株式の取得
いくつかの権利を内包している株式はそれ自体経済的に価値を持っているため、
株式の取得を、「有価証券」という財産の取得ととらえ、資産の増加として仕訳・転記します。
————————————————————————————–
lesson.031
★ 5分で完結!小学生でもわかる簿記入門 ★
(読者数1450人) 2004.08.02
関連HP https://bokikaikei.net/ (月・水・金 午前中)
————————————————————————————–
【CONTENTS】
○ 株式の取得
(※図が見にくい方は、画面の表示を等幅フォントにしてみて下さい!)
————————————————————————————–
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
○ 株式の取得
株式というのは、「株式会社に対する出資者(株主)としての地位」です。
いいかえると、「その会社の出資者」としての肩書きですね。
で、その肩書きのあかしとなる証書が、「株券」なのです。
株式会社 株主となる人
―――――― ――――――
―――――
|現金の払込| ←←←←← ☆
―――――
―――――
☆ →→→→→ | 株 券 |
―――――
「株式」の証しとなる証券
また、株式という地位に基づく権利として、次の2つが大事なので、ここで
覚えておきましょう。
1.株主総会に出席して、意見を述べたり、決議に参加する権利。
2.会社に利益が出たら、その範囲内で、配当金を受け取る権利。
上記の1番目の権利を、経営参加権なんていったりもします。
ここで、簿記上かんけいがあるのは、2番目の配当金を受け取る権利ですね。
以前に、lesson.009(6.11号)でご紹介した、「株式配当金領収証」です。
( バックナンバー参照→ http://www.mag2.com/m/0000132827.htm )
なお、このようにさまざまな権利を保障されている「株式」は、それ自体、
経済的に価値があるわけです。
また、未公開企業は一定の制限があるにせよ、それ以外は、株式の譲渡は
自由に行えます。
したがって、簿記の世界では、株式の取得を、「有価証券」という財産の
取得ととらえ、資産の増加として仕訳・転記します。
これが、結果として、いわゆる「財務諸表(決算書)」という、会社の
会計情報に反映される訳ですね。
(財務諸表に関する無料メールセミナー(全3回)が、おすすめです。
→ https://bokikaikei.net/ )
(取引例)売買目的で株式を取得し、現金を支払った場合(※日商3級レベル)
(借)売買目的有価証券 ×× (貸)現 金 ××
【転記】
+ 現 金
―――――――――――――――
| ××
|
+ 売買目的有価証券
―――――――――――――――
××|
|
※売買目的とは、時価の変動により、利益を得る目的のことです。
これは、有価証券の売買を営業目的とするような証券会社などでよく見ら
れる勘定科目です。一般事業会社では、現在の会計基準上、「その他の目的」
と分類される事が多いです。
※上記の勘定科目は、「売買目的」という語を削って、単に「有価証券」という
表記もOKです。
※有価証券の取得原価は、「購入代金+付随費用(売買手数料など)」です。
◆ 練習問題
次の取引を、仕訳・転記しましょう。
A社は、X社の株式10株(1株の購入代金50,000円)を取得した。
購入代金と売買手数料10,000円は、現金で支払った。
【解答用紙】単位:円
<仕訳帳>
―――――――――――――――――――――――――――――
(借) (貸)
―――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳>
―――――――――――――――――――――――――――――――
+ 現 金
―――――――――――――――
|
|
+ 売買目的有価証券
―――――――――――――――
|
|
―――――――――――――――――――――――――――――――
【模範解答】単位:円
<仕訳帳>
―――――――――――――――――――――――――――――
(借)売買目的有価証券510,000(貸)現 金 510,000
―――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳>
―――――――――――――――――――――――――――――――
+ 現 金
―――――――――――――――
| 510,000
|
+ 売買目的有価証券
―――――――――――――――
510,000|
|
