金利などを対象として、デリバティブに新しい規制
9月5日から6日にロシアで開催されるG20首脳会議で主要国が合意し、2015年に新制度を各国が導入する流れとなりそうです。
その背景には、世界のデリバティブ市場が拡大し、その影響が大きくなっているという状況があります。
現在、世界全体で630兆ドルの市場規模があります。
日銀によると、日本国内でも51兆ドルの市場規模があるそうです。
デリバティブ取引を行う目的には、金融市場の相場変動に伴う損失の回避(リスクヘッジ)目的と、少ない資金で大きな投資利益を得ようとする投機目的という、まったく異なる2つのものがあります。
また、いっぽうでデリバティブ取引の形態には、公正な市場を通じて不特定多数の参加者が取引を行う「市場取引」と、売り手と買い手が一対一で取引を行う「相対取引(あいたいとりひき)」の2つがあります。
市場取引では、取引の安全性を担保するために「取引保証金」という名目の金額を、一定のルールに基づいて拠出します。
これにより、その取引者に損害が出ても、資金の担保があるので、市場参加者は安心ですね。
いっぽう、相対取引にはそのような保証金の差し入れの強制がないため、当事者間の契約内容にそのあたりは依存するわけです。
今回、デリバティブ規制の対象として注目されているのが、相対取引の代表例である金利スワップや、国・企業の信用リスクを取引する「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」です。
従来、相対取引については証拠金・保証金などの担保に相当するものがないため、いったん損失が出ると、その資金的な裏付けを欠くことになります。
また、証拠金や保証金の用意が必要となれば、無計画なデリバティブ取引の抑制にもなりますね。
新たな仕組みとしては、次のようなものの選択制が想定されているようです。
(1)清算機関が担保として一定の証拠金を預かり、銀行や企業は清算機関を通して集中決済するという方法
(2)取引条件が様々なケースでは、現金などを証拠金として取引相手に差し入れる方法
51兆円とも言われる国内取引のうち、今回の規制対象となりうるのは45兆円ほどということなので、大部分ですね。
ご参考までに、デリバティブ取引にともなう証拠金・保証金を差し入れた場合には、流動資産として貸借対照表に計上されます。
デリバティブ取引は時価評価が原則なので、決算時点でたとえばデリバティブの時価が上がれば評価益が損益計算書の営業外収益で計上されると同時に、貸借対照表では未収の代金の一種として、その他の流動資産に計上されます。
その後、じっさいに決済されたときには、決済差額を営業外収益または営業外費用で損益計算書に表示するのが基本ルールです。
細かいところを言い出すと難しくなりますので、
・決算日にはデリバティブ取引は時価評価する
・時価評価差額や決済差額は営業外収益・営業外費用となる
といった点をご理解いただければよろしいでしょう。
これからもデリバティブ取引はますます増えていくでしょうから、それに伴うリスク増大への規制はいろいろな形で行われることになると思います。
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