楽天の7?9月期は、21億円の経常赤字(2006.11.19)
2006年11月17日の日経9面です。
日経の9面あたりといえば、企業面ですね。
しかも、企業総合面ですから、企業情報としては、
非常に重要な記事として、扱われていることが見て取れます。
この、楽天の経常赤字記事が、企業財務欄でもないし、
企業面1・2でもなく、「企業総合」面であるというところに、
ある種の意義付けが感じられます。
単なる一企業の決算情報としてとらえているわけではない、
ということですね。
参考までに、
企業総合面の扱いは、
「企業ニュースの中でも、特に、日本経済や産業全体への
影響が大きいと思われる出来事」
です。
したがって、その記事が、日経の何面に載っているかでも、
予想される影響の大きさがイメージできるわけです。
こういった読み方も、面白いと思いますよ。
さて、本題ですが、
16日に楽天が発表した平成18年12月期の第3四半期業績が、
21.9億円の経常赤字となりました。
関連ページは下記です。
⇒ http://www.rakuten.co.jp/info/ir/finance/statement/pdf/2006_11_16_02.pdf
損益計算書の概要を見ると、次のような感じですね。
平成18年 平成17年
7?9月 7?9月
売上高 477億円 452億円
:
営業損益 △16億円 125億円
:
経常損益 △21億円 130億円
ちなみに、第3四半期までの累計では、黒字です。
平成18年 平成17年
1?9月 1?9月
売上高 1531億円 810億円
:
営業損益 176億円 234億円
:
経常損益 186億円 245億円
ただ、売上高が倍増に近いのに、利益が逆に減ってますから、
やはり収益性は落ちてます。
収益性が大事だ、という話は、拙著「トラの子を増やす?」でも
p40?p47で、詳しく触れています。
さて、経常赤字の場合、どのセグメントがもっとも不調なのか、
を確認する必要があるのでした。
◆楽天の、H18.7?9月における、各セグメントの業績
(単位:億円)
売 上 高 営業損益
EC 141 34
(電子商取引)
クレジット・ 184 △84 ←ここです!
ペイメント
ポータル・ 31 △0.6
メディア
トラベル 30 13
証券 82 22
プロスポーツ 24 1
こうやってみると、
ECと証券とトラベルは、目下、好調を維持している、
ということですね。
プロ野球などのスポーツ事業が黒字なのは、
さすがというか、うまくシナジーにつなげたのでしょう。
さて、クレジット・ペイメントの赤字が、大打撃だった、
ということが、上記では想像できます。
楽天の業績説明をウェブ上で見ると、
どうやら、昨今話題の利息返還損失や貸倒れ関連費用の
増加が、かなり業績に影響を及ぼしたようですね。
やはり、似たような原因分析を、
日経新聞記事でも扱っています。
なお、貸倒関連費用だけを見てみますと、
H17.7?9月が74億円でしたが、
H18.7?9月は133億円と、この科目だけで、
なんと59億円も費用増加となっています。
これは、厳しいですね。
以上のように、経常利益が悪化した場合、その
原因を事業種類別にフォーカスすることは、
財務分析の基本手順として、
ぜひとも知っておきたいところです。
→ 効率的に日商簿記2級に合格するための柴山式簿記講義DVD
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 公式法変動予算(2級工業簿記)
公式法変動予算の定義 製造間接費を管理する方法 操業度(生産量や稼働時間)の増減に応じて予算額が変動 関連用語 固定予算、製造間接費の管理、予定配賦、配賦差異など 予算の概念 将来の一定期間における事業計画の財務面を示す経営計画 製造間接費は「変動費」と「固定費」に分けて管理 変動費 操業度の増減に応じて変動する原価(例:水道光熱費、間接材料費) 固定費 操業度に関わらず一定額が発生する原価(例:家賃、リース料) 変動予算の特徴 固定費は操業度に関係なく予算額は変わらない 変動費は操業度に応じて予算額が調整される 具体例 フル操業(500時間)、変動費率700円、固定費600,000円の場合 500時間の予算額: 700円 × 500時間 - 受取手形(3級・2級商業簿記)
受取手形 手形は売上代金の回収方法の一つで、現在は手形レス化が進んでいる それでも簿記学習には重要なテーマ 受取手形の定義 将来の一定期日に、手形に記載された代金を受け取る権利を表す資産勘定 関連用語 売掛金: 商品を販売して代金を後で受け取る権利 売上債権: 売掛金と受取手形を合わせたもの 貸倒引当金: 売上債権に関連し設定される 売上代金の回収方法 現金売上: 代金をその場で受け取る 掛売上: 後払い、未回収の代金は「売掛金」 受取手形: 取引先が発行した約束手形を受け取った場合 取引例 商品40万円を売上げ、20万円を現金で受け取り、残り20万円を約束手形で受け取る 仕訳例 売上 400,000円 現金 200,000円 受取手形 200,000円 - 報酬、連結決算、有価証券報告書
報酬 職務の遂行に対する対価として支払われる現金やその他の資産。 従業員の報酬 給与手当(指示命令系の仕事)。 役員の報酬 役員報酬(専門家としての経営成果に対する報酬)。 経営プロフェッショナルとして経営を委託されるため、給与とは区別される。 専門家報酬 会計士や税理士に支払う報酬(業務委託の形)。 連結決算 親会社と子会社などの企業群の決算を合算して、グループ全体の損益を算出する手法。 上場企業においては、単体決算だけでなく、連結決算が重視される。 連結決算に基づく財務諸表は「連結財務諸表」と呼ばれる。 英語表記は「Consolidated Financial Statements」。 有価証券報告書 上場企業や一定規模以上の企業が作成し、外部に開示する義務がある報告書。 - 製造間接費(2級工業簿記)
製造間接費の定義 製造間接費は、間接材料費、間接労務費、間接経費の合計額。 これらの費用は直接製品に関連付けられないため、基準を用いて製品に配分する。 製造間接費の配分基準 直接作業時間や機械運転時間、直接労務費などが配分基準として使用される。 作業時間が多い製品には、より多くの製造間接費が配分される。 関連する用語 間接材料費、間接労務費、間接経費、配賦率、配賦、仕掛品 など。 配賦率は、1時間あたりの製造間接費を示し、基準に基づいて製品ごとに製造間接費を配分するために使用される。 製造間接費の配分方法 製造間接費は直接製品に関連付けられないため、合計額を配分基準に基づいて配分する。 直接作業時間や機械運転時間などの基準を使用して、配賦率を算出し、製品ごとに配分。 - 退職金、総務、経理
退職金 簿記2級から登場、簿記1級では頻繁に出題 企業で長年働いた役員や従業員に支払われる金銭 長期間の勤務に対する対価として、支払額は大きくなることが多い 退職金を毎年積み立てることが望ましい 退職給付引当金として負債計上 役員への退職金は「退職慰労金」と呼ばれることもある 簿記では従業員に対する退職金の引当金を覚えることが重要 総務 企業内で重要な役割を担う管理部門 人事、経理、広報などの専門部署がない場合、業務をまとめて担当 企業によって役割や業務内容が異なる 大企業では株主総会の準備や社長秘書業務なども含まれる 中小企業では管理業務のほとんどを担当することがある 営業部門や製造部門などの専門部署以外の事務を担当 経理