページ たしかに、過去10年程度で2015年の10,180人がそこになっており、そこから20,318人ですから、この期間において2倍程度増えていますね。社外役員の兼任者数が4割アップ!?~会計士・税理士に新たなフィールドのチャンスが到来?
昨日の日経朝刊は、コーポレートガバナンスに関する非常に興味深い記事でした。 日経1面に出るということは、その日のニュースの中でも日本経済全体に影響を及ぼすと判断されたトピックと考えられるのですね。 いま、日本企業の多くは閉塞感にとらわれているかもしれません。 先行き不透明な中、社内の限られた知見だけで経営を続けていくのがますます難しくなってきています。 社内の常識が世間の非常識、なんてこともあったりしますね。 私は監査法人の勤務時代から強く感じていたことがあります。 会計士はその会社に年中いるわけではないので、その会社の業界知識の深さについてはかなわないのですが、彼らになくて私たちにあったのは「他の多くの会社の実務を見て実態を知っている」という点です。【時事ニュースで学ぶ会計知識】オリンパスの売上高当期純利益率が100%超!?
2023年8月30日の日経18面で報じられていました。 オリンパスの売上高当期純利益率がなんと100%を超えたという珍しいケースです。 普通は、売上高を100とするならば、営業利益は5~8%程度、当期純利益は税引き後なので3~5%くらいがよくあるケースです。 営業利益率が10%以上になってくると、本業で結構儲けが出ている印象を受けます。 個人的には非常に良いイメージですね。 この点、オリンパスさんの営業利益率は13%を超えていますので、一般的な視点で行けば本業での好調さが想像されます。 そして、そこから一定の調整を経て、さらに法人税等が差し引かれるので、営業利益よりも当期純利益は少なくなるのが通常です。 しかし!【読んでみたい一冊】週3バイトが東大合格した時間術の本
今回は時間術に関する興味深い視点の本をご紹介します。 限られた時間で効率よく勉強しながら東大に合格した実体験から自身で身に着けた時間管理ノウハウを本にまとめたものです。 ユニークな視点でなるほど~、と思わせるところが多いのと、読みやすく短時間で一気に通読できることから、手軽に時間生産性を上げるためのヒントとして、動画で取り上げてみました。 全部で3章構成からなっているのですが、その全体フローがそのまま企業コンサルの手順にも応用できます。 すなわち、 ステップ1 ムダを削減する ステップ2 今の仕事の効率を上げる ステップ3 それを継続する です。 こうやって書いてみると非常にシンプルですが、そのシンプルさの中にこそ、マネジメントの本質が隠されていることもあります。