グリコが自社株1500万株を売り出して167億円調達
8月19日付のリリースで、グリコが1500万株の自己株式の処分などにより、上限16,877,405,000円までの資金調達を予定していることがわかりました。
(参考)グリコのリリース記事
http://www.glico.co.jp/ir/pdf/news/20130819.pdf
このような自社株の処分による資金調達を行う理由として、グリコの発表内容を見ると、次のようなことが書いてありました。
「アジアを中心としたグローバル展開を推進し、海外子会社へ重点的に資金を投融資することを目的とするものであり、今後の当社グループのさらなる成長を加速させるものとなっております。
また、自己株式の処分及び当社株式の売出しを実施することにより、株式の流動性の向上に資するものと考えております。」(グリコのリリース本文より一部引用)
ここでのポイントは2つあります。
1.アジアを中心としたグローバル展開を推し進めるための投融資資金を調達するために、今回の自社株売り出しを活用することにした。
2.自己株式の処分・売り出しをすることでグリコ株の流通性を向上させる狙いがある。
1番目の目的は、海外への投資資金に対する資金需要です。
2番目の目的は、株価対策の一環です。
グリコ株が多く出回るようになると、売買がしやすくなりますね。
なお、自社株の取得は資本(純資産)を減少させる取引です。
(例)自社株100株を1000万円で取得した。
(借方) 自己株式 1000万円 (貸方) 現金預金 1000万円
↑
(純資産のマイナス)
バランスシート(単位:万円)
(資産) (負債)
: (純資産)
: 自己株式 △1000
いっぽう、自己株式を売却すると、その分だけ資本(純資産)が増えます。
(例)原価1000万円の自己株式を1250万円で処分し、現金を受け取った。
(借方) 現金預金 1250万円 (貸方) 自己株式 1000万円
その他資本剰余金 250万円
このように、自己株式を処分した際の原価と時価の差額は、その他資本剰余金という勘定科目で仕訳します。
なお、その他資本剰余金は純資産項目の一つで、配当の財源になります。
なお、自社株を市場に放出すると、株式の供給量が増えるため、株価が下がることもあります。
株式の売却により世間に出回るようになると、株数が増え、希少価値が薄れて値段が下がるだろうという観測です。
最大168億円にも上る資金調達のあと、グリコの投資戦略・海外進出計画がどのように加速するのか、興味深く見守っていきたいですね。
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