会計専門資格(公認会計士・税理士)の年収構成は?
まずは、男性給与所得者の年収構成を表にしてみました。
【資料1】をご覧ください。
年収300万円以下のサラリーマンが全体の25%いますね。
つまり4人に1人がだいたい年収200万円台以下ということに
なります。
それに対して、年収300万円?600万円を仮に「平均層」
と位置付けるならば、この範囲に全体の半分、49.5%が
属します。
むかし、「1億総中流化」みたいな言い方がありましたが、
今でも海外の多くの国に比べて、日本の平均的な所得水準は
かなり高い、と思います。
そして、600万円以上の層は25.5%となり、ほぼ300万円以下の
人数と同じ比率になります。
ここでわかることは、
年収300万円以下の人数(25%)+年収600万円以上の人数(25%)
=年収300?600万円以下の人数(50%)というふうに、
きれいに所得水準ごとの統計分類ができているという状況です。
年収300から600万円なら、めちゃめちゃぜいたくはできないかも
しれないですが、よほど身の丈以上の浪費でもしない限り、
「明日食べるご飯が心配で夜も寝むれない!」ということは
ほぼないのではないかと思います。
まだまだ経済的には「他の経済的に厳しい国」と比較して考えれば
豊かな方だと思いますよ。
さて、そうはいっても「より豊かに暮らしたい!」という本源的な
欲求というのは、どんな人間にもあります。
また、それが進歩の原動力にもなるのですから。
ここで、ちょっと見方を変えて「年収1000万円以上取っているのは
全体の何パーセントくらいなのだろう」という疑問に対する答えを
探してみたいと思います。
なお、このデータは2月に公開した「12日間連続セミナー」で一度
取り上げていますが、この機会にもういちどデータをご提示できれば
と思いました。
男性給与所得者で、年収1000万円以上とされているのは
5.9%です(4.4+1.5)。
もう少し範囲を広げて、900万円以上を高額所得と定義するなら、
年収900万円以上の人は全体の8.3%います。
いずれにせよ、やはりというか、年収100万円を稼ぐ人は
5%前後、つまりおおむね「職場の20人に1人」程度の
狭き門、ということがわかりますよね。
個人事業者のような「小規模ゆえの倒産リスク」がかなり
低いことを考えると、相対的に低リスクのサラリーマンの900万円と
事業リスクの高い個人事業者の1000万円がだいたい「リスク+収入」の
バランスで均衡しているのかな、という気がしています。
ちなみに、資料2を見ても分かるように、事業所得者で300万円以下の
所得の方はなんと63.1%もいます。
倒産リスクが高く、なおかつ所得300万円以下の比率が60%以上と
いうことですから、やはり個人事業の世界は「本当に好きなこと」
を仕事にしないと、なかなか難しいところがあるという気がしますね。
ところで、個人事業者で年間所得1000万円以上は4.2%とサラリーマン
より低いですが、もっと細かく見ていくと所得1500万円以上は3.2%と、
逆にサラリーマンの1.5%(資料1)の2倍以上いる、ということに
なります。
つまり、サラリーマンで年収1500万円以上は相当奇跡に近いレベル
だけれど、個人事業者なら、その人の裁量しだいで1500万円以上の
チャンスが会社勤めよりも倍大きいということです。
ちなみに、1.5%と3.2%の違いはとても大きいです。
上位3%なら、戦略的に凡人でも到達可能だからです。
しかし、上位1%台は、これに相当な運が加味されないと
実現がとても困難です。
「年収1500万円以上を戦略的に狙うなら個人事業者の方が有利」と
申しておきましょう。
しかし、逆に年の手取り(しかも税込)が300万円以下のリスクも
高いということを知っておく必要がありますが…。
(こっちのリスク回避は、あんがいやりやすいです。)
さて、このように見ていくと年収1000万円ってやっぱり大変なのね、
と思われるでしょう。
しかし、次の資料をご覧ください。
公認会計士・税理士の所得構成です。
監査法人や会計事務所などに努めれば勤務会計士・税理士となるので
給与収入です。個人で独立すれば事業主になります。
ここでの統計データは確定申告をしている事業者としての
会計士・税理士ですね。
これを見て驚いたのは、ぜんたいの3分の1近くである
32.7%が1000万円以上という数字です。
平均で670万円です。
合格率は8%前後(税理士の場合、5科目の合格率がそれぞれ10%程度)
ですが、10?12分の1の確率なら、1クラス40人として、クラスで3番
か4番に入ればいいわけです。
それもコンスタントではなく、一回でもそうなればいいわけですから。
やりようによっては、天才でなくてもだれでも「一回だけ10%以内」
に入ることはほぼ完ぺきに可能ですよ。
大学受験でも1日3時間以上勉強せずゲームばかりやり、
大学入学後も勉強せずに5年行っていた私が言うのですから
間違いありません(笑)。
さて、昨今の監査法人の収支が厳しい状況で行くと、
公認会計士試験の難易度と待遇に若干変化が見られます。
かんたんにいうと、「前よりは割に合わない」状態になっています。
IFRSの導入も、ちょっと怪しくなってきていますし…。
だとするならば、今注目すべきは「日商1級」から「税理士」として
活躍する道です。
税理士という仕事、すべてのビジネスに関係しますので、
