約束手形の振り出し
「手形用紙に記載された金額を支払う」ことを約束すること
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lesson.017
★ 5分でわかる!使える!!簿記入門 ★
2004.06.30
(月・水・金の午前中配信)
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【CONTENTS】
○ 約束手形の振り出し
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○ 約束手形の振り出し
商品を仕入れたら、代金を支払いますね。
仕入れたとき、すぐに支払えば、それは「現金の減少」。
仕入れたとき、掛けとしておけば、それは「買掛金の発生」。
⇒買掛金は、通常、月に一回締めて、翌月に支払うので、未払期間は1ヶ月
のことが多いです。
ここで、資金繰りの関係上、さらにもう数ヶ月だけ支払を待ってもらいたい
時に用いるのが「手形」という制度です。
「手形」には、約束手形と支払手形の2つの形式がありますが、今回は、
より簡潔で一般的な約束手形を勉強しましょう。
約束手形とは、「将来の一定期日」に、「手形の宛て名の人」に対して、
「手形用紙に記載された金額を支払う」ことを約束した証書です。
(記載イメージ)理解のため、あえて簡略化して書いてあります。
**********************************
約 束 手 形 ×××
支払日 平成○年8月31日
○×株式会社 殿 :
――――――――――――
¥100,000
――――――――――――
上記金額を、あたなたまたはあなたの指図人に
お支払いたします。
振出日 平成○年7月1日
振出人 △商事株式会社 印
**********************************
※上記の場合は、振出日から満期日まで2ヶ月ありますので、2ヶ月満期と
いいます。
△商事が、上記の約束手形を、商品の仕入時に発行(=振出)した場合には、
つぎのように仕訳されます。
(借)仕 入 ××× (貸)支 払 手 形 ×××
そして、満期日である8月31日が近づいたら、受取人の○×株式会社は、
自社の取引銀行に手形を預けます。
8月31日(満期日)には、△商事株式会社の銀行との間で、資金の決済が
おこなわれ、△商事株式会社の当座預金が減って、○×株式会社の当座預金が
増えるのです。
◆ 練習問題
次の取引を、仕訳・転記しましょう。
1)A社は、商品30万円を仕入れ、20万円の約束手形(2ヶ月満期)を
振り出し、残りは掛けとした。
2)1ヵ月後、上記の掛け代金を、小切手振出により支払った。
3)2ヶ月後、A社の振り出した約束手形が決済され、当座預金から20万円
が支払われた。
【解答用紙】単位:万円
<仕訳帳>
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1)(借) (貸)
2)(借) (貸)
3)(借) (貸)
―――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳>
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当座預金 支払手形
| |
| |
買 掛 金
|
|
仕 入
|
|
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【模範解答】単位:万円
<仕訳帳>
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1)(借)仕 入 30(貸)支 払 手 形 20
買 掛 金 10
2)(借)買 掛 金 10(貸)当 座 預 金 10
3)(借)支 払 手 形 20(貸)当 座 預 金 20
―――――――――――――――――――――――――――――
<総勘定元帳>
―――――――――――――――――――――――――――――――
当座預金 支払手形
|2) 10 3) 20|1) 20
|3) 20 |
買 掛 金
2) 10|1) 10
|
仕 入
1) 30|
|
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立替金(3級・2級商業簿記)
立替金の定義 立替金とは、誰かのために一時的に支払った代金で、後日精算されるもの。 よく関連語句として「給料」がセットで出てくる。 立替金の概念 例:従業員の個人的な支出や取引先の負担すべき広告費などを、一時的に立て替えて支払う。 支払った金額は「将来返してもらう予定のお金」として資産に計上される。 立替金は「立替金の請求権」として扱われ、資産勘定に計上。 簿記の問題での立替金 給与支給時に従業員に対する立替金を相殺する処理が出題されることがある。 立替金の処理について理解しておくことが重要。 具体的な取引例 例:従業員の頼みで、個人的な支出65,000円を立て替え、現金で支払う。 仕訳: 借方:立替金 65,000円 貸方:現金前払金(3級・2級商業簿記)
「前払金」の定義 商品などを注文した際に、品物を受け取る前に支払った手付金や内金のこと。 支払いに関連する勘定科目として「前払金」が使用される。 関連する用語:商品の仕入れなど。 「前払金」の概念 契約や注文が成立した際、手付金を支払うことが一般的。 支払った時点では品物の受け取りが確定していないため、「一時的に相手に預けているお金」として扱う。 支払った金額は資産勘定に計上され、将来的に商品を受け取る権利を持つと考えられる。 「前払金」の特性 仕入れや費用として確定しているわけではない。 目的の品物が手に入らなければ、支払った金額を返金してもらうこともある。 「前渡金」という用語も同義で使用されることがある。 取引例配賦差異(2級工業簿記)
配賦差異の重要性 2級工業簿記で非常に重要な概念。 製造間接費を予定配賦や標準原価計算で計算する際に生じる差異。 試験対策として配賦差異の理解は必須。 配賦差異の定義 配賦差異は、製造間接費の予定配賦額(正常配賦額)と実際発生額との差額。 この差異の把握は、原価管理やコスト管理において重要。 関連用語 「実際配賦」、「予定配賦率」、「製造間接費」、「部門費」など。 配賦差異には「予算差異」と「操業度差異」の2種類がある。 配賦差異の計算方法 予定(正常)配賦額 = 予定(正常)配賦率 × 実際操業度。 実際発生額との差額が配賦差異。 差異の処理方法 実際発生額が予定額を上回る場合、追加コストとして借方差異(不利差異)。 実際発生額が予定額を下回る場合、コスト節約として貸方差異(有利差異)。手形貸付金・借入金(3級・2級商業簿記)
手形貸付金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる貸付債権。 資産に分類される。 手形を使わない場合は、「貸付金」 手形借入金 借用証書の代わりに約束手形を使って行われる借入債務。 負債に分類される。 手形を使わない場合は、「借入金」 仕訳例 資金を貸し付ける場合:「手形貸付金」 資金を借り入れる場合:「手形借入金」 具体例 200万円を借り入れ、約束手形を発行し当座預金に入金された場合: 借方:当座預金 + 2,000,000円 貸方:手形借入金 + 2,000,000円 総勘定元帳への転記 資産:「当座預金 + 2,000,000円」 負債:「手形借入金 + 2,000,000円」仮払金(3級・2級商業簿記)
仮払金の重要性 実務および試験対策において重要な科目。 簿記3級以上で出題され、2級、1級、会計士、税理士の試験にも登場する。 仮払金の分類 資産勘定に分類される。 実際の支出金額や内容が未確定な場合に使用する。 仮払金の定義 支出金額や内容が確定していない場合に一時的に支払う際に使用する勘定科目。 支出内容が確定した時点で精算処理を行い、仮払金は解消される。 短期間で精算されることが前提。 関連する勘定科目 現金や仮受金(負債)などが関連する。 実務での使用例 例: 出張費が確定しない場合、社員に2,000円を仮払金として渡し、実際の費用が確定した後に精算する。 例: 交通費が1,700円だった場合、差額の300円を返金して仮払金を精算。