振り込め詐欺の防止に小切手利用を呼びかけ?
11月11日の日経7面に、面白い記事が載っていました。
振り込め詐欺の被害を防ぐために、各地の金融機関が預金小切手の利用を高齢者へすすめ始めているそうです。
何を言っているかというと、まず第一に、ATMで振り込むという行為は、本人ひとりのボタン操作だけで簡単にできてしまうため、振り込む人がだまされている場合、それを防ぐ手立てがまったくありません。
そして、振り込め詐欺に関していえば、敵もあるていどの利益を得ることを考えているはずなので、1万や2万円ということはないですね。
おそらく数十万円から百万円以上の、ある程度まとまった金額のはずです。
そこで、一定金額以上の場合は、すこし支払いの手続を面倒にし、かつ他人の目を介入させることで、お年寄りの被害を未然に防ごう、というのが根底にあります。
具体的には、次のような手順を踏みます。
預金小切手(よきんこぎって)は、正式には自己宛小切手(じこあてこぎって)といいます。
一般の小切手は事前に当座預金口座を開設してからでないと使用できませんが、預金小切手は、銀行に必要なお金を払い込めば、その額の小切手を銀行から振り出してもらえます。
その小切手を、自分が支払いたい相手に渡して、相手は小切手を銀行に持ち込んで資金化するという流れになります。
これがなぜ詐欺などの不正防止につながるかというと、小切手の受取人を指定する「記名式」によれば、本当に渡したい相手である子供以外の人がお金を受け取りに来れないからですね。
ほかにも、小切手を取り立てにいくにあたって、たとえ記名式にしていなくても、必ず銀行振り込みの形をとる「線引き(銀行わたり)」など、複数の目を通さないと受取人に資金が渡らないしくみにがありますので、直接振り込むよりは、格段に安全性が高まります。
ちなみに、預金小切手は「振出人が銀行」であるという点でちょっと特殊な点はありますが、事業者が振り出す通常の小切手と支払い手段としては変わりがないです。
ただ、当座預金口座がない個人でも利用できるので、便利な点がありますよ、ということですね。
ここで、簿記の話をしますと、他人振り出しの小切手を受け取ったら、「現金」勘定の増加になります。
なお、一般の簿記の教科書でみかける「現金」の範囲を示すと、次の通りになります。
【現金の範囲】
(1)通貨(紙幣や硬貨)
(2)通貨代用証券
・ 他人振出の小切手
・ 配当金領収証
・ 公社債の利札
・ 送金小切手
・ 送金為替手形
・預金手形
・ 郵便為替証書など…
なお、ご参考までに、海外旅行などでおなじみのトラベラーズチェックは、旅行小切手とも呼ばれる通り、現金の範囲に含まれます。
簿記の世界における現金の範囲は、日常的な常識のイメージより広いですね。
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立替金(3級・2級商業簿記)
立替金の定義 立替金とは、誰かのために一時的に支払った代金で、後日精算されるもの。 よく関連語句として「給料」がセットで出てくる。 立替金の概念 例:従業員の個人的な支出や取引先の負担すべき広告費などを、一時的に立て替えて支払う。 支払った金額は「将来返してもらう予定のお金」として資産に計上される。 立替金は「立替金の請求権」として扱われ、資産勘定に計上。 簿記の問題での立替金 給与支給時に従業員に対する立替金を相殺する処理が出題されることがある。 立替金の処理について理解しておくことが重要。 具体的な取引例 例:従業員の頼みで、個人的な支出65,000円を立て替え、現金で支払う。 仕訳: 借方:立替金 65,000円 貸方:現金前払金(3級・2級商業簿記)
「前払金」の定義 商品などを注文した際に、品物を受け取る前に支払った手付金や内金のこと。 支払いに関連する勘定科目として「前払金」が使用される。 関連する用語:商品の仕入れなど。 「前払金」の概念 契約や注文が成立した際、手付金を支払うことが一般的。 支払った時点では品物の受け取りが確定していないため、「一時的に相手に預けているお金」として扱う。 支払った金額は資産勘定に計上され、将来的に商品を受け取る権利を持つと考えられる。 「前払金」の特性 仕入れや費用として確定しているわけではない。 目的の品物が手に入らなければ、支払った金額を返金してもらうこともある。 「前渡金」という用語も同義で使用されることがある。 取引例配賦差異(2級工業簿記)
配賦差異の重要性 2級工業簿記で非常に重要な概念。 製造間接費を予定配賦や標準原価計算で計算する際に生じる差異。 試験対策として配賦差異の理解は必須。 配賦差異の定義 配賦差異は、製造間接費の予定配賦額(正常配賦額)と実際発生額との差額。 この差異の把握は、原価管理やコスト管理において重要。 関連用語 「実際配賦」、「予定配賦率」、「製造間接費」、「部門費」など。 配賦差異には「予算差異」と「操業度差異」の2種類がある。 配賦差異の計算方法 予定(正常)配賦額 = 予定(正常)配賦率 × 実際操業度。 実際発生額との差額が配賦差異。 差異の処理方法 実際発生額が予定額を上回る場合、追加コストとして借方差異(不利差異)。 実際発生額が予定額を下回る場合、コスト節約として貸方差異(有利差異)。手形貸付金・借入金(3級・2級商業簿記)
手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」仮払金(3級・2級商業簿記)
仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。