当期純利益と「法人の所得(=法人申告所得)」の違い
まずは、損益計算書のカンタンなフォームを、おさらいしましょう。
損益計算書 (単位:億円)
――――――――――――――――――
売 上 高 800
:
営 業 利 益 135
営業外費用(支払利息) ▲15
特別損失(減損損失) ▲20
―――――――
税引き前当期純利益 100
法人税等 ▲48
―――――――
当期純利益 52
=======
上記の例では、税効果会計の適用を無視して考えることに
します。
(※税効果会計について解説した教材はコチラ
→ やさしい現代会計の中級講座
)
また、話をカンタンにするために、法人税等(法人税、住民税
及び事業税の合計)の税率を、所得(税務上の利益)の40%
としましょう。
そうすると、上記の例ならば、税引き前当期純利益100億円に
40%をかけて、40億円ではないか、との疑問が生じますよね。
では、なぜ48億円の納税額なのか。
それは、会計上の(P/L)利益100億円と、
税務申告上の利益(申告書上の所得)が、異なるために生じる
減少なのですね。
たとえば、上記の損益計算書(P/L)で、
特別損失(減損損失)は、固定資産の特殊な評価の切り下げ
です。しかも、やたらと見積もり要素が多くて、数字の
厳格性の観点からは、株式の評価損のような「客観性」に欠けます。
つまり、見積り費用として会計上は計上しても、
税務上ではこれを認めることは、算定の客観性などの点から、
難しいのかな、ということになります。
そうすると、
「損益計算書では費用とする」が、
「税金計算上は、費用とは認められない」項目が
でてきたりしますね。
このような会計上の利益と税務上の利益(=所得)との差を、
損益計算書とは別の表(別表4)で明らかにするのです。
(参考:別表4のイメージ)
※当期純利益(税引き前とします) 100億円
加算:減損損失の否認額 +20億円
減産:(本例は、なしとします)
―――――
所得金額 120億円
=====
※初心者の理解を優先し、実際の申告書と若干違う表記に
してあります。
(ここでは、税引き前の当期純利益からのスタート。
実際には、税引き後からスタートする。)
上記の所得金額120億円は、
P/Lの税引き前当期純利益100億円と明らかに違います。
(ポイント)申告書の所得金額 ≠ 税引き前当期純利益
120 100
そして、別表4で計算された所得金額120億円をもとに、
法人税・住民税・事業税などが計算されるわけですね。
損益計算書 (単位:億円)
――――――――――――――――――
売 上 高 800
:
営 業 利 益 135
営業外費用(支払利息) ▲15
特別損失(減損損失) ▲20
――――――― <別表4>
税引き前当期純利益 100 →→+20
(120)所得
↓
法人税等(納税額) ▲48 ←←←←・×40%
―――――――
当期純利益 52
=======
上記のように、法人税の確定申告書の別表4というところで、
納税額の計算基礎となる税務上の所得金額が計算されるわけです。
なお、税務計算の対象となる「所得」金額は、
申告所得とか、課税所得などとも、呼ばれたりしています。
以上、損益計算書における会計上の利益と、
税務計算上の所得の違いのお話でした。
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