URBAN、過大売上高の取り消しで下方修正
不動産流動化、マンション分譲などを手がけるアーバンコーポレーションは、18日に、2006年3月期の連結業績予測を下方に修正しました。
(参考)→ http://www.urban.co.jp/news.html
ニュースリリースを拝見しますと、平成18年4月10日時点の予想が連結売上高765億円、経常利益226億円とのことでした。
これが、今般の修正で、連結売上高643億円、経常利益106億円
と、大幅な減額となっています。
4/10発表 5/18発表 増 減
売上高 765億円 643億円 △122億円
経常利益 226 106 △120
当期純利益 150 78 △ 72
そのおもな原因は、SPC(特別目的会社)を利用した不動産開発
事業に係る売上高が、まだ未実現だった、ということです。
かんたんにいうと、下記の売上計上が、まだ完全に開発が終わったわけ
ではない、という監査法人の指摘で、取り消された、ということですね。
「URBANが出資しているSPCが、不動産開発事業の80%に
あたる不動産を売却したので、その売却代金の取り分をURBANの
売上とした。」
※↑これが、まだ完了していない案件だから、引き渡し未了との判断。
金額にして、131億円強の売上減となったそうです。
これだけの金額が、微妙な売上として監査上の問題になることは、
実はめずらしくありません。
経験上、上場企業ならば、毎年、何社かはこのような問題に直面している
と想像されます。
ただ、昨今の、中央青山の問題などもあって、監査法人としても、
より厳格な会計ルールの適用を企業にうながすことになるでしょう。
売上高なんて、ほんとうに古典的ですが、解釈ひとつで金額が
大きく変わる、意外に怖い項目なんですね。
なお、この話には後日談がありまして、
18日の発表後、悪い材料が出尽くした、との市場の判断から、
逆に株価が大幅に上がっています。
17日 1017円
18日 1217円
19日 1380円
このような株価の反応もあるんだ、ということを勉強する、
いいケーススタディーといえそうです。
今回の事例、これからの上場企業の決算について、
いろいろな角度から学ぶことが多いので、
ぜひ、じっくりとご検討なさってください。
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 【連結入門・未実現利益の考え方】土地と建物の未実現利益に関する処理の比較でマスター
連結会計を学ぶ上で、未実現利益の正しい理解は必須ですね。 この点、最初の理解の仕方を間違えてしまうと、けっこう連結が苦手になったり、遠回りしてしまったりしてしまいます。 そこで、今回の動画では、まず一番簡単な土地の親子間売買(ダウンストリーム)を取り上げ、それとの比較で建物の売却による未実現利益の消去と、それに伴う減価償却費の連結修正について簡単な事例を使って解説いたしました。 この10分程度の動画をさっと視聴することで、連結会計の未実現利益に対する苦手意識を取り除くきっかけになればうれしいです! - 会計士志願者が2倍も、監査法人離れ
2023年9月21日の日経1面です。 2015年を底に2023年までの8年間で公認会計士試験の受験者数が倍増し12年ぶりの2万人台を記録したそうです。 ※2013年~2023年の願書提出者数 2023年 20,318人 2022年 18,789人 2021年 14,192人 2020年 13,231人 2019年 12,532人 2018年 11,742人 2017年 11,032人 2016年 10,256人 2015年 10,180人 2014年 10,870人 2013年 13,224人 (資料:マイナビ会計士)※2013年~2022年 ※2023年は金融庁ホームページ たしかに、過去10年程度で2015年の10,180人がそこになっており、そこから20,318人ですから、この期間において2倍程度増えていますね。 - 社外役員の兼任者数が4割アップ!?~会計士・税理士に新たなフィールドのチャンスが到来?
昨日の日経朝刊は、コーポレートガバナンスに関する非常に興味深い記事でした。 日経1面に出るということは、その日のニュースの中でも日本経済全体に影響を及ぼすと判断されたトピックと考えられるのですね。 いま、日本企業の多くは閉塞感にとらわれているかもしれません。 先行き不透明な中、社内の限られた知見だけで経営を続けていくのがますます難しくなってきています。 社内の常識が世間の非常識、なんてこともあったりしますね。 私は監査法人の勤務時代から強く感じていたことがあります。 会計士はその会社に年中いるわけではないので、その会社の業界知識の深さについてはかなわないのですが、彼らになくて私たちにあったのは「他の多くの会社の実務を見て実態を知っている」という点です。 - 【時事ニュースで学ぶ会計知識】オリンパスの売上高当期純利益率が100%超!?
2023年8月30日の日経18面で報じられていました。 オリンパスの売上高当期純利益率がなんと100%を超えたという珍しいケースです。 普通は、売上高を100とするならば、営業利益は5~8%程度、当期純利益は税引き後なので3~5%くらいがよくあるケースです。 営業利益率が10%以上になってくると、本業で結構儲けが出ている印象を受けます。 個人的には非常に良いイメージですね。 この点、オリンパスさんの営業利益率は13%を超えていますので、一般的な視点で行けば本業での好調さが想像されます。 そして、そこから一定の調整を経て、さらに法人税等が差し引かれるので、営業利益よりも当期純利益は少なくなるのが通常です。 しかし! - 【読んでみたい一冊】週3バイトが東大合格した時間術の本
今回は時間術に関する興味深い視点の本をご紹介します。 限られた時間で効率よく勉強しながら東大に合格した実体験から自身で身に着けた時間管理ノウハウを本にまとめたものです。 ユニークな視点でなるほど~、と思わせるところが多いのと、読みやすく短時間で一気に通読できることから、手軽に時間生産性を上げるためのヒントとして、動画で取り上げてみました。 全部で3章構成からなっているのですが、その全体フローがそのまま企業コンサルの手順にも応用できます。 すなわち、 ステップ1 ムダを削減する ステップ2 今の仕事の効率を上げる ステップ3 それを継続する です。 こうやって書いてみると非常にシンプルですが、そのシンプルさの中にこそ、マネジメントの本質が隠されていることもあります。