ニーズがとても大きいです。
今では顧問先の獲得競争が激しくなってきており、顧問料の
値下げ問題とかいろいろ言われていますが、それも他の業界の
厳しさからするとまだまだそこまでひどくはないです。
むしろ、これから財政がさらに厳しくなる世の中で、
税金の知識はもっと必要とされると見ています。
税理士資格と成長率の高い新興国の外国語を話せる、となると
さらに高い待遇で仕事につけるチャンスが増します。
たとえば、前に聞いた事例では、税理士資格と持っていて
ベトナム語が話せる会計・税務の専門家は初任給が1500万円、
という求人もあったそうです。
「税理士資格+第二外国語(できれば成長率が高い新興国)」の
組み合わせは、努力に見合った効果という意味では、非常に
有望なキャリアプランだと思いますよ。
税理士資格と日商1級の商簿・会計学は親和性が高いです。
応用範囲の広い1級の商簿・会計だけをまずは極める、
という勉強の仕方もOKですね。
日商簿記1級講座⇒ https://bokikaikei.info/lp/1kyuu/
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 【連結入門・未実現利益の考え方】土地と建物の未実現利益に関する処理の比較でマスター
連結会計を学ぶ上で、未実現利益の正しい理解は必須ですね。 この点、最初の理解の仕方を間違えてしまうと、けっこう連結が苦手になったり、遠回りしてしまったりしてしまいます。 そこで、今回の動画では、まず一番簡単な土地の親子間売買(ダウンストリーム)を取り上げ、それとの比較で建物の売却による未実現利益の消去と、それに伴う減価償却費の連結修正について簡単な事例を使って解説いたしました。 この10分程度の動画をさっと視聴することで、連結会計の未実現利益に対する苦手意識を取り除くきっかけになればうれしいです! - 会計士志願者が2倍も、監査法人離れ
2023年9月21日の日経1面です。 2015年を底に2023年までの8年間で公認会計士試験の受験者数が倍増し12年ぶりの2万人台を記録したそうです。 ※2013年~2023年の願書提出者数 2023年 20,318人 2022年 18,789人 2021年 14,192人 2020年 13,231人 2019年 12,532人 2018年 11,742人 2017年 11,032人 2016年 10,256人 2015年 10,180人 2014年 10,870人 2013年 13,224人 (資料:マイナビ会計士)※2013年~2022年 ※2023年は金融庁ホームページ たしかに、過去10年程度で2015年の10,180人がそこになっており、そこから20,318人ですから、この期間において2倍程度増えていますね。 - 社外役員の兼任者数が4割アップ!?~会計士・税理士に新たなフィールドのチャンスが到来?
昨日の日経朝刊は、コーポレートガバナンスに関する非常に興味深い記事でした。 日経1面に出るということは、その日のニュースの中でも日本経済全体に影響を及ぼすと判断されたトピックと考えられるのですね。 いま、日本企業の多くは閉塞感にとらわれているかもしれません。 先行き不透明な中、社内の限られた知見だけで経営を続けていくのがますます難しくなってきています。 社内の常識が世間の非常識、なんてこともあったりしますね。 私は監査法人の勤務時代から強く感じていたことがあります。 会計士はその会社に年中いるわけではないので、その会社の業界知識の深さについてはかなわないのですが、彼らになくて私たちにあったのは「他の多くの会社の実務を見て実態を知っている」という点です。 - 【時事ニュースで学ぶ会計知識】オリンパスの売上高当期純利益率が100%超!?
2023年8月30日の日経18面で報じられていました。 オリンパスの売上高当期純利益率がなんと100%を超えたという珍しいケースです。 普通は、売上高を100とするならば、営業利益は5~8%程度、当期純利益は税引き後なので3~5%くらいがよくあるケースです。 営業利益率が10%以上になってくると、本業で結構儲けが出ている印象を受けます。 個人的には非常に良いイメージですね。 この点、オリンパスさんの営業利益率は13%を超えていますので、一般的な視点で行けば本業での好調さが想像されます。 そして、そこから一定の調整を経て、さらに法人税等が差し引かれるので、営業利益よりも当期純利益は少なくなるのが通常です。 しかし! - 【読んでみたい一冊】週3バイトが東大合格した時間術の本
今回は時間術に関する興味深い視点の本をご紹介します。 限られた時間で効率よく勉強しながら東大に合格した実体験から自身で身に着けた時間管理ノウハウを本にまとめたものです。 ユニークな視点でなるほど~、と思わせるところが多いのと、読みやすく短時間で一気に通読できることから、手軽に時間生産性を上げるためのヒントとして、動画で取り上げてみました。 全部で3章構成からなっているのですが、その全体フローがそのまま企業コンサルの手順にも応用できます。 すなわち、 ステップ1 ムダを削減する ステップ2 今の仕事の効率を上げる ステップ3 それを継続する です。 こうやって書いてみると非常にシンプルですが、そのシンプルさの中にこそ、マネジメントの本質が隠されていることもあります。