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子会社の業績が、連結決算に与える影響

まずは、連結財務諸表の基礎知識です。
連結財務諸表とは、
「親会社が、子会社の財務諸表も合算し、
グループ全体の業績を報告するために作成する
財務諸表(決算書)のことです。
◆連結決算の流れ
(1)子会社の個別財務諸表を、必要に応じて修正する。
(2)親会社の個別財務諸表(B/S、P/L)と子会社の
   個別財務諸表を単純に合算する。
(3)親子間の取引や、グループ内で生じた含み益(未実現利益)
   を相殺消去するなどして、一定の決算修正を施す。
(4)関連会社(主に、持ち株割合20?50%程度の会社)
   の株式を、持分法(関連会社等の業績に応じて、株式の評価を
   上げたり下げたりすること)により、評価する。


以上の4つが、連結決算のポイントになります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(注)連結決算、税効果会計、時価会計、減損会計など、
   アップ・トゥー・デートな会計基準の知識を
   マスターしたい方(やさしい現代会計の中級講座)
  → https://bokikaikei.net/03kaikei/252.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回は、上記のステップのうち、(2)の段階に関係します。
では、以下、事例で見ていきましょう。
(事例1)A社は、10億円を出資して、
     100%子会社B社を設立した。
     B社は、ほかに20億円を借り入れた。
          A社B/S?1
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(A)390|諸負債(A) 200
・→☆子会社株式  10|純資産(A1)200
|  ――――――――――――――――――――
|   計    400| 計     400
|  ====================

・――――――――――――――――――――――――・
                         ↓ 
          B社B/S?1        ↓
   ――――――――――――――――――――  ↓
   諸資産(B) 30|諸負債(B)  20  ↓
            |純資産(B1) 10☆←・
   ――――――――――――――――――――
    計     30| 計      30
   ====================
☆A社B/Sにおける「子会社株式10」と
 B社B/Sにおける「純資産(B1)10」は、
 グループ全体としてみた場合、互いに重複している
 項目なので、連結決算上、単純合算後に相殺する。
 (詳しくは、やさしい現代会計・中級講座を
  ご参照ください。)
(事例2)
一年後、A社は60の利益を上げ、その分だけ諸資産(A)と
純資産(A2)は、60億円ずつ増加した
いっぽう、B社は15の利益を上げ、諸資産(B)と
純資産(B2)を15億円ずつ増加した。
          A社B/S?2
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(A)450|諸負債(A) 200
・→☆子会社株式  10|純資産(A1)200
|           |純資産(A2) 60
|  ――――――――――――――――――――
|   計    460| 計     460
|  ====================

・――――――――――――――――――――――――・
                         ↓ 
          B社B/S?2        ↓
   ――――――――――――――――――――  ↓
   諸資産(B) 45|諸負債(B)  20  ↓
            |純資産(B1) 10☆←・
            |純資産(B2) 15
   ――――――――――――――――――――
    計     45| 計      45
   ====================
※2 A社B/S?2とB社B/S?2の単純合算
      「A社+B社」B/S?2
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(計)495|諸負債(計) 220
  ☆子会社株式  10|純資産(A1)200
            |純資産(A2) 60
            |純資産(B1) 10☆
            |純資産(B2) 15
   ――――――――――――――――――――
    計    505| 計     505
   ====================
※3 A社の連結貸借対照表(連結修正後)
         A社連結B/S
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(計)495|諸負債(計) 220
            |純資産(A1)200
            |純資産(A2) 60
            |純資産(B2) 15 ←B社の儲け
   ――――――――――――――――――――  が、A社連結上
    計    495| 計     495  とりこまれた。
   ====================
上記で見てわかるとおり、
B社で稼いだ利益15億円は、A社連結B/Sに
取り込まれました。
この点において、きちんとB社の黒字が連結決算に
反映していますね。
つぎに、子会社が赤字のケースです。
(事例3)
一年後、A社は60の利益を上げ、その分だけ諸資産(A)と
純資産(A2)は、60億円ずつ増加した
いっぽう、B社は13の赤字となり、諸資産(B)と
純資産(B2)を13億円ずつ減少させた。
この結果、B社は3億円の「債務超過」となってしまった。
          A社B/S?2
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(A)450|諸負債(A) 200
・→☆子会社株式  10|純資産(A1)200
|           |純資産(A2) 60
|  ――――――――――――――――――――
|   計    460| 計     460
|  ====================

・――――――――――――――――――――――――・
                         ↓ 
          B社B/S?2        ↓
   ――――――――――――――――――――  ↓
   諸資産(B) 17|諸負債(B)  20  ↓
            |純資産(B1) 10☆←・
            |純資産(B2)△13
   ――――――――――――――――――――
    計     17| 計      17
   ====================
※2 A社B/S?2とB社B/S?2の単純合算
      「A社+B社」B/S?2
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(計)467|諸負債(計) 220
  ☆子会社株式  10|純資産(A1)200
            |純資産(A2) 60
            |純資産(B1) 10☆
            |純資産(B2)△13
   ――――――――――――――――――――
    計    477| 計     477
   ====================
※3 A社の連結貸借対照表(連結修正後)
         A社連結B/S
   ――――――――――――――――――――
   諸資産(計)467|諸負債(計) 220
            |純資産(A1)200
            |純資産(A2) 60
            |純資産(B2)△13 ←B社の損失が
   ――――――――――――――――――――  A社連結上
    計    467| 計     467  とりこまれた。
   ====================
この結果、B社で計上した赤字分13億円は、
連結上、きっちりと(?)A社の業績の足を
引っ張ってることが、あきらかとなります。
結局、「B社に投資した子会社株式10億円」がパーになり、
さらに、「3億円もの追加の赤字(債務超過分)」をも、
背負い込んでしまった、ということになります。
この損失は、親会社であるA社が負担します。
以上、子会社の黒字・赤字を連結決算に取り込む
プロセスを、A社・B社という比較的シンプルな
計算例を用いて、一緒に考えてみました。

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