有価証券の期末評価
有価証券については、決算日時点で、
取得時の原価(支出額)による評価から、
期末の時価に、評価換えをします。
————————————————————————————–
lesson.033
★ 5分で完結!小学生でもわかる簿記入門 ★
(読者数1842人) 2004.08.06
関連HP https://bokikaikei.net/ (月・水・金 午前中)
————————————————————————————–
【CONTENTS】
○ 有価証券の期末評価
(※図が見にくい方は、画面の表示を等幅フォントにしてみて下さい!)
————————————————————————————–
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○ 有価証券の期末評価
有価証券(株式・公社債)を売買目的で保有していると、
期末の評価の問題をどうするかが問題となります。
たとえば、1ヶ月前に10万円で購入した株式が、期末に
12万円に値上がりしたら、期末の資産としての評価は、どちらを
採用すれば良いでしょう?
取得時 期末(決算日)
―――|――――――|――→
(1) 10万円
(2) 時価12万円
有価証券は、東京証券取引所などの公設の市場が整備されており、
時価が公表されています。
また、市場の取引値段で売買がきまったら、迅速に、その金額で
受渡し・代金の決済が行われる仕組みがあります。
よって、有価証券を「時価で換金するための土台ができている」
ので、投資家の情報ニーズとしては、「最新の時価」に感心がある
はずです。
このような状況を踏まえ、有価証券については、決算日時点で、
取得時の原価(支出額)による評価から、期末の時価に、評価
換えをします。
このように、決算日ごとに、時価で資産を評価する方法を、
「時価法」とか、「時価基準」とか言います。
現行の会計制度では、原則として、有価証券は時価で評価します。
では、上記の2万円が値上がりした事例では、どのように仕訳すれ
ば良いでしょうか。
(借)売買目的有価証券 2万円(貸)有価証券評価益 2万円
以上のように、原価との差額を、増加または減少させる仕訳を
行えば、オーケーです。
値上がりなら、「有価証券評価益」勘定。
値下がりなら、「有価証券評価損」勘定。
以上を、売買目的有価証券勘定の相手として、仕訳してください。
【転記】
+ 売買目的有価証券
―――――――――――――――
2万円|
|
有価証券評価益 +
―――――――――――――――
| 2万円
|
◆ 練習問題
次の取引を、仕訳・転記しましょう。
(1)株式150万円を、現金で購入した。
(2)期末になって、時価が145万円に下落(げらく)した。時価で
評価する。
【解答用紙】単位:万円
<仕訳帳>
――――――――――――――――――――――――――――――
(1)(借) (貸)
(2)(借) (貸)
――――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳>
―――――――――――――――――――――――――――――――
+ 現 金
―――――――――――――――
|
|
+ 売買目的有価証券
―――――――――――――――
|
|
+ 有価証券評価損
―――――――――――――――
|
|
―――――――――――――――――――――――――――――――
【模範解答】単位:万円
<仕訳帳>
――――――――――――――――――――――――――――――
(1)(借)売買目的有価証券150 (貸)現 金 150
(2)(借)有価証券評価損 5 (貸)売買目的有価証券 5
――――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳>
―――――――――――――――――――――――――――――――
+ 現 金
―――――――――――――――
|(1) 150
|
+ 売買目的有価証券
―――――――――――――――
(1) 150|(2) 5
|
+ 有価証券評価損
―――――――――――――――
(2) 5|
|
―――――――――――――――――――――――――――――――
…時事問題で、たのしく会計知識をマスターしたい方は
「会員制CDセミナー」 → https://bokikaikei.net/01cd/5.html
… 上場企業の実践分析講座
「柴山塾」→ https://bokikaikei.net/04jirei/66.html
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 【連結入門・未実現利益の考え方】土地と建物の未実現利益に関する処理の比較でマスター
連結会計を学ぶ上で、未実現利益の正しい理解は必須ですね。 この点、最初の理解の仕方を間違えてしまうと、けっこう連結が苦手になったり、遠回りしてしまったりしてしまいます。 そこで、今回の動画では、まず一番簡単な土地の親子間売買(ダウンストリーム)を取り上げ、それとの比較で建物の売却による未実現利益の消去と、それに伴う減価償却費の連結修正について簡単な事例を使って解説いたしました。 この10分程度の動画をさっと視聴することで、連結会計の未実現利益に対する苦手意識を取り除くきっかけになればうれしいです! - 会計士志願者が2倍も、監査法人離れ
2023年9月21日の日経1面です。 2015年を底に2023年までの8年間で公認会計士試験の受験者数が倍増し12年ぶりの2万人台を記録したそうです。 ※2013年~2023年の願書提出者数 2023年 20,318人 2022年 18,789人 2021年 14,192人 2020年 13,231人 2019年 12,532人 2018年 11,742人 2017年 11,032人 2016年 10,256人 2015年 10,180人 2014年 10,870人 2013年 13,224人 (資料:マイナビ会計士)※2013年~2022年 ※2023年は金融庁ホームページ たしかに、過去10年程度で2015年の10,180人がそこになっており、そこから20,318人ですから、この期間において2倍程度増えていますね。 - 社外役員の兼任者数が4割アップ!?~会計士・税理士に新たなフィールドのチャンスが到来?
昨日の日経朝刊は、コーポレートガバナンスに関する非常に興味深い記事でした。 日経1面に出るということは、その日のニュースの中でも日本経済全体に影響を及ぼすと判断されたトピックと考えられるのですね。 いま、日本企業の多くは閉塞感にとらわれているかもしれません。 先行き不透明な中、社内の限られた知見だけで経営を続けていくのがますます難しくなってきています。 社内の常識が世間の非常識、なんてこともあったりしますね。 私は監査法人の勤務時代から強く感じていたことがあります。 会計士はその会社に年中いるわけではないので、その会社の業界知識の深さについてはかなわないのですが、彼らになくて私たちにあったのは「他の多くの会社の実務を見て実態を知っている」という点です。 - 【時事ニュースで学ぶ会計知識】オリンパスの売上高当期純利益率が100%超!?
2023年8月30日の日経18面で報じられていました。 オリンパスの売上高当期純利益率がなんと100%を超えたという珍しいケースです。 普通は、売上高を100とするならば、営業利益は5~8%程度、当期純利益は税引き後なので3~5%くらいがよくあるケースです。 営業利益率が10%以上になってくると、本業で結構儲けが出ている印象を受けます。 個人的には非常に良いイメージですね。 この点、オリンパスさんの営業利益率は13%を超えていますので、一般的な視点で行けば本業での好調さが想像されます。 そして、そこから一定の調整を経て、さらに法人税等が差し引かれるので、営業利益よりも当期純利益は少なくなるのが通常です。 しかし! - 【読んでみたい一冊】週3バイトが東大合格した時間術の本
今回は時間術に関する興味深い視点の本をご紹介します。 限られた時間で効率よく勉強しながら東大に合格した実体験から自身で身に着けた時間管理ノウハウを本にまとめたものです。 ユニークな視点でなるほど~、と思わせるところが多いのと、読みやすく短時間で一気に通読できることから、手軽に時間生産性を上げるためのヒントとして、動画で取り上げてみました。 全部で3章構成からなっているのですが、その全体フローがそのまま企業コンサルの手順にも応用できます。 すなわち、 ステップ1 ムダを削減する ステップ2 今の仕事の効率を上げる ステップ3 それを継続する です。 こうやって書いてみると非常にシンプルですが、そのシンプルさの中にこそ、マネジメントの本質が隠されていることもあります。