主要輸出企業20社の営業利益が円安で2000億円アップ?
為替レートがドル高円安の傾向にあって、輸出企業の収益がさらに伸びそうだ、というお話です。
9月1日時点の1ドル104円前後という水準が今後も続いたら、自動車など主要輸出企業20社の2014年下期の営業利益が2000億円強上昇するという予測が出ているそうです。
日本経済新聞社が、1ドル当たり1円変動した場合の年間の利益変動額と各社の想定レートの資料をもとに、2014年度下期の影響を試算しています。
非常に興味深い記事ですね。
それによると、トヨタ・日産・ホンダ・富士重・コマツ・キャノン・川重・マツダなどは1ドル100円を想定しているようです。
なお、日立は98円、三菱電機は95円だそうです。
以上をもとに、1ドル104円との差を想定すると、たとえばトヨタは800億円も利益が上昇すると見られています。
逆算すると、80,000,000,000円÷(104-100)円=200,000,000ドル、すなわち2億ドルもの外貨建て売掛金などの金銭債権があるという推測が成り立ちますね。
このような数値を20社分つみあげると、合計で1,933億円もの円安効果が予想されます。
すごい数字ですねー。
ちなみに、利益予測がなぜ円安で上昇するかというと、簡単な例で説明すれば次の通りになります。
(例1)
A社は、2014年10月?2015年3月の予想輸出売上を10万ドルと考えて業績予測を立てた。
そのさい、想定社内レートを1ドル100円と設定した。
※当初予想される予算売上高
(借方)売掛金1000万円 (貸方)売上1000万円※
※10万ドル×100円
(例2)
その後、A社は実際の売上高は予測通り10万ドルだったが、その間の実際レートが104円となっていた。
※実際の売上高
(借方)売掛金1040万円 (貸方)売上1040万円※
※10万ドル×104円
以上より、2015年3月期の下半期(10月?翌3月)における業績は40万円の上昇となります。
このような計算プロセスより、今年度下期の円安効果による利益上昇予想の試算をしたのではないか、と予想されるわけですね。
円安により、輸出企業は業績アップにつながりますが、他方で、材料や商品を輸入している会社は反対に仕入金額が上昇するのでコストアップにつながります。
このあたり、立場によって円安効果がまったく逆になったりするので、注意が必要と言えそうです。
無料メール講座
法人税申告書作成の実務
社長BOKIゲーム企業研修
無料メールマガジン
プロフィール
著書一覧
新着記事
- 【連結入門・未実現利益の考え方】土地と建物の未実現利益に関する処理の比較でマスター
連結会計を学ぶ上で、未実現利益の正しい理解は必須ですね。 この点、最初の理解の仕方を間違えてしまうと、けっこう連結が苦手になったり、遠回りしてしまったりしてしまいます。 そこで、今回の動画では、まず一番簡単な土地の親子間売買(ダウンストリーム)を取り上げ、それとの比較で建物の売却による未実現利益の消去と、それに伴う減価償却費の連結修正について簡単な事例を使って解説いたしました。 この10分程度の動画をさっと視聴することで、連結会計の未実現利益に対する苦手意識を取り除くきっかけになればうれしいです! - 会計士志願者が2倍も、監査法人離れ
2023年9月21日の日経1面です。 2015年を底に2023年までの8年間で公認会計士試験の受験者数が倍増し12年ぶりの2万人台を記録したそうです。 ※2013年~2023年の願書提出者数 2023年 20,318人 2022年 18,789人 2021年 14,192人 2020年 13,231人 2019年 12,532人 2018年 11,742人 2017年 11,032人 2016年 10,256人 2015年 10,180人 2014年 10,870人 2013年 13,224人 (資料:マイナビ会計士)※2013年~2022年 ※2023年は金融庁ホームページ たしかに、過去10年程度で2015年の10,180人がそこになっており、そこから20,318人ですから、この期間において2倍程度増えていますね。 - 社外役員の兼任者数が4割アップ!?~会計士・税理士に新たなフィールドのチャンスが到来?
昨日の日経朝刊は、コーポレートガバナンスに関する非常に興味深い記事でした。 日経1面に出るということは、その日のニュースの中でも日本経済全体に影響を及ぼすと判断されたトピックと考えられるのですね。 いま、日本企業の多くは閉塞感にとらわれているかもしれません。 先行き不透明な中、社内の限られた知見だけで経営を続けていくのがますます難しくなってきています。 社内の常識が世間の非常識、なんてこともあったりしますね。 私は監査法人の勤務時代から強く感じていたことがあります。 会計士はその会社に年中いるわけではないので、その会社の業界知識の深さについてはかなわないのですが、彼らになくて私たちにあったのは「他の多くの会社の実務を見て実態を知っている」という点です。 - 【時事ニュースで学ぶ会計知識】オリンパスの売上高当期純利益率が100%超!?
2023年8月30日の日経18面で報じられていました。 オリンパスの売上高当期純利益率がなんと100%を超えたという珍しいケースです。 普通は、売上高を100とするならば、営業利益は5~8%程度、当期純利益は税引き後なので3~5%くらいがよくあるケースです。 営業利益率が10%以上になってくると、本業で結構儲けが出ている印象を受けます。 個人的には非常に良いイメージですね。 この点、オリンパスさんの営業利益率は13%を超えていますので、一般的な視点で行けば本業での好調さが想像されます。 そして、そこから一定の調整を経て、さらに法人税等が差し引かれるので、営業利益よりも当期純利益は少なくなるのが通常です。 しかし! - 【読んでみたい一冊】週3バイトが東大合格した時間術の本
今回は時間術に関する興味深い視点の本をご紹介します。 限られた時間で効率よく勉強しながら東大に合格した実体験から自身で身に着けた時間管理ノウハウを本にまとめたものです。 ユニークな視点でなるほど~、と思わせるところが多いのと、読みやすく短時間で一気に通読できることから、手軽に時間生産性を上げるためのヒントとして、動画で取り上げてみました。 全部で3章構成からなっているのですが、その全体フローがそのまま企業コンサルの手順にも応用できます。 すなわち、 ステップ1 ムダを削減する ステップ2 今の仕事の効率を上げる ステップ3 それを継続する です。 こうやって書いてみると非常にシンプルですが、そのシンプルさの中にこそ、マネジメントの本質が隠されていることもあります。