―――――――――――――――――――――――――――――――
※510,000円=10株×50,000円+10,000円
…時事問題で、たのしく会計知識をマスターしたい方は
「会員制CDセミナー」 → https://bokikaikei.net/01cd/5.html
… 上場企業の実践分析講座
「柴山塾」→ https://bokikaikei.net/04jirei/66.html
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
【連結入門・未実現利益の考え方】土地と建物の未実現利益に関する処理の比較でマスター
連結会計を学ぶ上で、未実現利益の正しい理解は必須ですね。 この点、最初の理解の仕方を間違えてしまうと、けっこう連結が苦手になったり、遠回りしてしまったりしてしまいます。 そこで、今回の動画では、まず一番簡単な土地の親子間売買(ダウンストリーム)を取り上げ、それとの比較で建物の売却による未実現利益の消去と、それに伴う減価償却費の連結修正について簡単な事例を使って解説いたしました。 この10分程度の動画をさっと視聴することで、連結会計の未実現利益に対する苦手意識を取り除くきっかけになればうれしいです!会計士志願者が2倍も、監査法人離れ
2023年9月21日の日経1面です。 2015年を底に2023年までの8年間で公認会計士試験の受験者数が倍増し12年ぶりの2万人台を記録したそうです。 ※2013年~2023年の願書提出者数 2023年 20,318人 2022年 18,789人 2021年 14,192人 2020年 13,231人 2019年 12,532人 2018年 11,742人 2017年 11,032人 2016年 10,256人 2015年 10,180人 2014年 10,870人 2013年 13,224人 (資料:マイナビ会計士)※2013年~2022年 ※2023年は金融庁ホームページ たしかに、過去10年程度で2015年の10,180人がそこになっており、そこから20,318人ですから、この期間において2倍程度増えていますね。社外役員の兼任者数が4割アップ!?~会計士・税理士に新たなフィールドのチャンスが到来?
昨日の日経朝刊は、コーポレートガバナンスに関する非常に興味深い記事でした。 日経1面に出るということは、その日のニュースの中でも日本経済全体に影響を及ぼすと判断されたトピックと考えられるのですね。 いま、日本企業の多くは閉塞感にとらわれているかもしれません。 先行き不透明な中、社内の限られた知見だけで経営を続けていくのがますます難しくなってきています。 社内の常識が世間の非常識、なんてこともあったりしますね。 私は監査法人の勤務時代から強く感じていたことがあります。 会計士はその会社に年中いるわけではないので、その会社の業界知識の深さについてはかなわないのですが、彼らになくて私たちにあったのは「他の多くの会社の実務を見て実態を知っている」という点です。【時事ニュースで学ぶ会計知識】オリンパスの売上高当期純利益率が100%超!?
2023年8月30日の日経18面で報じられていました。 オリンパスの売上高当期純利益率がなんと100%を超えたという珍しいケースです。 普通は、売上高を100とするならば、営業利益は5~8%程度、当期純利益は税引き後なので3~5%くらいがよくあるケースです。 営業利益率が10%以上になってくると、本業で結構儲けが出ている印象を受けます。 個人的には非常に良いイメージですね。 この点、オリンパスさんの営業利益率は13%を超えていますので、一般的な視点で行けば本業での好調さが想像されます。 そして、そこから一定の調整を経て、さらに法人税等が差し引かれるので、営業利益よりも当期純利益は少なくなるのが通常です。 しかし!【読んでみたい一冊】週3バイトが東大合格した時間術の本
今回は時間術に関する興味深い視点の本をご紹介します。 限られた時間で効率よく勉強しながら東大に合格した実体験から自身で身に着けた時間管理ノウハウを本にまとめたものです。 ユニークな視点でなるほど~、と思わせるところが多いのと、読みやすく短時間で一気に通読できることから、手軽に時間生産性を上げるためのヒントとして、動画で取り上げてみました。 全部で3章構成からなっているのですが、その全体フローがそのまま企業コンサルの手順にも応用できます。 すなわち、 ステップ1 ムダを削減する ステップ2 今の仕事の効率を上げる ステップ3 それを継続する です。 こうやって書いてみると非常にシンプルですが、そのシンプルさの中にこそ、マネジメントの本質が隠されていることもあります。